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- 時を越えた宿命〜第5話〜その01〜 - Gum [1/4(Sat) 12:36]
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時を越えた宿命〜第5話〜後書き〜 - Gum [1/4(Sat) 13:06]



時を越えた宿命〜第5話〜その09〜
Gum [Mail]
1/4(Sat) 12:48

 それから数時間後のことである。

 レオンは洞窟の中のような場所に置いてあるベッドの上で意識を取り戻した。

 「おい、お前。目を覚ましたのか?」

 たどたどしくはあったが、自分たちシンフォニュート王国の言葉で声をかけられ、レオンはその声の主を探した。

 すると、その部屋の向こうに、さっきの戦いで襲われていたドラゴンがいた。
ジャングルタイガーに襲われたであろう箇所を見ると傷口はまだ痛々しかったが
さっき見たときに比べほとんど無い物と同じくらい小さかった。

 その隣には、そのドラゴンより一回り小さなドラゴンもいた。

 「ありがとうな。妹がいたから、俺、お前を助けれなかった。
 もうすぐ、とうちゃん達が帰って来るから、お前、もう少しここにいろ。」

 その隣にいたドラゴンも、レオンに向けて挨拶した。このドラゴンはドラゴン語で話し掛けてきた。

 《ありがとう。お兄ちゃんと私の二人とも体調が悪かったので、森のハンター達が私達も襲ってきたの。》
 
 レオンもドラゴン語で二人に返した。
 
 《いや。無事だったなら良い。 僕は騎士だから、弱いものを助けるのが努めだからね。》

 そう言う会話をしていると、そのうちニ匹の大きなドラゴンが入ってきた。
そのうちの片方は着地するなり、レオンのほうに寄ってきて、一気にまくし立てた。

 《君がレオン君ね。今日のドラゴン族の代表全てが集まる会議に
 唯一招いた人間二人のうちの一人がいなくてさっきまで大騒ぎだったのよ?
 みんなで草原を探したら、あなたがジャングルタイガーにやられてたの。
 びっくりしたわ。でも、命までは、取られてなかったようなのでここに連れてきたの。
 ここはその会議が開かれる建物の中にある、控えの間よ。
 いくつもの控えの間があるから、ここにいても問題は無いわ。ゆっくり傷を治すのね。》
 
 もう片方のドラゴンも話し出す。 

 《そうだな。おまえは人間だが我がドラゴン族の仲間を助けてくれた。
 まあ、そのことが無くても、お前は今日から仲間になったのだがな。
 最初は、俺は気に入らなかったのだよ。人間が嫌いだからな。
 しかし、今日から、考えを改めるとしよう。
 そう・・・・。お前は今日から、我等がドラゴン族の真の仲間だ。》 

 《あなた・・・・そんなこと勝手に言っても良いんですか?》

 《ああ・・・前からドラゴン族の王、バハムラス様より直々の通達があったからな。
 だが、俺は気に入らなかったんだ。しかしレオンを見てると、人間も捨てたものじゃないと思う様になれる気がするよ。》

 そう話をしていると更にもう一匹、金色に輝く大きな竜が入ってきた。話す言葉はもちろんドラゴン語である。 

 《お主が、レオンか・・・・。話は、このクラウスより聞いておる。クラウスの息子達を助けてくれて礼を言わねばなるまい。  
 今夜、お主らの歓迎の宴を開くので、お主にも出てもらえないかのう?体はまだ痛むかも知れぬが・・・。
 いや、クラウスの息子達が助けられなくても、もともとお主達のための歓迎の宴は催すつもりじゃった。》
 
 そう言うと金竜は、レオンのほうに顔を寄せた。

 《今夜の宴には各地より来た、各ドラゴンの種族の代表も来ておるからの。
 お主が今後、何処に行っても、そこにいるドラゴンはお主に協力をするじゃろう。
 ・・・おっと、詳しいことは、今夜の宴でのう。それでは、今夜また会おうぞ。》

