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- 未来の英雄 - じゅん [6/23(Mon) 1:48]
Re:未来の英雄 はじまりの時 - じゅん [6/23(Mon) 2:56]
Re[2]:未来の英雄 力を求めて 愚者 - じゅん [6/23(Mon) 3:46]
Re[3]:未来の英雄 力を求めて 隠者 - じゅん [6/23(Mon) 5:22]
Re[4]:未来の英雄 力を求めて 節制 - じゅん [6/24(Tue) 21:25]
Re[5]:未来の英雄 力を求めて 塔 - じゅん [6/24(Tue) 23:04]
Re[6]:未来の英雄 力を求めて 戦車 - じゅん [6/25(Wed) 1:26]
Re[7]:未来の英雄 力を求めて 女司祭 - じゅん [6/26(Thr) 2:10]
Re[8]:未来の英雄 力を求めて 世界 - じゅん [7/3(Thr) 6:40]
Re[9]:未来の英雄 力を求めて 逆位置 隠者 - じゅん [7/12(Sat) 1:33]
Re[9]:未来の英雄 力を求めて 力 - じゅん [7/19(Sat) 2:32]
Re[10]:未来の英雄 力を求めて 逆位置力 - じゅん [7/19(Sat) 2:56]
Re[11]:未来の英雄 力を求めて 混沌 - じゅん [9/22(Mon) 1:38]
Re[12]:未来の英雄 力を求めて 混沌 2 - じゅん [9/22(Mon) 2:18]
Re[13]:未来の英雄 力を求めて 終焉 序章 1 - じゅん [10/10(Fri) 12:18]
Re[13]:未来の英雄 力を求めて 終焉 序章 1+ - じゅん [10/10(Fri) 12:46]
Re[13]:未来の英雄 力を求めて 終焉 序章 1+ - じゅん [10/10(Fri) 13:04]
Re[14]:未来の英雄 力を求めて 終焉 序章 2 - じゅん [12/8(Mon) 6:56]
Re[15]:未来の英雄 力を求めて 終焉 序章 3 - じゅん [12/8(Mon) 7:29]
Re[16]:未来の英雄 力を求めて 終焉 持たざる者 - じゅん [12/22(Mon) 4:12]
Re[17]:未来の英雄 力を求めて 終焉 それぞれの攻防 1 - じゅん [12/23(Tue) 1:15]
Re[18]:未来の英雄 力を求めて 終焉 それぞれの攻防 1ーβ - じゅん [1/27(Tue) 12:44]
Re[19]:未来の英雄 力を求めて 終焉 奪取 - じゅん [2/25(Wed) 7:33]
Re[20]:未来の英雄 力を求めて 終焉 再会 - じゅん [5/25(Tue) 5:52]
Re[21]:未来の英雄 力を求めて 終焉 それぞれの攻防 2 - じゅん [7/8(Thr) 10:48]
Re[22]:未来の英雄 力を求めて 終焉 光に染まる闇 - じゅん [9/23(Fri) 8:43]



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未来の英雄
じゅん [Mail]
6/23(Mon) 1:48
力有る者の称号

「英雄」

ある者は、称号を求め戦いに身を置き勝利をかさね
またある者は己を至高に導くために知識を喰らう

「英雄」を目指して・・・・
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Re:未来の英雄 はじまりの時
じゅん [Mail]
6/23(Mon) 2:56
「ちっ、かすりもしねぇ・・」

赤い大剣を担いだ隻眼の男が漏らす

黒装束の集団が男の周りを囲んでいる

隻眼の男は明らかに不利な状態だった
黒装束の集団は陣形を組み包囲を狭める
すると一人の男が隻眼の男に向って語りかける

「最後の警告だ。引き返せ」
その声は人間的な温かみが全く感じられず、機械よりも冷たく響く
「へっ、はいそーですかと・・」
隻眼の男が言い終わらぬうちに黒装束の集団は行動を起こしていた
警告していた男が放った一言を合図に一斉に銃口を向ける
「消去(デリート)しろ・・」
「くっそぉぉぉぉぉ!!!卑怯だぞ!銃なんか使いやがってぇぇ」
フォトンの銃弾が隻眼の男に集まる・・・



赤い大剣が隻眼の男の手から離れるのに、そう時間は掛からなかった
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Re[2]:未来の英雄 力を求めて 愚者
じゅん [Mail]
6/23(Mon) 3:46
パイオニア2の倉庫で瀕死の重傷を負ったハンターが発見された事はすでに噂になっていた。

被害にあったハンターの性格を知るものは
喧嘩の報復にあったのだろうとか
今まで泣かせてきた女絡みだろうと
根も葉もない噂話に尾ひれをつける事に熱心だった

しかし、裏ではハンターズギルドは軍の仕業であるとの見方を示していた
重傷を負った当のハンターはギルドからの依頼で軍の不正や腐敗
更には一般に公開されるべきラグオルの現状の情報を隠蔽、捏造した証拠を突き止めるために潜入捜査中だったのである
もちろん、軍はハンターズギルドの見解を全面否定している

また、軍は今回の事件をきっかけに一般民間人に対しても圧力を掛けるようになった
ハンターの怪我の原因が「銃」であることを利用し民間人の間で流通している護身用のハンドガンにまでハンターズライセンスの所持を義務付けたのである

表ではギルドに協力の姿勢を見せ、犯人逮捕に躍起になっている軍も
水面下でギルドと激しい衝突を繰り広げていた
事件の思惑とは無関係に・・・・・・
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Re[3]:未来の英雄 力を求めて 隠者
じゅん [Mail]
6/23(Mon) 5:22
ハンターズライセンス更新の手続きを済ませたフォーマーがショップへ向っていた

一週間前の事件が解決していない中でこのフォーマーはギルドから依頼を回されたのである

「ついてないなぁ・・」

愚痴の一つも出てくるのも仕方がない
何しろ事件の情報が曖昧である
何の準備も無しに依頼を受ければ結果は明らかだ
自分も同じ運命かと思えば誰もが気が滅入るだろう

「何をそんなにおちこんでるの?ファインさん」
フォーマーに声をかけるハニュエールがいた

「なんだ、キラちゃんか・・」

「む、なんだとは失礼だなぁ。折角声かけて挙げたのに・・」

「あ、ご免・・ちょっと厄介な依頼がな・・」

「なに、なに!どんな依頼?」

期待に目を輝かせて返答を待つ少女にうっとうしいとばかりに答える
「俺に蜂の巣になってこいとさ・・」

「・・・・・あ、あぁ、あの依頼だね・・」
流石にこの事件に関しては少女も乗り気ではないようだ
「でもファインさん強いから大丈夫でしょ?ね?」

「あのなぁ・・今入院してるハンターの評判知らないのか?」

「ギルドで1,2を争う女泣かせ、でしょ」

「・・まぁそれもあるが、喧嘩屋っていう通り名もあるんだよ、
なにせチャレンジシュミレータを素手でクリアしたって言うしな」

「へぇ・・そんなに強そうに見えなかったけどな・・・・・
なんかくだらない洒落ばっか言ってるし・・今日だって・・」

キラの言葉にファインは驚く
「今日?!もう傷が治ったっていうのか?」

ファインの反応に逆に驚くキラ
「えーーー!!知らなかったの?3日も前に治ってるよ。
流石に完治とは言えないみたいだけどさ・・・・・・・・・
で今はボクの家で特訓中なの。なんでも『この手でボコボコにしてやる』って」

