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- 未来の英雄 - じゅん [6/23(Mon) 1:48]
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Re[13]:未来の英雄 力を求めて 終焉 序章 1 - じゅん [10/10(Fri) 12:18]
Re[13]:未来の英雄 力を求めて 終焉 序章 1+ - じゅん [10/10(Fri) 12:46]
Re[13]:未来の英雄 力を求めて 終焉 序章 1+ - じゅん [10/10(Fri) 13:04]
Re[14]:未来の英雄 力を求めて 終焉 序章 2 - じゅん [12/8(Mon) 6:56]
Re[15]:未来の英雄 力を求めて 終焉 序章 3 - じゅん [12/8(Mon) 7:29]
Re[16]:未来の英雄 力を求めて 終焉 持たざる者 - じゅん [12/22(Mon) 4:12]
Re[17]:未来の英雄 力を求めて 終焉 それぞれの攻防 1 - じゅん [12/23(Tue) 1:15]
Re[18]:未来の英雄 力を求めて 終焉 それぞれの攻防 1ーβ - じゅん [1/27(Tue) 12:44]
Re[19]:未来の英雄 力を求めて 終焉 奪取 - じゅん [2/25(Wed) 7:33]
Re[20]:未来の英雄 力を求めて 終焉 再会 - じゅん [5/25(Tue) 5:52]
Re[21]:未来の英雄 力を求めて 終焉 それぞれの攻防 2 - じゅん [7/8(Thr) 10:48]
Re[22]:未来の英雄 力を求めて 終焉 光に染まる闇 - じゅん [9/23(Fri) 8:43]



Re[19]:未来の英雄 力を求めて 終焉 奪取
じゅん [Mail]
2/25(Wed) 7:33
密かに反撃に出た二人のフォマールは
破竹の勢いで、潜伏する敵を排除していった

見張りの巡回の最中、一人になったレイキャストを殴り倒し
とある部屋で休憩中と思われる集団をラバータで氷付けにする
さらには気取らないよう、遠くからゾンデの連発による狙撃

「何だ、結構なんとかなるもんねぇ・・・」
サミットムーンを手に、かすみが嘯いてみせる

「あと一人ですよ、頑張りましょう」
ルーはカジューシースを抱えたまま
屋敷のセキュリティセンサーとリンクした端末を操作する

二人とも肩で息をし、額に汗を浮かべている
疲労はピークに差し掛かっていた

「最後の一人は・・・中央ホール」
端末のモニターから顔をあげて、ルーが振り返る

「あいよルーちゃん」

かすみの威勢のいい返事を合図に、二人は走り出した



中央ホールに一人たたずむヒューキャストがいた
デュランダルを片手に、微動だにせず
ただひたすら待っていた

本来ならばチームのメンバーに半数以上の被害者がでた時点で
帰還するべきであった
また、目的のデータが回収済みであり、なおかつアジト本部からの
捕虜脱走のエマージェンシーコールを受けた段階で、帰還命令が
でていた
それでも彼が、この場にとどまる事を選択したのは
彼は自分のチームを壊滅寸前まで追い込んだ人物に興味があったからだ

敵は何人だ?
敵の得物は何か?
どんな戦い方をするのか?

未知の敵との戦いに焦がれる彼は、もはやシャドウの組織にいる事も、
チームのリーダーであることも棄てていた

近づく足音に期待を膨らませ、デュランダルを構える

かすみとルーが中央ホールに足を踏みいれた、その時

彼はけたたましい咆哮と共に、突進した


咄嗟の出来事に反応しきれなかった二人は
まともに体当たりを喰らう

「うあぁ」
「きゃぁぁ」

悲鳴を挙げて倒れる二人に向って、彼は剣を振り下ろす
寸での所で身を捩じらせ、斬撃をかわすと二人は素早く立ち上がる

「最後に厄介なのが残っちゃったわね」
かすみが距離をとりながら相手を睨みつける

「手ごわそうですね・・・」
ルーはカジューシースを構える

「二人で一斉に仕掛けないとやつのパワーに負けちゃうわね」
「ええ、それで隙ができたらテクニックで仕留める、それしかないですね」

二人が決意し、勇ましく前にでる
二本の杖は、まるでそれ自体が意思ある者のように動き回り
彼目掛けて振り下ろされる

振り下ろされた二本の杖を受け止め、いなし、後ずさりする彼は
二人の繰り出す攻撃に魅入りながらも、確実に受けきる

剣と杖のぶつかり合う音
武器が風を切る音
裂帛の気合と共に発せられる掛け声

どれもが懐かしく、すべてが彼を満たしてゆく
彼は、戦いを楽しんでいた



カジューシースの突きをかわす為、ヒューキャストが
バックステップで距離をとり、すかさず体当たりの為に
腰を落とし構える

「いまよ!」
かすみの叫び声と共に、地を這う大量の冷気が放たれる

ヒューキャストは両足を凍らされてしまい、身動きが取れなくなる
好機とばかりに彼に向ってテクニックが放たれる

眼前を覆いつくす爆煙と炎の壁

煙が退くと彼は仰向けに倒れていた


「・・・やった」
あらい息遣いのかすみが壁に寄りかかる
ルーもその場に杖に寄りかかるように座り込む
二人とも、体力の限界だった
それにテクニックの詠唱に必要なTPもほとんど無くなっている

「これで、お屋敷を取り戻せたんですね・・・」
感極まって目にうっすらと涙を浮かべるルー

「このまま寝たいけれど・・・こいつら外に放り出さないとね」
かすみが倒れたヒューキャストに近づこうとした、その時

彼は起き上がった

全身から煙をくすぶらせながらも、しっかりと立ち上がったのである
二人は慌てて武器を構えた、だが、もう戦える力は残っていない
逃げる力も残っていない
諦めと、悲壮な覚悟により、虚勢を張ろうとする二人に
彼は語りかけた
「・・・・私も、もう戦えん。君たちの勝ちだ」

唖然とする二人に背を向け、ヒューキャストは歩き出す

「次に会うときは敵じゃないことを願いたいもんだ・・・」
そう言葉を残して去っていった


極度の緊張から解放された二人はしばらくの間、呆然としていた



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