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- 今を生き抜く獣達 〜麗しき闇の真紅の玉〜 - サムス・アラン [2/3(Sun) 9:32]
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〜麗しき闇の真紅の玉〜 終 - サムス・アラン [2/3(Sun) 23:25]
Re:〜麗しき闇の真紅の玉〜 終 - puni [11/25(Mon) 23:10]
Re:〜麗しき闇の真紅の玉〜 終 - GUM [11/30(Sat) 7:17]



〜麗しき闇の真紅の玉〜 10
サムス・アラン [Mail]
2/3(Sun) 21:46

 「……ふむ、ここの食事はなかなかの物ですね。」

 二十時三十分、二人はそれぞれもとの姿に戻り、一階の食堂で
 食事を取り始めたところだ。……しかし、

 「……食事って言うのかコレ……?」

 リクオはとても不満そうだ。

 「ふっ、何を言うのです、美味かつ上品でさらに芸術的ではあ
  りませんかっ!!」
 「……たしかにその通りだ。……しかしよぉ……、なんで晩飯
  に『お菓子の家』なんだ?」

 ……そう、美味かつ上品で、さらに芸術的なお菓子の家だ。

 「雇い主は私、そして宿代、食事代を出すのも私、ですからメ
  ニューを決めるのもとうぜん私です。」
 「……自分のメシぐらい決めさせてくれよ……」

 リクオもしぶしぶお菓子の家を食べ始める。


 ザッ…ザッ…ザッ…

 「お……俺達が悪かった……許してくれッ!!」
 
 ザッ……ザッ……………・

 「ひ…ひいっ!!!」
 「くっくっくっ……許してやるとも……、その首を置いて行って
  くれるならな…」
 「ひっ……」

 ……セント・アンドリュー南、ニングルの森。

 山賊風の男五人、女一人そしてあたりにはその6人を残し、
 その仲間と思われるおよそ三十体の死体の数々。

 「……ばけもの……」

 誰かがそう呟いた。6人の前にいるのは槍を背負った女一人。

 「ふんっ、死にたくなければ初めから手を出さなければよかっ
  たのだ。……怨むなら貴様らの力のなさとつまらん思い上が
  りを怨むのだな。」

 と、はじめに謝った男の首をその槍ではねる。

 「な……なんだよう……、有り金置いてけっていっただけじゃ
  ……ぐふっ」
 「それだけほざけば十分だ。」

 デブの山賊の言葉を最後まで聞かずに心臓をやりで貫く。

 「おめえ……一体何者だっっ!?」
 「ふんっ、貴様らに名乗る名なんぞないな。」

 ゆっくりと……しかし確実に彼女は近づいてくる。
 
 「……おいソニー……」
 「……な…なにさ…」

 おびえきって泣きじゃくる女山賊にのこったボス風の男が耳元
 でささやく。

 「……奴は俺達でくい止める。…おめぇは逃げろ!!」
 「え? ……なんでさ、ここまで一緒にやってきたじゃないのさ…」
 「……このままじゃあ俺達皆皆殺しだ。…お前だけでも……」
 「いやよっ、私はいままで皆と一緒にやってきたのよっ、死ぬんな
  ら私も皆と一緒に死ぬわ!!」

 そうこう言っている間にも彼女は迫ってくる。

 「……ぐ…」

 山賊頭は後ろを見る。……崖だ。……だがそんなに高くはなさ
 そうだ。

 「…祈るんだソニー!!」
 「きゃあっっ!?」

 山賊頭はソニーを崖へたたきおとす。

 「ボス!? なんてことをっ!?」
 「心配するな、そう簡単にくたばる女じゃないさ、…それに…」

 山賊頭は正面をふりかえり

 「……女相手に手加減してくれるような奴とも思えねえ。」

 武器を構える一同。……そう、実際すでに殺された仲間の中にも
 女はたくさんいた。

 「ふん、仲間割れか。…わざわざ崖から突き落としたりせずとも
  楽に殺してやったものを。」
 「……あ……悪魔…」

 思わずうめく。三人は身構え、そして…

 …………生き延びてくれよソニー……、山賊団『狼の牙』の最後
 の生き残りとして…

 そしてとびかかる。

 …槍を構え、かすかに微笑む彼女にむかって。
 
 ………三日月月に照らされた森の中、幾つかの血しぶきが美しく、
 夜空に向かいふきあがる。
 

 「…つ〜〜……、危なかった。」

 一方、崖から突き落とされたソニー。山賊である以上多少の崖
 くらい駆け下りられなければ話にならない。
 ……多少とは言うものの、普通に落ちればまず死ぬ事は間違い
 ないだろうが。
 しかしとっさの出来事に、多少体のあちこちに擦り傷ができて
 いる。

 「……たまたま鉤爪があったから助かったものの、普通なら死ん
  でるわよ…」

 そう、秘密は鎖のついた鋼の鉤爪である。いくら山賊と言っても
 人間である。何もなしに崖から突き落とされれば、ただで済むは
 ずはない。

 「……でも……」

 ソニーははるか頭上を見上げ

 「……いっそ死んでしまった方が幸せだったかも…」

 ソニーは傷だらけの手のひらをみつめ、…その時眉間が熱くなる。

 「……シャープ…、…………あの……バカ……」

 本能的に悟っているのだ、……山賊頭のシャープ……そしてその
 他のわずかな生き残りももうこの世にはいないという事を。

 「…く………くやしい……悔しいよ……ぉ…」



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