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マリーの果実を我が店に 21
サムス・アラン [Mail]
1/2(Wed) 17:05

ぽつり・・・ぽつりと雨が降り出し、波が次第に激しく
なってくる。

「んふっんふっ、なぁに?こんなか弱い女の子を三人がかり
 で襲っちゃおうってつもりぃ?・・あん、三人はちょっと
 きついわん。」

口調とは裏腹に、目が血に飢えている。ざしゅっとミントの
頭から引きぬかれた鉄の長ヅメが真紅に光る。

「・・・ふん、そのか弱い女の子とやらに皆殺しにされた奴ら
 を、同情してやるべきであろうか・・。」

カリカはアル中女、もとい、ロストに一歩つめより

「さっきは不意をつかれたが、今度は間違いなく殺してやる
 ・・・!!!!!」
「んふふふ、不意をつかれたぁ?ぐーすか寝てた貴方が悪い
 のよん。」
「ほざけっ!!」

ロストにすさまじいスピードで詰め寄り、槍が瞬時に三度
襲いかかる。

「・・・っ!!」

その槍を長ヅメではじき返すロストには、さっきまでの余裕は
ない。

「・・・あまいぞ!!」

そして、槍をさらに真上から一直線に下ろし、かろうじてそれを
かわしたロストに。またもや振り下ろされた槍を、体を一回転さ
せ、返し刃で振りあげる。これはかわしきれず、ロストの左腕に
深い傷が刻まれる。

「・・・なんて速さだ・・・。

ミケはその一瞬の出来事に目を疑った。

「・・・・いったぁ〜い・・。」

傷口の血をすすり微笑むロスト。左腕はだらんっとぶら下がっている。
そして、さらに踏み込むカリカに、しかしロストは追撃を許さない。
カリカの槍を右腕の長ヅメではじく

「・・・ぐう!?」
「んふふ・・・私の左腕が燃えてきちゃった・・。」

ぶら下がり、使い物にならなくなったと思っていた左腕の平に火球が
うまれる。

「バーハムート・ブレス!!」
「・・・何!?」

ロストが左手で振り上げたと同時に、カリカが炎の波と熱風に襲われ
る。

「ぐああああっ!!!」

カリカはマントで防ぐが、耐え切れずに吹き飛ばされる。

「・・・・魔法・・・?」

ミケは一歩も動けず、ぽつりと呟く。

「・・・噂には聞いた事があるが・・。」

カリカとロストのほんの一瞬のやりとりが終え、やっと我に
かえるリクオ。

「魔法にゃあ詠唱がいるって聞いたけど、ありゃあ嘘か?」
「呪文の詠唱・・・・もしかして、さっきのアレか?」

ミケが方眉(あたりだろう)をつり上げて、そしてリクオが
悩ましい口調で

「・・・私の左手が燃えてきちゃったん・・てか?それなら
 俺でも出来そうだ。」

そしてティーノも

「私の体が燃えさかっちゃいそうですのん。・・これで私も
 魔法使いですの?」

手をたかだかとかざすティーノに、リクオはチチチと指を鳴らし

「まだまだだな、ティーノ。色っぽさが足りない。」
「・・悪かったですのね・・・ふんっ」

ティーノがそっぽをむく、

「ははは、そー怒んなって」
「知らないですのっ。」

・・・・・しかし。

「・・き・・貴様らから殺してやった方が良いであろか・・・?」

気がつけば、黒こげぎみのカリカがすごい形相で睨んでいる。

「ぐあ!・・お・・俺が悪かった・・」
「ご・・ごめんなさいですのぉぉぉっ」

カリカの威光におされ、小さくなる二人。・・ミケはミントだった
物を見て

「これじゃあお前もうかばれねえな・・。」

雨は次第に激しくなる。



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