「特訓って・・キラちゃん家・・そんな施設あるんだ・・」

「あるよー、病院に負けない位の医療機器もあるから治療と特訓にはもってこいの環境だね」

「とにかく、そのハンターはもう元気といえば元気なんだな?」

「うん」

「じゃぁ、依頼のためにも少しでも情報集めたいからな・・家にいってもいいかな?」

「うんいいよー」

ファインは喧嘩屋と謳われたハンターから情報を聞けることを理由としたが
実の所その凄い設備の整ったセルフィーユ家に興味津々だった
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Re[4]:未来の英雄 力を求めて 節制
じゅん [Mail]
6/24(Tue) 21:25
宇宙船内において、「一部」の人々は、本星と変わらない生活を送っていた
しかし、大半の移民は質素な生活を余儀なくされていた
セントラルドームの爆発があってからは、尚更である

パイオニア2の物資の残りは僅かで、生産活動も、人工的な環境では
目の前に広がる肥沃な大地には敵わない

一部の食料品や嗜好品は、配給制度が取り入れられ、あらゆる消費活動が極限まで抑えられていた

それでも普通に生活する分には問題は無く、移民の大半はラグオルへの移住を夢みて
互いに協力し合い、平和を維持しようと努力していた

今回の事件のきっかけに、移民の大多数は、近い将来に平和が自分達の手から遠く離れてしまう
という焦燥に似た思いを感じたようである

実際に、ギルドと軍の軋轢が表面化し始めると、その思いは一層強くなったようだ

人々はギルドではなく、軍でもない、新たな「力」の拠り所として
一つの家の者たちを選んだ

それが「セルフィーユ家」である
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Re[5]:未来の英雄 力を求めて 塔
じゅん [Mail]
6/24(Tue) 23:04
初めてセルフィーユ家を目の当たりにしたファインは、言葉を失った
想像していたよりも、遥かに大きく、そして広かったからである

(良い所のお嬢様っていう感じじゃないんだがなぁ・・)

隣で端末を操作しているキラを見ながら、いぶかしむ

「なに?ボクの顔に何かついてる?」

急に話し掛けられ、我に帰る

「あ、いや・・でかい家だなぁ・・ってね・・・・」

「・・そうかな?普通だと思うけど」

「・・・・(やっぱりお嬢様か・・)」

「ただーいまー」

明るい声が響くとメイドロボットが出迎える

「お帰りなさいませ、お嬢様」

「うん、ただいま。あ、そそ、こちらファインさん」

「いらっしゃいませ、ようこそおいでくださいました。
わたくし、セルフィーユ家にお仕えしております、メイドロボでございます
以後お見知りおきを」

「・・あ、いえ、こちらこそ・・」

(旧型アンドロイドか?骨董品みたいなもんじゃないか・・)
唖然としているファインをよそに、キラが話を進める
「ねぇ、今ヒロさんどこに居るか解る?」
「只今別館のVRルームで、ジュン殿と特訓中でございます」

「ありがとー、またあとでねー」
「かしこまりました」

「さぁ、ファインさん。いっくよー」
「ん?ああ・・」
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Re[6]:未来の英雄 力を求めて 戦車
じゅん [Mail]
6/25(Wed) 1:26
二人の男が肩で息をしながら武器を構えなおす

「ラスト一本!!」
隻眼のヒューマー ヒロが叫ぶ

「こい!!」
フォーマーのジュンも叫び返す

ヒロが間合いを詰めてダブルセイバーを振り下ろす
同時にジュンもツインチャクラムを構え、前にでる
二人の体が交錯すると甲高い音が響く

互いに位置を入れ換え、間合いを計りなおす

ジュンの頬に一筋の傷が走っていた

ヒロの攻撃がわずかだがジュンの顔を掠めたのだ

「だいぶ勘を取り戻したようですね」
ジュンが全身で息をしながら言う

ヒロの左腕からは血が点々と滴り落ちる
ジュンの攻撃もヒロを掠めていたのだ

「そっちこそ、フォースにしておくのがおしいねぇ・・」
ヒロが間合いを取りながらつぶやく

ヒロが再び斬りかかる
ジュンは半歩横に移動して、ヒロの攻撃を受け流すと
無防備な後頭部に向って裏拳を叩き込む
ヒロの足が一瞬止まる
すかさずジュンは回し蹴りを放った
しかし、ヒロは怪我をしている左腕でジュンの蹴りを受け止め、そのままジュンの軸足を払う
ジュンが仰向けに倒れると
喉もとに、ダブルセイバーを突き付ける

「これで、俺の勝ちだな」
「ええ、そうですね・・本調子に戻ったようですね」

「・・・だがこれではまだまだだな・・・」
言いながらダブルセイバーを引き、倒れているジュンに手を差し出す
「ありがとうございます」
差し出された手をつかみ起き上がる

「しかし・・こうなると、もう私では特訓の相手はつとまりませんね」
ジュンが頬の傷を指でなぞりながら言う

「知り合いに、良いハンターが居るんだ。今度はそいつとでもやるさ・・・」
ヒロは左腕の傷にかまわず、VRルームから出て行こうとする

「まぁ、まずは傷の手当てをしましょう。詳しい話はその後で」

「・・・・・・そうだな・・」




二人がVRルームから出ると、ついさっき帰ってきたキラとファインがこちらに向ってくる

「おぉ、お嬢様お戻りになられましたか・・」
「よっ!キラちゃん・・て隣はだれだい?」

「始めまして、ファインといいます。実は・・」
ファインがここにきた理由を話そうとしたとき
「あれ?今日の特訓もう終わりなの?見たかったのになぁ・・・」
キラが残念とばかりにため息まじりで言う

「ええ、今日はもう終わりです。これから傷の手当てをしようと思っていた所です。ファイン殿も何かお話がありそうですから、また後ほどお会いしましょう。」
ジュンはヒロと共にメディカルルームへと足を運ぶ

「じゃー、お茶の時間になったらいつものところでねー」
キラが歩き出した二人に向っていう

「かしこまりました、ではまた」
ジュンが会釈をして、その場ををあとにする

「さーて、お茶の時間まで一時間ほどあるけど・・どうしよっか?」
キラが瞳を輝かせながらファインにたずねるが、もう頭の中はお茶の時間の事で一杯のようだ
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Re[7]:未来の英雄 力を求めて 女司祭
じゅん [Mail]
6/26(Thr) 2:10
メディカルルームでは異様な光景が広がっていた

フォマールの一人が涙目になりながら、部屋の隅で固まっている
「あうあう・・・そ、それだけは嫌だよー」
注射器を片手にじりじりと迫るフォマールが、笑顔で言う
「観念なさい・・是が一番効果があるんだから・・うふふ」

ジュンとヒロが暫くの間、何事か?と黙って見ていると
「かすみちゃんを止めてぇーーーー」
「あら、ちょうどいい所に。リューネを押さえててくださる?」

二人に、同時に協力を要請されてしまった

「どうするよ、ジュン?」
「どうすると言われましてもねぇ・・事情がさっぱりですから」
「とりあえず、リューネを押さえときゃあ問題ないだろ」
「そうですね」
「あうあう・・二人ともひどぃぃ・・」

