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- 時を越えた宿命〜第5話〜その01〜 - Gum [1/4(Sat) 12:36]
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時を越えた宿命〜第5話〜その05〜
Gum [Mail]
1/4(Sat) 12:41

 「レオン!」

 「お兄様!」

 「大丈夫だ!」

 レオンの両手の先から、かなり大きく分厚い氷の盾が出現し、ドラゴンの炎をさえぎっていた。 

 「お前が、こいつを操っている諸悪の根源だな。消えるがよい!」

 レオンが大剣を一閃する直前、ドラゴンはふわりと宙を飛んだ。

 《わははははは!人間ごときが我を倒せるものか!》
 
 今度はドラゴンは、空中から炎の塊をいくつも放射状に噴出した。

 レオン達はひとかたまりになった。レオンは急ぎ補助の魔法で空中に、炎を打ち消す盾を作る。
瞬間の後、レオンの補助魔法が功を奏し、炎は空中で消えた。

 《小賢しい術を使いおるわ!》

 ドラゴンは地上に降りてくると、今度は固まっている7人に向かって体当たり攻撃をしてきた。
これは単に、ドラゴンが狙った相手に対して歩いていくだけなのだが
その歩行中の足に当たれば、もちろん大怪我をすることになる。

 7人はバラバラになって避けた。

 《誰から殺してくれようか・・・・・。》

 さっきまでの清い心のドラゴンが、今は邪悪な心を持つドラゴンへと変貌を遂げている。

 レオンは心が痛んだ。

 レオンは小さい頃からドラゴンと一緒に遊んでいたのだ。
ドラゴン族に快く迎えられたあの時。一緒に空を初めて飛んだあの時。

 『その、誇り高くもやさしいドラゴンに、こんなことをさせるとは・・・・・・。』
 
 レオンの心にふつふつと怒りの心が湧き上がる。
魔法力は、先ほどのヒルデベアとの戦いで使い果たしていたはずであったが
それでも、強力な魔法を生み出す力は残っていた。

 『我に従う聖霊達よ!彼のものを縛る戒めとなれ!!』

 レオンの大剣に物の動きを司る聖霊の力が宿る。大剣は紫色の怪しい光を帯びた。

 「秘奥義!捕縛、封鎖剣!(バインドスラッシュ!)」

 物の動きを司る聖霊力の秘められた大剣が、大地に突き立てられる。
魔法の力が効を為し、急速に地を伝いドラゴンを覆う。

 今回はレオンは剣から手を離せない。離してしまえば術が消えてしまう為だ。 

 「よし、ドラゴンの動きは止まった、行くよ!クレイ、ラルフ!
 そっちのシヴァンもシンシアも、ありったけの魔法・・・・いや、テクニックを放つんだ!」

 「このドラゴンに効くのは氷系の・・・・テクニックだけだ。」

 レオンは魔法力を練り、剣へと送りながらそう叫んだ。

 そう言われて、ラルフ、クレイ、フィオナは武器でドラゴンを切り刻み
ウィルはバータで、シンシアはギバータで、シヴァンはバータで攻撃していく。

 《ガアアアア!!!小賢しい!!》

 ドラゴンはレオンの捕縛を解くと、空中高く舞いあがった。

 《お前達を舐めていた様だ。我が全力の攻撃をその身を持って食らうがいい。》

 ドラゴンはそういうと錐もみ飛行から、土の中にダイブした。
その瞬間地面の下の溶岩が吹きあがる。

 《ふはははははは!何処から襲われるかわかるまい!溶岩の餌食となって死ぬが良い!》

 ドラゴンは土の中からレオン達に体当たりをしようと、レオン達に襲いかかる。 
何回も何回も執拗な体当たり攻撃が繰り返される。

 皆必死に避ける。何回か誰かがその突進攻撃に当たった様だが、すぐにレスタの嵐が起こり、体力も傷口も元に戻る。
そのうち、さすがの火竜であっても溶岩の熱さに耐えれないのか、土の中から出てきた。

 地面に着地した火竜はフラフラであった。

 「よし!今がチャンスだ。みんな行くぞ!」

 レオンはそういうと、皆に再び、武器とテクニックによる攻撃を促した。
そう言いながらレオンは、今度は自身の魔法力で氷の魔法力を生み出した。
それに続き、精神を司る魔法力も練り込んだ。
今回は剣を媒介とせずに、直接、魔法力をドラゴンにたたき込むのだ。

