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TURKS!!-No.4
GUM [Mail]
11/27(Wed) 7:56

  「おう。感度良好だ。お前さんが俺の部屋の格子にぶつけられた時はビビッタがな。
 いや、お前さんを心配したんじゃねぇよ。通信機が壊れねえか・・・・だな。」

 通信機を指にはめ、それを口の前に持ってきて話をしている。 

 任務遂行の為には手段を選ばない。ガムという男はそういう男だった。
背の高さは170cmそこそこ。そして鍛えぬいた鋼の筋肉を身に纏っている。
しかも、身が軽いのも特徴の1つだ。

 彼は今までに色々な訓練を積んでいるおかげで、その手段に合った武装をすればそれなりに強い。
だが今回は監獄に囚われたリーダー・・・サムス・・・を助ける為に一緒に監獄に入ることが前提の任務だ。
その為、武装は装備できない。

 そんな危険な任務だが、彼はこの計画が上がったときに、すぐに参加の意思を示した。

 それには、彼の能力が関係した。彼の能力名は『大気の歌声』

 その能力はこうだ。

 『自分がいる場所を中心とする、ある任意の範囲内・・・言い換えれば
 狭いものでは小さな部屋全てから、広い物では大衆食堂ぐらいの広さ。
 広ければ広いほど精度は落ち、その分体調に悪影響が出る。
 その中で立てられる音なら
 ・・・・・人間の耳には聞こえない周波数のものでも・・・・
 普通に人が聞こえているのと同じ様に
 聞くことが出来る。』

 しかし、この能力には弱点がある。
能力を発動するには範囲を限定する為に少しばかりの時間が必要だった。
また、いくらその範囲の中なら聞こえると言っても
広い平原とかだと能力の範囲は無限には設定できない上にガム自身の体調にも影響が出る。
それに、聞こえるものをある程度は取捨選択出来るが、全て自分に都合の良いものを聞けるものではない。
下手をすれば命に響く怪音を拾うかもしれない。

 しかし今回のミッションは監獄の中だ。それに、いくつも独房が並んでいる上に、たいていは静かだ。
まさに彼の能力はこのミッションにはうってつけだった。その為に彼は志願したのだ。

 今、彼は囚人服を着せられ、この能力を封じる為に、耳にイヤーパッドをつけられていた。
しかし、そんなものをつけられていても彼にとっては関係無かった。

 「ああ・・・・聞いてるよ。今回のミッションの為に収容された全員にこれと同じ通信機を渡したのか。
 お前さんはいつも、こういう・・・・体を張る役を志願するな。・・・・・アルフリート。」

 彼が今話しているのは、先ほど独房に連れ込まれるまで
散々あちこちの格子の入った扉にぶつかりながら連れていかれた人物だった。
 
 「俺はそういうお前が嫌いじゃない。だが、物には限度と言うものがある・・・・まあそう言うな。
 俺が能力を全開にして、色々情報を仕入れてやるからさ。・・・・・・・まあ、確かに弱点はあるさ。
 しかし、ただなにもしないよりはマシだろう?・・・・そうだ。・・・・・・ん?・・・・看守どもが来た・・・2人だ。
 まだ遠い・・・。ああ。次の奴に連絡をつけるのだな?わかった。・・・・・ああ。切るぞ。」

 彼は看守を寝たふりをしてやり過ごした後、床の上に毛布を広げ、その上にあぐらを掻いて座った。
能力の発動具合を確かめる。先ほどの看守は今は隣の区画に行ったらしい。

 『待っていろ・・・サムス・・・・・。お前は俺が必ず助ける。お前には借りがあるからな。
 それを返さない内にくたばらせはしない。』

 そう。ガムがこのミッションに参加したのは、ただリーダーが捕まったから助け出す為ではなかった。
彼なりの理由があったからだった。

 しばらくそのまま看守の立てる音や、囚人が一人言を言う様を聞いていた。
頭の中には仲間の通信機の周波数が入っている。いずれ連絡をつけねばならないときも来るだろう。
それまでは静かに、この所内の音でも探っていれば良い。
そう考えていた。

 

 アルフリートはガムと話を終わると次の仲間に連絡する為に、何度そうしたか分からない操作をもう一度繰り返す。

 しばらく話しかけるが応答は無かった。

 かなり時間がたった後・・・・・。

 やっと一人の仲間が通信に応答を返した。
   



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