かくして、リューネはかすみの前に連れ出されることになる
「うふふ・・さぁ口を開けて・・」
「なんだ、虫歯にでもなったのか?」
ヒロがからかってもリューネから反論は無い
どうやらその通りのようだ
「まぁお茶の時間にまでは治るからほんのチョットの辛抱よ」
かすみは、なぜか嬉しそうに虫歯の治療を始める

一通りの治療を終えると、リューネがぶつぶつと文句を言いながら
メディカルルームから逃げるようにでていく

「さぁ次はお二人の番ですね。じゃぁヒロさんからいこうかしら」
「はいはい、おてやわらかに頼むぜ」
そう言いつつ、ヒロはかすみの腰に腕をまわす
「傷口に硫酸を掛けられたいようですね」
そう言いながら、かすみは笑顔で肘鉄を喰らわせる
「つれないねぇ」
ヒロは性懲りも無く肩を抱き寄せる
「治療を止めて改造手術にしましょうか?」
かすみはすかさずヒロの腕を捻りあげる
「あたたたた・・わりぃわりぃ、かすみちゃんがあんまりにも可愛いからさ」
「ふぅ、傷の治療より先にその手癖の悪さ何とか出来ないかしらね・・」

治療中も似たようなやり取りがあったのだろうか、
普通の治療よりも倍以上の時間がかかってヒロが出てくる

「おうわりぃ、次はあんたの番だ」
「中でなにやってたんですか・・」
「それは秘密だ・・」
「なんだか、逆に傷が増えているのは、気のせいですか?」
「お、おう気のせいだ」

ジュンはため息交じりで治療室に向った


その頃、キラとファインは倉庫らしき部屋で武器の品定めをしていた
依頼の準備をしておきたいファインの希望である

(まじかよ・・・ショップ以上の品揃えじゃないか・・)
実際、銃だけでも軍隊にしか出回ってないものもある
剣にいたっては、一部の愛好家が好む、非フォトン製武器も多数見受けられる

(どうなってるんだ、この家は・・)

「ファインさん、そろそろお茶の時間なんですけど・・」
「・・・・ん、ああそうか、やっと依頼の情報がきけるな」
「そうじゃなくって・・お茶を楽しもうって気にはならない訳?」
「依頼が依頼何でな・・・そうもいってられん」
「なんかもったいないなぁ・・まいいや。さ、いこう」
キラに促されてファインも倉庫を後にする
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Re[8]:未来の英雄 力を求めて 世界
じゅん [Mail]
7/3(Thr) 6:40
「やはり、軍が関係してるんですか?」
ファインがティーカップを置く
「ああ、奴等カスタムレイ使ってやがったしな・・」
ヒロは空のティーカップを乱暴に置くと、ポケットから、ちびたタバコを取り出し斜に銜える
「お茶の時間にタバコはだめだよ」
とキラに咎められるが「火は付けねぇよ」と答える

「でも・・カスタムレイ位ならハンターズにも出回ってるし・・
この家にも何丁かありますしねぇ・・」
紅茶をすすりながら、かすみは澄ました顔で言う
「そだね」
お茶請けのケーキを笑顔で頬張りながら、キラも同意する

「それだけじゃねぇよ・・TEAM00特有のフォーメーションアタックで俺はやられたんだ・・間違いねぇ・・」
悔しそうに顔を歪めているものの、手は何故か隣に座っている
かすみの腰に伸びていた
かすみも何食わぬ顔でヒロの手を力一杯つねっている

(少なくとも、軍の機密についての調査だから、軍隊のどこかのチームが
警備に当たっていても不思議は無い・・それにヒロさんからの情報
も信用できそうだしな・・しかし、ヒロさんは敵に正体を見破られている・・・)

ファインは情報をまとめながら紅茶を飲み干すとヒロに告げる
「ヒロさん、やはり貴方は俺と一緒に行くべきではない・・今回は、手を引いてください」

「こうか?」
ヒロは拳を握るとゆっくりと手前に引いた

「そうじゃなくって・・・今回俺に回ってきた依頼です!!
貴方は復讐が目的になってるじゃないか!!」
ファインは声を荒げる

「復讐が目的?当たり前だ!喧嘩屋としてのプライドを傷つけた奴等は俺がこの手で叩きのめす!!
・・あんたは、その後でゆっくりと調査でも何でもすればいいのさ・・・」

重苦しい空気が辺りに漂う
その時
「喧嘩はよくないですよ・・折角のお茶の時間ですし・・それに
協力すれば困難な依頼もきっと達成できますから・・ね?」
フォマールの少女、ルーが二人をなだめようとする

「そうだな、一人で達成出来なかった依頼だ、今回は協力者が多い
方が懸命な判断と言えるだろう。もちろん我々も協力する、相手が軍隊ならば、個人でどうにか出来る依頼でもないだろう」
ジュンが付け加える

「そうだよ、ボクだってハンターの一員なんだから手伝えるよ」

「また、大怪我するかもしれませんからね、私も役にたてそうです
ね、もっともセクハラばっかりするような人には協力しませんが」

「ほら、周りもこういってることだし、ファインさんはおとなしく
調査に集中すればいいのさ」
キラとかすみの言葉を盾にヒロがファインに言う

「・・・・・そうですね・・では今回の依頼『軍の情報操作による
不正な隠蔽、捏造の証拠を突き止めてくれ』というギルドからの依頼を正式に皆さんと一緒に受ける事にします・・よろしく」
ファインは苦笑しながら皆に向って言う

「へへ、素直じゃねぇなぁ」
「よろしくねー」
「うふふ・・・よろしくね」
「宜しくお願いします」
「喧嘩にならなくて、よかったですね」





皆の新たな決意をよそに呑気なフォマール、リューネが
「お茶がおいしいわぁ・・」
と一人、別の世界に行っていた
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Re[9]:未来の英雄 力を求めて 逆位置 隠者
じゅん [Mail]
7/12(Sat) 1:33
「シャドウ様、依頼主からのメールです」
携帯用端末を片手にしたハニュエールが、部屋に入ってくる
端整な顔立ちだが、感情を押し殺したような雰囲気を漂わせている

「熱心な事だ・・・・俺たちがヘマをしでかすわけが無かろう・・」
シャドウと呼ばれた男は、氷のような冷たい目でハニュエールを睨みつけると
「適当に返信しとけ・・・・」
寒気を感じさせるほど冷酷に言う
まるで吹き荒れる、強風のように・・

「わかりました・・」
ハニュエールは短く返事をすると、部屋を出て行く

「フン・・・心配なら、てめぇらでやれってんだ・・」
シャドウは一丁の銃の眺めながら呟く
彼の目にはカスタムレイが映っていた


ハニュエールは部屋から出ると端末の操作をはじめる

慎重に言葉を選びながら返信用のメッセージを作成していると
後ろから声がかかる

「よう、どうだった?」
フォーマーが、口許にかすかな笑みをうかべながら、近づいてくる
張り詰めた雰囲気をかき消すような、明るい声だ

しかし、声を掛けられたハニュエールは、声の主を見ようともせず
黙って作業を続けている

「全く・・冷たい女だなぁ・・・」
「で、隊長とどんなお話してたのかなー?」
からかうような口調で話しかけていると
ハニュエールは横目で声の主を確認すると
「暇なのか?エルカイザー・・」
と、抑揚の無い声で答える