 『我が氷の力よ、精神の力と組み合わさり、敵を捕縛し、氷の力により、苦しめる氷の網となれ!』
 『我が精神を司る力よ、氷の力と組み合わさり、敵を捕縛し、氷の力により苦しめる氷の網となれ!』

 「フリーズ・バインド・ワイヤー!!」

 レオンは、普通なら数人がかりで行う合体魔法を一人で生み出した。魔力が形を変え、効力を為す。  
ドラゴンの足元から、巨大な氷の網が現れ、それが急速にドラゴンの体を覆い
さしものドラゴンの力でも抜け出すことができないようであった。

 動けなくなったドラゴンを相手にするのは、フィオナ、クレイ、ラルフにとっては訓練よりも簡単なことであった。

 ウィル、シンシア、シヴァンの3人のフォースは、氷のテクニックを駆使してドラゴンの体力を削っていく。

 レオンが執拗に禁止されている魔法を繰り返しているのは、自分を知るドラゴンへのせめてもの礼の為であった。
魔法を放つたびに、もう、死でしか自分が救われないこを知っているドラゴンへの思いを込める。

 操られつつも、レオンの魔法を自身に浴びるたびに、徐々に自分を取り戻していくはずであった。
レオンは魔法力を練り、ドラゴンへ送りつつ涙を流していた。

 《グウウ!もう、力が持たない・・・・くそう・・・・後少しであったものを・・・・!》

 そう言うと、ドラゴンは最後の力を振り絞って体の戒めを解こうとするが、抜け出すことはできなかった。
そして、ついにドラゴンの巨体な体が地響きと共にくず折れる。

 もうもうたる砂嵐が、辺りに舞う。

 


 しばらくの時が過ぎた後・・・・・・
セントラルドーム内は静寂に包まれた。
 

 もうドラゴンは動きだすことはなかった。

 7人がドラゴンに駆け寄ると、もう、ドラゴンの意識はない様に思われた。

 しかし、その時、ドラゴンが最後の力を使ったのか
7人全員の頭に、まるで魔法のテレパシーの様にドラゴンの最後の声が響いた。
もちろん、全員その言葉は理解できた。ドラゴンの言葉は途切れ途切れであった。

 『ありがとう・・・・レオン様・・・・。そして、そのお仲間達・・・。これで、私は、もう人間を襲うことも無く
 意識を脅かされて生活することも無いでしょう。』

 ドラゴンは首を何とか動かして、レオンをその光の消えかかった目の視界の中に持っていく。 
レオンはドラゴンの傍に寄って行き、ひざまずく。

 『レオン様のことは、もし祖父に会えたら、伝えておきます。
 祖父の言う通り、とてつもなく強く、そして、とても優しい方であったと・・・・・・。
 レオン様の魔法を浴びるたびに、レオン様のお気持ちが、私に伝わってきました。
 そのおかげで、狂ったドラゴンとして最後を遂げずに済みました。』
 
 ドラゴンの目は光を失いつつあった。 

 『ありがとうございます・・・・・。レオン様・・・・。さいごに、じぶんにもど・・・・・・れて・・・・・。
 それでは・・・・・・皆様・・・・お別れです・・・・・・。これからの・・・・戦いは・・・・ますます・・・・・・
 苛烈さを・・・・・・増す・・でしょう・・・・・。
 でも・・・・あなたがた・・・・・・・・・な・・・・・・ら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 それきり、ドラゴンはなにも言わず、ぴくりとも動かなかった。

 レオンはドラゴンの目を見たが、その目は再び光を取り戻すことは無かった。

 


 しばらく誰も、なにも言えなかった。
シンシア、シヴァン、ウィルは静かに泣いていた。

 フィオナも、悲しい思いに沈んでいた。・・・・・が、辺りに転がるハンターズ達が目に入った。

 「怪我した人達や、倒された人達を救わなくちゃ。みんな、手伝って!」

 皆の助け合いもあって、セントラルドーム内にいた全てのハンターズを救うことが出来たのであった。



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