 そう言うと金竜は何処かに飛んでいってしまった。

 《レオン君、私達ドラゴン族の全てを治める王様の、バハムラス様に気に入られるとは凄いわね。
 ああ見えて、気難しい方なのよ?》

 二匹のドラゴンのうち少しだけ小さなドラゴンが話し掛けてきた。
そして、それを止めるもう1匹のドラゴン。

 《おいおい、フェイリア。そういえば、まだ自己紹介もしてないだろう?すまぬな。レオン君。
 私は、飛竜族を治めるクラウス。こっちにいるのが妻のフェイリアだ。
 あっちにいるのが息子のラグスと娘のシリンだ。さっきいらっしゃった大きな金竜が、我等が王のバハムラス様。
 さあ・・・夕食の宴まではまだ暇がある。少しまた眠って、傷を治しなさい。お前達、レオン殿に挨拶をしたら部屋に戻るぞ?》

 そう言うと、1匹1匹がレオンに挨拶をして、皆どこかへ飛び去ってしまった。 

 一人になったレオンは、傷の痛みもあったが何故か眠くなってきたので横になった。

 レオンは眠りにつく前に、自分がこれほどドラゴンたちに気に入られるようなことを
・・・・・そう、一体何をしてきたか考えていたが、答えは見つけ出せなかった。
考えているうちに、レオンは自然に眠りについていた。
 

 しばらく眠ったあと、レオンは係りのものに起こされ夜の宴に出た。

 係りのものに案内されながら、レオンは回りをよく見た。

 控えの間は、洞窟の中のような天然のものであったが、この通路は人の手によってキチンと作られている。

 まるで、城の通路の様である。 

 宴の会場は、たくさんの人でいっぱいだった。ここもキチンと作られていた。王宮の食堂の様である。

 ふと・・・・レオンはまだ、自分が寝ぼけているのだと思った。

 「レオン。そこにいたのか、こっちへきなさい。」

 父のシュタインバッハだった。手を大きく振りレオンを呼ぶ。

 「父上、ドラゴン族の会議のその後に催されると言う宴ではないのですか?ドラゴンの姿がまったく見当たらないのですが?」

 「確かにこれはその宴だ。だが、よく考えてみよ。あの大きな体のドラゴンたちが何百と集まれる場所があると思うのか?」

 「・・・・。」

 「だから彼らは会議の時、そしてその後もしばらくは人の姿をしているんだよ。・・・ほら。」

 シュタインバッハが指を指すその方には、小さな子供達が走りまわっていた。年の頃はレオンと同じくらい。
そのうちの一人は、包帯を巻いて、大きな布でいたる所を覆っていた。包帯の様にも見える。

 その包帯を巻いた子供がレオンに気づいて近寄ってきた。その後ろを小さな女の子がついてくる。

 「お前、治ったんだな。俺ももうすぐ治るぞ。・・・ん?何ポカンとしてるんだ?俺達の姿がおかしいのか?」

 その男の子はシンフォニュートの言葉で話し掛けてきた。しかし、レオンはなにも言い返せなかった。 
その様子を見てシュタインバッハはレオンに更に言葉をかける。

 「分かったか?レオン。あっちに、ほら・・・・それぞれのドラゴン族の長がいらっしゃる。クラウス殿もおられるぞ?」

 レオンが見た方にあったのは、普通の王宮での光景と代わらなかった。

 恐らく真ん中にいる豪華な椅子に座る豪奢な金色の服を着ているのが王のバハムラスだろう。

 その回りの机に、自分の種族を示す色の服を着た各種族の代表がいる。

 クラウスは飛竜を表す緑色の服を着ていた。
レオンのそばにいた子供はレオンが自分達のことを見ていないのに気がつくと
つまらなそうにしていた。

 「じゃあな、レオン。また遊びにこいよ?行くぞ、シリン。」

 「またね〜。」

 そう言うとラグスは妹のシリンを連れていってしまった。

 不思議な思いを抱いたまま、レオンは宴に参加していた。



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