端末での作業を終えたのか、顔を上げて
エルカイザーを一瞥するとすぐに歩いて行く

「へっ・・愛想がないねぇ・・流石に『氷のセル』と言われるだけはあるねぇ・・」
エルカイザーは、つぶやきながら後を追う

エルカイザーが、セルに追いつくと
「情報の解析がおわったぜ・・やっぱりあれはダミーだ」
さっきとは打って変わって、表情から明るさが消える
この男もまた、見るものに寒気を感じさせる独特の雰囲気を纏っている
「俺たちも、誰かに良い様に利用されてるのかもな・・」
「ならば『黒い葬儀屋』のである、お前の出番ではないか・・」
セルは表情をかえずに答える
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Re[9]:未来の英雄 力を求めて 力
じゅん [Mail]
7/19(Sat) 2:32
「じゃあ、作戦はこうだ・・まずチームを二つに分けよう
集団で軍関係施設周辺をうろついてたんじゃ、まず怪しまれる」
「まぁ妥当だな・・」
ファインの提案を、ヒロは真剣な表情で同意する

お茶の時間からそのまま、作戦会議となってから
すでに長い時間がたっている

軍の機密を暴く

貧弱な装備と有名な、パイオニア2の軍隊も
それはパイオニア1と比べての事

実際には移民集団の治安維持、統括など
さまざまな場面で、軍隊はその力を誇示し続けている

ヒロも「彼等」の力の前に、一度屈服している

慎重になるのも当然だった

「チーム編成はどうしましょうか?」
ジュンがファインに問いかける

「えーっと、調査担当のチームは僕とヒロさんは決定ですね、
潜入捜査という形になるので、あと一人か二人って所でしょうね、
バックアップ担当を多めにして、不測の事態に備えるのが良いかと・・」

「了解、調査担当は、又戦闘なんかあるかもしれないからな」


「では、私はバックアップでいいですか?戦闘とかはちょっと・・」
ルーがおずおずと口にすると
「じゃぁ私もね、戦闘よりも治療の方のほうが好きだし・・
何より戦闘で足を引っ張るのが目に見えてるもの、
怪我人を傍で見れるのは魅力的だけどねー・・」
かすみは冗談なのか解らない事をさらりと言う
周囲が反応に困っていると
「じゃボクが調査担当に回るよ」
キラはなぜだか楽しそうである
お気楽、という訳でもないのだろう
ハンターとして、自信があっての発言だ

「・・・・・・・・」
回答が無いのは、ジュンである
この男は

お嬢様であるキラを護衛するために調査担当に行くか
妻である、ルーのバックアップを手助けするかで

悩んでいるのである

キラが調査担当に属さなければ自分が調査を担当しようと
思っていた矢先に、キラが答えてしまったからである

苦虫を噛み潰したような表情で悩み続ける男をよそに、話は続く

「調査担当の大半は障害の排除に追われる事になるだろうよ、
装備なんかを見直しといたほうがいんじゃねぇか」

「そうですね、このままでは不安ですね」

「じゃぁ3人で倉庫いってみよっか?」


ヒロ、ファイン、キラの三人が席を立ち倉庫へと向う


結局、悩む男は答える前に、自動的にバックアップ担当になってしまった
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Re[10]:未来の英雄 力を求めて 逆位置力
じゅん [Mail]
7/19(Sat) 2:56
「エルカイザーは依頼主の裏を取って来い、背後関係を特に重要に洗え。
セル、お前はチタンと一緒にギルドと「奴」を監視しろ
性懲りも無く動くようであれば、排除してもかまわん
残りは俺と一緒に、もう一度『狩り』をする。今度はカモフラージュ無しだ、それぞれの得物をもってこい、以上だ」

大型モニターからの映像が切れると、辺りは一気に騒がしくなる
映像の男から発する威厳と、恐怖を感じさせる口調に
一同は、緊張を強いられていたのだ

暗い部屋の隅で、腕組をし壁に寄りかかっていたエルカイザーがつぶやく
「ラボとギルドと軍・・愉快な状態じゃねぇか」
エルカイザーのつぶやきは辺りの喧騒にかき消され
誰の耳にも届かなかった
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Re[11]:未来の英雄 力を求めて 混沌
じゅん [Mail]
9/22(Mon) 1:38
「定時報告は済ませたか?」

「只今、送信中です、それまでの間はお茶でもどうぞ」

「何故、このタイミングでお茶が出てくるんだ・・」
ニューマンの女性と厳ついアンドロイドがオープンカフェの一画で
寛いだ様子で会話している

一見、ハンターズのコンビとも見て取れる二人が住宅街の洒落た
カフェにいる事は、周囲の話題になっていた

仕事が終わっての一服か、これからの仕事の打ち合わせなのか

一つだけハッキリしている事は、彼らが余り見ない顔であるという事だ
その事実が、周囲の噂話に色を添えている

そんな二人に近づく一人の男がいた

鈍く不気味に光る大きな剣を背負い
一見でハンターとわかる男だ


二人に近づくと、とたんに話し始める・・・
相手のことはお構いなしのようだ
「ああ、君たちはハンターズだね?いや言わなくても解る
折角だからもっと美味しいお茶をご馳走しようじゃないか。
わざわざ、カフェでお金を出して飲むより数倍美味いことを
俺が保障するよ。」

話しかけられた当の二人は、突然の事にしばし呆然としていた

「いやなに、俺の知り合いが厄介になってる家でさぁ、
もうパイオニア2にある物なら、たいていの物が手に入るって
いうからおどろきだ!あ、ちょっとまってくれないか、とりあえず
最後まで話を聞いてくれよ。」

男は一旦言葉を区切ると、
もったいぶって言う
「セルフィーユ家ってしってるだろ?」

席を立ちかけていた二人は、思わず男の顔に視線を移す

二人の反応にしてやったりとばかりに、顔を崩すと
更にヒートアップする
「興味が沸いてきたかい?OKOK。詳しい事は、移動しながら
話そうじゃないか、あ、俺はイルル、南海の暴君とは俺の事よ!」

「ご丁寧にどうも、私はハニュエールのセル、
こっちはレイキャストのチタンです」

「宜しくお願いします、イルルさん」
「おし!じゃぁ早速いこうか!」

一人軽い足取りのイルルをよそに
セルとチタンは軽く目配せをしていた

(ターゲットとの接触の機会がこんな形になろうとはな
まぁいい、しばらくは新参ハニュエールで通しておくか)
レスをつける


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Re[12]:未来の英雄 力を求めて 混沌 2
じゅん [Mail]
9/22(Mon) 2:18
「へぇー、って事はあんたら新米なんだな。よし、わかんねぇ事は俺に聞きな!」
大剣を背負ったヒューマー・・イルルが終始話しかけてくる

