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マリーの果実を我が店に 9
サムス・アラン [Mail]
8/8(Wed) 1:28

・・・夜二十時あたり。

「もーつかれましたのーっ、このへんで休みましょうのー
 っ!!!」

真っ先にねをあげたのはいわずと知れたティーノ。

「はー、これだからいいとこの嬢ちゃんは。」

あきれるミケ、しかしリクオは

「ま、ティーノにはこれぐらいが限界か。」

ティーノの近くで立ち止まる。しかしその横で

「町まであと少しでしょう?・・・とっとといっちゃおーよ」

ミントがせかす。たしかにあと4時間くらいで町にたどり
つくだろう、しかしティーノの姿をみかねてか、リクオは
ミントの方をぽんとたたき

「この闇の中ど素人のティーノには危険だ、あまり動かない
 ほうがいいだろう。」
「そうよ、ティーノに何かあったら報酬でないのよっ!?」

と、ミケにかえすミント。

「解ればいいの。」

と、腰をおろすティーノ。

「・・・て、ちょっとまてお前ら、何で俺が怒られにゃ
 ならんのだっっ!?」

一人喚くミケ。

それぞれ荷物を置き、野宿の準備をしはじめる。

「・・・・以外とむずかしいですのぉ。」

ティーノが焚火にふーふーしはじめた時、残り三人の動
きがとまる。

「・・・・どうかしましたの?」

目をぱちくりさせるティーノ、しかし三人の視線は森の
奥のある一点に集中したままである。

「・・・何ですのいったい・・・」

ティーノもそこをみる。

・・・ざっ・・・・・・・ざっ・・・・・・・・

森の奥からゆっくりと人影が姿を現せはじめる。耳をす
ましても聞き取りづらいくらい静かに・・・。
そして焚火にてらされ、人影がはっきりと姿をみせる。

深緑にかがやく長く黒い、後ろで束ねられた綺麗な髪、
青黒い緑のマントに身を包み、ティーノには両手でもっ
ても持ち上がらないであろう大きな槍を背負っている。
・・・女だ。その女は立ち止まり、こちらをみる。顔は
半ば前髪で隠されているが、顔立ちが良いのはそれでも
見てとれる。
しかし異様なのはなるで人形のような表情のなさ、それ
以上にその鋭い目つき。その瞳に輝く、何者をも貫くそ
の威光、山賊達が力まかせに出せるような目つきではな
い、しかし殺人狂のそれとも違う。
しかし、そんな事は気にもとめず

「旅の方ですの?食べ物なら余っていますの。」

ティーノは気軽に声をかける、しかし他の三人はそれと
は程遠い険悪な目つきだ。女はティーノを見

「・・・・・ふん、見たところ山賊共ではないようだな。」

近寄る。が、その間にリクオが割ってはいる。

「それよりあんた何者なんだよ。」

ティーノと違い、リクオはかなり警戒している。

「ふん、心配しなくとも何もしない。」

そういう女にしかしリクオは

「三流の山賊は皆そういうのさ。」

動じる様子はない。女はゆっくりとリクオを見、

「ほぉ・・?山賊には見えんがただの旅人というわけでも
 なさそうなのだな。」

その女の視線には、恐怖だろうか、背筋にくるものがある
が、リクオは顔にださず

「あんたには関係ない事だろ?」

女はかすかに口のはしでわらい

「・・・・・・ふん、たしかにな。」

そしてそのまま通りすぎようとするが、ふと立ち止まる。

「ときに貴様。」

リクオに再び振り返り

「ティーノ・ペペロンという女をしらないか?」

・・・・・・・・・・・・・・っっっ!!!

「それって私・・・ぐふっ!?」

答えようとするティーノにボディを入れるミント。ミケ
はのんきな口調で

「ああ、名前ぐらいなら聞いたことあったかなあ。」

他人ごとのように言う。女はきいても無駄であろうと言
う顔で、しかし念のためなのか

「・・・どこにいるかは知らないか?」

ミケは期待に裏切る事なく

「知らねえな。」

焚火をながめている。そしてミントも

「どこぞの趣味の悪い豪邸で、馬鹿笑いしながら博打
 でもうってんじゃないのぉ?」

と、すっとぼける。ミントの言う馬鹿わらいとは、あ
のお嬢サマ特有のあの高笑いのことをさすのであろう、
そして

「ふん、それもそうか。」

同意する女。

「あ・・・あなたたちーー・・・がふっ」

勿論のごとく叫ぼうとするティーノに今度はリクオが首筋
に手刀をいれる。女は背をむけたまま軽く右手をあげ

「じゃましたな、良い旅を。」
「ああ、あんたの旅に好運を祈るよ。」

立ち去る女を見送るリクオ。

「・・・・ひどいですのぉーーーーーーーーっっっ!!!!」



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