Turks Novels BBS
〜小説投稿掲示板〜


[新規投稿] [ツリー表示] [親記事一覧] [最新の記事を表示] [ログ検索] [ヘルプ] [ホームページへ戻る]


- 3DAYS - KAZUMA [7/26(Thr) 10:40]
その壱 - KAZUMA [7/26(Thr) 10:41]
その弐 - KAZUMA [7/26(Thr) 10:42]
その参 - KAZUMA [7/26(Thr) 10:43]
その四 - KAZUMA [7/26(Thr) 10:44]
その五 - KAZUMA [7/26(Thr) 10:45]
その六 - KAZUMA [7/26(Thr) 10:46]
その七 - KAZUMA [7/26(Thr) 10:46]
あとがき - KAZUMA [7/26(Thr) 10:47]
Re:あとがき - GAS [7/30(Mon) 21:18]
あったかいですね - 守護者 [8/10(Fri) 12:29]



その六
KAZUMA [HomePage] [Mail]
7/26(Thr) 10:46
「だめかもしんない…。」
 良はひとりつぶやいた。
 後ろを振り返り、背後の人物に声をかける。
「あんたも、この寒いのに、そんな格好をさせられて大変だねぇ。」
 そこにはサンタクロースの格好をしたカーネル・サンダースがたたずんでいた。
「その格好ってさ、誰が着せてくれるの?やっぱ人に着せてもらうと恥ずかしいよね。」
 良が何を言おうと、カーネル・サンダースはただにこやかに立っているだけだった。
 良はやれやれといった感じで肩をすくめた。
「いや、すまんね。別にあんたから返事が帰ってくるとはさすがの俺だって思っていないぜ。ただね、約束を守れなかったのは俺なんだよ。今さらもうだめかなーってちょっぴり思ってたりなんかして。」
 全然関係ない自分のことだけ言うと、良はフッと笑った。
「話は変わるけど、俺のこのフッていう笑い方ってなかなかカッコよく見えない?けどフッて笑う時は必ずカタカナなんだよね。何でかな?以外と漢字で『不っ』とか『歩っ』って書くのかもしれないね。」
 自分の言ったことがそんなに面白かったのか、良は一人でうけていた。
 カーネル・サンダースはそんなことにも動じない。ただやさしさのこもったまなざしを、メガネの奥から良に向けているだけだった。
 良の笑いが凍り付いた。カーネル・サンダースの視線ではない、身体中に突き刺さるように感じる無数の視線に。
 ゆっくりと周りを見る。バックにギギギギギと効果音を入れたくなるような振り向き方だった。
 道を歩く人たちのほとんどが良を見ていた。しかも良が振り向いた途端、みんな視線を外して歩き始めた。
 それもそうだ。
 視線をカーネルサンダースに戻す。
 良は困った。
(どうこの場をごまかすか?)
 そういえば、一年前もこんな場面だった…彼女が現れたのは。
 どこかから正午のメロディが流れてきた。
 彼女は現れない。
 がっくりと肩を落とす。
 悲しくなって、つらくなって、カーネルサンダースに向かって泣き言を言い出した。
「やっぱり、無理だったんだ。もう、彼女は、現れ…な…い…。」
「誰が?」
 その声は良の真後ろから聞こえた。
(え?)
 良は振り向くことができなかった。
 振り向くのが怖かった。
 もし振り向いてそこに誰もいなかったら?
 今の声がただの気のせいだったら。
「来てくれたのね、良…。」
「あ…。」
 ゆっくりと、本当にゆっくりと良の身体が振り向いていく。
 いた。
 彼女が、いた。
 目の前に立っている。
「お久しぶり。」
 彼女が笑う。
 良は、バカみたいに突っ立っていた。
 何か言おうとするのだが言葉が出ない。
 ゆっくりと、彼女の手を取る。
 彼女はそれを見つめている。
 ゆっくりと、良の口が開く。
「あやちゃん…。」
 にっこりと微笑む。
 驚いた彼女の顔。
「覚えて…覚えていてくれたの…?」
 良はそっと彼女を抱きしめた。
「あやちゃんが思い出させてくれたんだ。」
 彼女の瞳を覗き込む。
「ありがとう。」
 ゆっくりと、お互いの顔が近づいていって…。



この記事にレスをつける時は、下のフォームに書きこんでください。
お名前
URL
メール
※SPAM対策のため、メールアドレスは入力しないようお願いします。
題名
メッセージ
パスワード
このツリーを一番上に持っていく

下のボックスにパスワードを入力すると、記事の修正及び削除が出来ます。
パスワード

Tree BBS by The Room