「はい・・えっと・・セルフィーユ家って実際どんなところなんでしょうか?噂ばかりが有名で・・」

新米ハニュエールを装うセルが、おずおずとたずねる

「ああ、そうだなぁ・・・まぁ俺の主観でしかねえが
まずは、当主はいつも不在、その妹が家で好き勝手ってわけでもないが
まぁ好きにいろいろやってるな、
そして執事、こいつはぁ頭が固くていけねぇ
あんな堅物とはつきあえねぇな・・
それでも嫁さんいるのが不思議でなぁ・・
後はメイドロボ達、こいつらがまぁ屋敷の住人みたいなもんだ
そのほかの奴は、たいていがギルドに愛想つかしたハンターズ連中だ
あそこにいけば物にも仕事にも不自由しないからな・・」

「・・い、いろんな人がいるんですねぇ・・」
セルが引き攣った笑顔を作り、話を聞き先を促すと

「ああ、そんなに緊張するなお嬢ちゃん。楽しい奴等ばっかりだ」

上機嫌で話し続けるイルルに後ろから声がかかる

「イルル、イルルどこいくの?」
三人が振り返ると、幼い兄弟がいつの間にか後ろについてきていた

「おう、オルカにテトラか久しぶりだなぁ。」
イルルはかがみこんで兄弟と話し始める

「今度はどこいくの?前のお土産の約束破ってるんだから今度こそ
ちゃんともってきてよ」
「おぅ、あん時はわるかったな・・今度は期待していいぜ!」
「・・まえもそういってなかったかな?」
「・・・うぐっ。まぁおとなしくいい子にしてたら持ってきてやるさ」

イルルはそういうと、二人の頭を少し乱暴に撫で、立ち上がった

「じゃぁな、これから仕事だからな、ちょっとばっかし急いでるんだ」

「じゃぁね、イルル」

二人の兄弟は走ってさっていった
その後姿を、イルルは見えなくなるまで見つめている

「やさしいんですね」
と、セルがつぶやくと
イルルは顔を赤くする

「いや、・・まぁなんだ、何か夢持ってるガキんちょの目みてるとな
つい・・なぁ・・」

兄弟の走り去った方向を見つめながらつぶやく

「いけねぇ、ついしんみりしちまったな。もう少しで着くぜ!」

空回り気味な元気のイルルの言葉は、自分自身を鼓舞するように辺りに響いた

(こいつは使えるかもしれないな。チタン、あの二人の事も報告しておけ)
二人のやり取りには、イルルは気づかなかった
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Re[13]:未来の英雄 力を求めて 終焉 序章 1
じゅん [Mail]
10/10(Fri) 12:18
「なんでこんなことになるのよぅ・・あぅぅ・・」

壁の向こう側から、何度と無く呪詛じみたつぶやきが絶えず聞こえてくる
やれやれ・・またリューか・・
全く・・文句いってたって事態が変わるって訳でもないだろ

「うるせぇなぁ・・ちょっとは黙れってんだ」

その気持ちも解らなくも無いが、原因はお前だぞ・・

「なにさ〜・・いるるちゃんが連れて来た変な二人組みのせいじゃないのさ〜」
「あの二人が影のチームだなんて解る訳ねぇだろうが!」

おーい・・・喧嘩するくらいならこの愉快な状況を何とかしよう
とか思わんのかね・・・・

ま、そうはいっても手詰まりなのは明白だし・・・
お嬢様達が依頼の方に出かけた後だったから私も少しは気が抜けていたかもしれないな


・・・・考えがまとまらない・・少しは静かにしないと、見回りのやつが来るぞ・・・

「静かにせんか貴様ら!!」

チタンとか言うレイキャストだな・・・・
もしかしたらチャンスかもしれん・・・・

「三人の向った場所と、我々の目的について話せばいいんだったな?」


喧嘩していた二人も、レイキャストも絶句したか・・

「てめぇ何考えてるんだ、仲間売るつもりか!?」
「だめだよぉ〜・・・キラちゃん達に何かあったら・・」

「本音を言うとな・・お嬢様さえ無事なら、後の二人はどうなっても構わん。
それにルーの行方も気になる・・」

「・・・・解ったその条件でお前を解放してやろう・・付いて来い」

よし・・・・開いた!
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Re[13]:未来の英雄 力を求めて 終焉 序章 1+
じゅん [Mail]
10/10(Fri) 12:46
「なんでこんなことになるのよぅ・・あぅぅ・・」

しつこいぞ、リューネ・・てめぇ・・いい加減にしろ・・
ちったぁジュンみたいに黙ってろ・・・ぐちぐち言ってたって
どうにもなんねぇだろうが・・

・・またか・・・

「うるせぇなぁ・・ちょっとは黙れってんだ」

「なにさ〜・・いるるちゃんが連れて来た変な二人組みのせいじゃないのさ〜」

ジュン・・あんたがいわねぇから言われちまったじゃねぇかよ・・

「あの二人が影のチームだなんて解る訳ねぇだろうが!」

ああ・・
たしかに俺のミスだ・・・そこは認める

「静かにせんか貴様ら!!」

おーおー元気なこって・・セルがいなきゃタダの箱の癖に・・

「三人の向った場所と、我々の目的について話せばいいんだな?」


なっ・・・何考えてやがる・・

「てめぇ何考えてるんだ、仲間売るつもりか!?」
「だめだよぉ〜キラちゃん達に何かあったら・・」

「本音を言うとな・・お嬢様さえ無事なら、後の二人はどうなっても構わん。
それにルーの行方も気になる・・」

自分の女がそんなに大事かよ・・

「・・・解ったその条件でお前を解放してやろう・・付いて来い」

一人だけ首尾よく解放か・・
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Re[13]:未来の英雄 力を求めて 終焉 序章 1+
じゅん [Mail]
10/10(Fri) 13:04
「なんでこんなことになるのよぅ・・あぅぅ・・」

こんなこと呟いてもどうにもならない事はわかってるけど・・
・・どう考えても納得できないわぁ
なんで?なんで?

「うるせぇなぁ・・ちょっとは黙れってんだ」

うぅぅぅ〜・・何で『原因』のあんたに言われなきゃなんないのぉ

「なにさ〜・・いるるちゃんが連れて来た変な二人組みのせいじゃないのさ〜」
「あの二人が影のチームだなんて解る訳ねぇだろうが!」

・・・・・私もわかんないわぁ・・・・

「静かにせんか貴様ら!!」

あうあう・・・怖いよぉ・・・
キラちゃん、かすみちゃん助けてぇ・・

「三人の向った場所と、我々の目的について話せばいいんだったな?」

・・・・
うそぉ・・何でじゅんちゃんが?
いるるちゃんならやりかねないけど・・・

「てめぇ何考えてるんだ、仲間売るつもりか!?」
「だめだよぉ〜キラちゃん達に何かあったら・・」

「本音を言うとな・・お嬢様さえ無事なら、後の二人はどうなっても構わん。
それにルーの行方も気になる・・」

私もかすみちゃんの行方・・気になるわぁ・・
二人はどこに逃げたのぉ?

「・・・解ったその条件でお前を解放してやろう・・付いて来い」


あぁん・・ずるいわぁ・・
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Re[14]:未来の英雄 力を求めて 終焉 序章 2
じゅん [Mail]
12/8(Mon) 6:56
「軍のセキュリティ関係が完全に麻痺してる・・」
ホーリーレイを脇にに抱え、端末を操作していたキラが呟く

「手間が省けてよかったじゃないか」
「何を呑気に・・・罠に決まってるだろう」
流星棍を杖替わりにし、気だるそうにしていたヒロに対して
ファインは、やれやれとばかりにため息をつく

「ああ、罠だな。だがよ、こっちとしては願ったり叶ったり
ってもんだ。なーに、あんたにゃ迷惑かけんさ」

流星棍を素振りしながら気合でも入れたのだろうか
別人のような雰囲気が漂ってくる
さっきまでとは違い『喧嘩屋のヒロ』がそこにいた

「一応ジュン達に連絡取っておこうか・・・」

ファインが通信機を起動させる
が、反応はなかった


「おかしいな・・・」
何度も同じ操作を繰り返すも、通信機の反応は変わらなかった

「あー、無駄無駄、ここいら辺り一帯は軍専用の通信機じゃなきゃな
さぁ、いくぜ」
ヒロの落ち着いた声に促されて、キラが後に続く

「ファインさん、おいてくよー」
キラの呑気な声にファインは我に返る

「あ、ああ・・・すぐいく」
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Re[15]:未来の英雄 力を求めて 終焉 序章 3
じゅん [Mail]
12/8(Mon) 7:29
「鳥は籠の中に入りました」
モニターで3人組の行動を
余すところ無く監視していた一人の男が通信機に向って伝えると

「了解」

と短く、冷たい返事が返ってきた

今しがた報告を受けた通信機の操作をやめ
周囲を取り囲むアンドロイドに向って静かに言い放つ
「狩りの準備はいいな?鳥が狩場に到着次第開始
3匹いるが狙いはこいつ、フォースに絞る」
「「「はっ!」」」
アンドロイド達は一斉に答える、

まるで軍隊のように
「二度と飛べないようにしろ、シャドウの名の下に!」
「「「はっ!!」」」
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Re[16]:未来の英雄 力を求めて 終焉 持たざる者
じゅん [Mail]
12/22(Mon) 4:12
「お屋敷にはもどれないの〜」
疲弊しきったかすみの声に、ルーは静かに応える
「まだ何人か残ってるようです・・・でも、だいぶ少なくなった
ようですね・・・」

二人はパイオニア2の、居住区と程近い、生産工場区画に身を潜めていた
そこは、セルフィーユ家と所縁のある工場区画で、シャドウの組織の不意打ちの際に、とっさに逃げ込んだのである

薄暗い工場の中は、完全に人気は無く、同じ動きを繰り返す機械だけが、延々と音を立てている

「もうこんな人気の無い所に居るのはやだよ・・・」

かすみは弱弱しい声で呟く

「・・・二人でお屋敷を取り戻しにいきませんか?」
今まで、屋敷をモニター越しに見ながら思案にふけっていたルーが
提案する

「無理だよぅ。ジュンさんたちでさえ捕まった人たち相手に
私たちが何を出来るって言うのよぅ」
かすみはぶつぶつと、文句を言う
「では、ここで助けを待ちますか?」
ルーは静かに問い返す

「・・・・それも嫌・・かな・・」
消え入りそうな小さな声で、かすみが答える

「確かに私たちは、戦闘行為においては『非力』かもしれません。
実際私なんか、ジュンさんがいないと、何をしていいのか解らなか
ったりします。いつもふたりで行動していましたし、助けられてい
ました・・・でも『非力』は『無力』とは違うんじゃないかな・・
私達にも出来る事が有るんじゃないかと思うんです。」

かすみを励ますように、自分自身も挫けてしまわないように
努めて明るく語る
「ね?」

「・・・・・・・解ったわ、仮にもハンターズLv80を超えてる
んですもの、ちょっとは頑張ってみようかしら。」
かすみのはっきりとした、意思のこもった声に、
ルーは顔を輝かせる

「さーて・・・セルフィーユ家にチョッカイ出したらどんな目に会
うか、身をもってご理解してもらおうかしら」

かすみのいつもの調子が戻ってきた
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Re[17]:未来の英雄 力を求めて 終焉 それぞれの攻防 1
じゅん [Mail]
12/23(Tue) 1:15
信じられない光景が眼前に広がっていた

別室に拘束していた一人のフォーマーを解放し
獲物の情報を訊き出して、また拘束する

その予定だった

しかし今は、二人の男が、迫りくる無数のアンドロイドと渡り合っているのである
互いに背中を庇いあい、目の前にいるアンドロイドに、刀を隼のように翻し連撃を叩きこむ
ドラゴンスレイヤーを一閃、力任せになぎ払う
遠くの銃を構える標的に向って、ジュンの突き出した左手から、極寒の冷気と氷の矢が放たれる
攻撃を素早くかわし、一瞬にして間合いを詰めてきたアンドロイドに対し、
イルルはブレイドダンスによるコンビネーションで返り討ちにする

(奴等を甘く見ていたのか・・・)

包囲陣の外側から成り行きを見ていたセルは、表情を曇らせる

「おい、リュー!まだかぁ?」
ドラゴンスレイヤーを振り回しつつ、イルルが叫ぶ

「ちょっとまって!・・えーとえーと・・」
二人の後ろから伸びている、細い路地の奥から、少々頼りない返事が返ってくる

リューネは転送装置の端末の前に座り、キーボードを必死で操作している
「・・・よしできたぁ!」

リューネの声とともに、低く唸る様な駆動音を発し
転送装置に光がともる

「行くぞイルル、後は逃げるだけだ」
ギゾンデで複数のアンドロイドを感電させながらジュンは言うが
「俺は残る、セルに個人的な用事もあるしな」
と、なんとも意外な答えが返ってきた

「逃げ切れるかどうかもわからんしな、一人残って装置をぶっ壊せば追手もふせげるだろっ!」

銃撃を流れるような足裁きでかわしながら
唖然としたままのジュンに答える

「行けっ!女房が心配なんだろ!・・・、それに俺にもかっこつけさせろ」
「・・・・・・・・・・・すまん」
それだけ言うとジュンはリューネと転送装置へ向う

転送終了を確認すると、イルルはドラゴンスレイヤーを装置に叩きつける

派手な音を立てて壊れる転送装置を背に、イルルは集団へ突進する

「さぁ、最後まで付き合ってもらうぜ!!」
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Re[18]:未来の英雄 力を求めて 終焉 それぞれの攻防 1ーβ
じゅん [Mail]
1/27(Tue) 12:44
「ほう、一人で残ったか・・・よほど痛い目に遭いたいと見える」
ソウルバニッシュを片手で振り回しながら、セルは挑発の言葉を投げかける

「フン・・俺はてめぇに訊きたい事があるんでな・・・それさえすめば
こんな所に用は無い」
今しがた倒し終えたアンドロイド達から視線を外して
イルルはドラゴンスレイヤーを肩に担ぎ、睨み返す

「素直に答えるとでも思うのか?・・・・それに、お前はもう此処から
どこへもいけないさ」
手にした大鎌を、ゆっくりと構えるセル
「それでも足掻くか?」

「素直に訊けるとは、ハナっから思ってねぇよ・・・・いくぜ!!」
肩に大剣を担いだままセルに向って突進すると
その勢いを乗せ、剣を振り出した

捕らえた!

そう思った瞬間、あるはずの手ごたえを感じられなかったイルルは
一瞬動きを止めて、相手の位置を探ろうとする、その時・・・
目の前に、突如現れたソウルバニッシュの刃が、イルルの首目掛けて迫っていた
素早くしゃがんでこれをかわすと、背後のセルに向き直る

(こりゃぁやばいな、速いってもんじゃねぇ・・・)

そう考えてる間にも、セルは大鎌を翻し、三日月のごとき刃を縦横無尽に振り回す
イルルは、一瞬の閃光のような斬撃を、ドラゴンスレイヤーでさばく
しかし、手にした大剣は、セルのスピードについていけるような物ではなく
鎌が振るわれるたびに、イルルは少しずつ傷ついていく
両足からは鮮血がほとばしり、大剣を操る腕は傷を増やしつづけ
歯を食いしばり、セルを睨み続けるその顔にも幾筋もの紅い線が走る

致命傷こそ避けてるものの、イルルの劣勢は明らかだった

(このままじゃ埒があかねぇ・・・攻めないとジリ貧になるだけだ)

イルルは迫り来る刃を、力任せに弾き飛ばした
強引に振り払われたソウルバニッシュは、セルを翻弄し攻撃を中断させる

(今だ!!)

イルルはドラゴンスレイヤーを手放すと
替わりに二振りの小剣を手に、セルの懐に飛び込む

(懐に入っちまえばこっちのもんだ)

イルルが懐に入ったその時だった

「がぁっ・・」

イルルの鳩尾に、ソウルバニッシュの柄頭がめり込んでいた

下腹部を貫く苦痛に喘ぎ、悲鳴を漏らしたのはイルルだった

最後に顎を蹴り上げると、宙に舞うイルルの体に背を向け、つぶやいた

「ふふ・・・まだまだ我々の役に立ってくれそうだ」
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Re[19]:未来の英雄 力を求めて 終焉 奪取
じゅん [Mail]
2/25(Wed) 7:33
密かに反撃に出た二人のフォマールは
破竹の勢いで、潜伏する敵を排除していった

見張りの巡回の最中、一人になったレイキャストを殴り倒し
とある部屋で休憩中と思われる集団をラバータで氷付けにする
さらには気取らないよう、遠くからゾンデの連発による狙撃

「何だ、結構なんとかなるもんねぇ・・・」
サミットムーンを手に、かすみが嘯いてみせる

「あと一人ですよ、頑張りましょう」
ルーはカジューシースを抱えたまま
屋敷のセキュリティセンサーとリンクした端末を操作する

二人とも肩で息をし、額に汗を浮かべている
疲労はピークに差し掛かっていた

「最後の一人は・・・中央ホール」
端末のモニターから顔をあげて、ルーが振り返る

「あいよルーちゃん」

かすみの威勢のいい返事を合図に、二人は走り出した



中央ホールに一人たたずむヒューキャストがいた
デュランダルを片手に、微動だにせず
ただひたすら待っていた

本来ならばチームのメンバーに半数以上の被害者がでた時点で
帰還するべきであった
また、目的のデータが回収済みであり、なおかつアジト本部からの
捕虜脱走のエマージェンシーコールを受けた段階で、帰還命令が
でていた
それでも彼が、この場にとどまる事を選択したのは
彼は自分のチームを壊滅寸前まで追い込んだ人物に興味があったからだ

敵は何人だ?
敵の得物は何か?
どんな戦い方をするのか?

未知の敵との戦いに焦がれる彼は、もはやシャドウの組織にいる事も、
チームのリーダーであることも棄てていた

近づく足音に期待を膨らませ、デュランダルを構える

かすみとルーが中央ホールに足を踏みいれた、その時

彼はけたたましい咆哮と共に、突進した


咄嗟の出来事に反応しきれなかった二人は
まともに体当たりを喰らう

「うあぁ」
「きゃぁぁ」

悲鳴を挙げて倒れる二人に向って、彼は剣を振り下ろす
寸での所で身を捩じらせ、斬撃をかわすと二人は素早く立ち上がる

「最後に厄介なのが残っちゃったわね」
かすみが距離をとりながら相手を睨みつける

「手ごわそうですね・・・」
ルーはカジューシースを構える

「二人で一斉に仕掛けないとやつのパワーに負けちゃうわね」
「ええ、それで隙ができたらテクニックで仕留める、それしかないですね」

二人が決意し、勇ましく前にでる
二本の杖は、まるでそれ自体が意思ある者のように動き回り
彼目掛けて振り下ろされる

振り下ろされた二本の杖を受け止め、いなし、後ずさりする彼は
二人の繰り出す攻撃に魅入りながらも、確実に受けきる

剣と杖のぶつかり合う音
武器が風を切る音
裂帛の気合と共に発せられる掛け声

どれもが懐かしく、すべてが彼を満たしてゆく
彼は、戦いを楽しんでいた



カジューシースの突きをかわす為、ヒューキャストが
バックステップで距離をとり、すかさず体当たりの為に
腰を落とし構える

「いまよ!」
かすみの叫び声と共に、地を這う大量の冷気が放たれる

ヒューキャストは両足を凍らされてしまい、身動きが取れなくなる
好機とばかりに彼に向ってテクニックが放たれる

眼前を覆いつくす爆煙と炎の壁

煙が退くと彼は仰向けに倒れていた


「・・・やった」
あらい息遣いのかすみが壁に寄りかかる
ルーもその場に杖に寄りかかるように座り込む
二人とも、体力の限界だった
それにテクニックの詠唱に必要なTPもほとんど無くなっている

「これで、お屋敷を取り戻せたんですね・・・」
感極まって目にうっすらと涙を浮かべるルー

「このまま寝たいけれど・・・こいつら外に放り出さないとね」
かすみが倒れたヒューキャストに近づこうとした、その時

彼は起き上がった

全身から煙をくすぶらせながらも、しっかりと立ち上がったのである
二人は慌てて武器を構えた、だが、もう戦える力は残っていない
逃げる力も残っていない
諦めと、悲壮な覚悟により、虚勢を張ろうとする二人に
彼は語りかけた
「・・・・私も、もう戦えん。君たちの勝ちだ」

唖然とする二人に背を向け、ヒューキャストは歩き出す

「次に会うときは敵じゃないことを願いたいもんだ・・・」
そう言葉を残して去っていった


極度の緊張から解放された二人はしばらくの間、呆然としていた
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Re[20]:未来の英雄 力を求めて 終焉 再会
じゅん [Mail]
5/25(Tue) 5:52
ジュンはセルフィーユの敷地から立ち去ろうとしているヒューキャストを見つけると背筋に悪寒が走った
(奴は・・・!)
思わず険しい表情になるジュンを知ってか知らずか
リューネが話しかける
「ねぇねぇ、あれってお屋敷のっとり実行犯だよね?」
間延びした声で話しかけられていても、ジュンの表情は変わらない
それどころか、腰に挿した刀に手をかけ、今にも切りかかりそうな状態だ
そんな、ジュンを視界に捕らえると、ヒューキャストは抜き身のままだったデュランダルを鞘にしまう
そして、険しい顔つきのジュンを一瞥すると、そのまま立ち去ろうとする

そんな仕草に一瞬、あっけに取られてしまったジュンだが、すぐさま間合いを詰め刀をヒューキャストに突きつけて静かだが、厳しい声色でたずねる

「どこへ行く?我が主の屋敷での無礼の数々覚えていよう、落とし前を付けるまでは、お前を帰すわけにはいかない。」
殺気すら感じさせる視線を、真正面から受け止めるとヒューキャストも静かに答える
「落とし前なら、2人のフォースにきっちり付けさせられた。チームは私以外は戦闘不能状態に陥り、緊急転送装置で本部に帰還済だ。
私も満足に戦闘行為が出来ない。今でも歩くのが精いっぱいなんでな」

2人のやり取りで辺りには、張り詰めた空気が漂っていた
リューネも固唾を呑んで2人を見守っている
そんな静寂を破る一つの声が3人の耳に飛び込んだ

「ジュンさん・・・・?」

2人が声のした方向に意識を向けた瞬間、ヒューキャストは緊急転送装置を起動させていた
「貴様とはまた会いたいものだ・・・今回はひとまず失礼する!」
去り際のセリフに、ジュンが意識をヒューキャストに戻した時には
光に包まれ転送され始めていた

「・・・・いっちゃったね・・・」
極度の緊張から解き放たれたリューネは思わずそう呟いていた
だが、それはジュンの本音でもあった
それに彼は静寂を破った声の主の方が気にかかっていた

屋敷の入り口にたたずむルーの姿を確認すると、今すぐに抱きしめたいという思いでいっぱいになった
刀を放り投げて駆け寄りたかった

しかし、それと同時に不甲斐無い自分が悔しくて、そうすることがためらわれた

いつもと様子の違うジュンにリューネが首をかしげていると
屋敷の奥から、かすみが現れる、そして辺りに漂うなんとなく
気まずい雰囲気にこそこそとリューネに近づき話しかける
「2人ともどうっしちゃったの・・・?」
「さぁ・・・あたしにもわかんなぁい」
「・・・いつもなら『お熱いね〜』とかからかえるのに・・・」
「ねぇ・・・」

二度目の静寂を破ったのはまたしてもルーだった
なにか言いかけては辞め、何も言えずにいる不器用な男に向って
精一杯の笑顔で語りかけたのだ
「おかえりなさい、ジュンさん」

その一言で、ジュンの中に渦巻いていたさまざまな思いが吹き飛んだようだ
ゆっくりと刀を鞘に戻すと歩み寄り笑顔で応える

「ただいま」
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Re[21]:未来の英雄 力を求めて 終焉 それぞれの攻防 2
じゅん [Mail]
7/8(Thr) 10:48
三人は囲まれていた

倒しても倒してもきりが無かった

一体倒せば三体現れ、三体倒せば十体現れる

「クッソォォォしつこいぞテメェら!!」

流星棍で近づく敵を片っ端からなぎ倒す

「しつこい人は女の子に嫌われるんだよ〜」

のほほんとしながらもホーリーレイを連射する

「とはいえこのままでは何も進展しないな、二人とも少し時間を稼いでくれ」

そういうとファインは精神を集中し始める

ヒロとキラの二人は無言で陣形を変える

自らの身体に溜め込んだ力を冷気に変えて放出するテクニック【ラバータ】

その凍て付く冷気は対象を凍らせることもしばしばあるが、術の発動までに若干のスキが生まれる

そんなファインをかばう為に、二人は先ほどよりも激しく動き回る

「いくぞ!二人とも巻き込まれるなよ・・・くらえっ!」

気合一閃、自分の体を中心にして全方位に向って冷気があふれ出す

次の瞬間、三人に迫ろうとしていた敵が氷の墓標に閉じ込められる

「ヒュゥ〜。相変わらずすげぇな、凍っちまえばアンドロイドもただの的だぜ!!」

進路をふさいでいた何体かを殴り飛ばして道を作り
区画をさえぎるシャッターをこじ開けるとファインとキラを先へと促す

「ヒロ、貴方は来ないのか?」

シャッターの前で背を向けたヒューマーに問いかける

「お前の目的は調査、俺の目的は復讐だ。ここで別れるのは当然の事だ」

振り返りはしないが笑顔だろうとなんとなく思うファインは頭の隅にあるかすかな疑問を口にする

「こいつらはTEAM00ではない、貴方の復讐の相手ではないはずだ」

「いいや、一度戦った相手だ間違えるわけがねぇ。この殺気、この強さ間違いなく俺の獲物だ」

「・・・・・・・そうかならば何も言うまい。無事に帰って来い!いいな?」

「あったりまえよ!報酬も貰わねェといけないしな、さぁいけ!」


ヒロに背を向け走り出す二人

「なんだか男の人って面倒だねぇ」

キラが呟いたが、それは誰にも聞こえなかった
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Re[22]:未来の英雄 力を求めて 終焉 光に染まる闇
じゅん [Mail]
9/23(Fri) 8:43
ファインとキラが目的の部屋の前に到着した時、すでに先客がいた。
暗い部屋の中で煌々と光るモニターの前に佇む男が険しい顔をしていた。

「ここまで来てしまったのか・・・できれば君達には穏便にお引取り願いたかったのだがな」

「旧型アンドロイドの群を嗾けておいて言う台詞ではないですね」

油断なく男を見据えながら辺りに気を配る。
モニターの薄明かりに照らされた部屋には、まだ人の気配が感じられた。

張り詰められた空気に水をさしたのは、ファインの後ろでモニターを眺め続けていたキラだった。

「なんかずっとモンスターのデータが流れてるけど・・・コレ、ナニ?」

場違いな感じのする明るい問いかけの答えは背後から返ってきた。

「パイオニア計画の目的は移民なんかじゃねぇ。
 外宇宙から飛来した隕石に付着していた未知の物質の有効活用方法の調査と研究・・・おもに軍事方面への・・・な」

どこか飄々とした風の声が薄暗い部屋にこだまする。
軽そうな男が壁に背を預けていた。






「通称D計画・・・貴様もハンターなら遺跡で何があったかは知ってるだろう?」

拘束したイルルの前で感情の一切を排斥した瞳の女が語る。

「俺は難しい事はわからねぇよ」

まだ痣の残る顔で悪態をつく。
しかし、女は淡々と話を続ける。

「Dr.オストの研究資料の流出、Dr.モンタギューとその助手のアンドロイドの謎の行動、
 更にはブラックペーパーまで暗躍していたのを知らん訳ではあるまい・・・」

表立って話題にはならないがハンターたちの間では知らないものはいない事だった。








「ブラックペーパー・・・か・・・」

戦闘で散らかった屋敷の片付けの合間に目を通した新聞の一面にデカデカと躍る文字を見てつぶやく。

(非合法な商品を扱う、闇のマーケット・・・だが、その実は本星
 政府、10ヵ国同盟の裏の仕事を請け負う闇のシンジケート・・・
 別にパイオニア2に奴らいても不思議ではないが、なぜこうも頻繁に話題になるんだ?)

畳んだ新聞を机に放ると、思わず手が腰の刀にのびた。
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Tree BBS by The Room