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時を越えた宿命〜第4話〜その6〜
Gum [Mail]
12/4(Wed) 23:43

 レオン達3人は、森の道がくねくねと続く中を歩いていた。そして、少しだけ開けたところに出る。
今日の探索予定の最終ポイントだ。
この広場の向こうに、家々が木々の間に隠れるように、そして木々にマッチするよう建てられている。

 「良し、もうすぐ終わりだ、気を抜くことなく行くぞ!」 

 レオンはいつも慎重だ。レオンの潜在能力はすこぶる高い。もし本気を出せば、フィオナとも互角な戦いが出きるだろう。
しかし、それでもなお慎重に行動する。それは、守るものが存在する証だった。

  「ん?敵か?」

 レオンはあるものの気配を察知し、そちらを振り返る。

 そこにいたのは大きな鳥のような生き物だった。そう、コードネーム『ラグ・ラッピ−』で呼ばれる可愛い生き物だった。
しかし、その外見とは裏腹に、敵と思ったものには一斉に全体重を乗せた鋭いくちばしの攻撃をするのだ。

 今、レオン達は十数匹のラッピ−と相対していた。しかし、ラッピー達は攻撃してこなかった。

 『おかしいな、データでは敵と思ったものにはすぐに敵対行動をするというのだが。』

 レオン達はいつラッピ−が襲ってきても言いように身構えた。

 しかし、ラッピー達は動かなかった。あらかじめ相談でもしていたかのようにキチンと整列をしている。

 良く見ると14,5匹いるラッピ−の中で、1匹だけ青いものがいる。レオンはすぐにデータを思い出した。

 『ラッピ−の種族の中で青いものは『アル・ラッピー』と呼ばれるレア種類である。
 また、青い固体は他の黄色い固体よりはるかに強い能力を有する。』

 そうこうするうちに、青いラッピ−が近寄ってきた。
しかも、いつでも剣を抜けるよう身構えているレオンの方ではなく、そのすぐ脇でケインを構えているシヴァンの方にだ。

 「ピーピッピッピーーー!!」

 レオンとシンシアにはラッピ−は普通の鳥の様に鳴いてる様にも思えたし、またそうでない様にも思えた。
時々緩急がついている鳴き方は、なにか話し言葉の様に聞こえたが、その意味はわからなかった。

 しかし・・・・・・・。
 
 シヴァンの耳には、ラッピー達の鳴き声は覚えたはずが無いのに何故か理解出来てしまう言葉で話をしている様に聞こえている。 

 それは現在のパイオニア2で使われている言葉に直すとこのようなものであった。

 「お初にお目にかかるッピ。私はこの周辺の全てのラッピ−を束ねるものだっピ。あなたは森の娘だっピね?
 全てのラッピ−を代表してお願いがあるッピ。」

 そう言うと青いラッピ−は頭を下げる。それに合わせてそこにいた黄色いラッピ−もシヴァンの方に向き、整然とお辞儀をした。
 
 「この森は突然変わってしまったっピ。
 ある時まではこの周辺全ての生き物達と、それまで暮らしていた人間達は全く普通に暮らしていたっピ。
 その生き物達の名前を、このごろこの辺りを歩いてる人間達が口にする言葉で言えば
 『ブーマ』『ゴブーマ』『ジゴブーマ』『バーペラスウルフ』『サベージウルフ』
 『モネスト』『モスマント』『ヒルデベア』だっピ。
 とにかく、この森にいた生き物とラッピー達と人間達は仲良く暮らしていたっピ。
 でも、ある時を境にいきなり変わってしまったっピ。
 暮らしてた人間達の気配も消えてしまったっピ。
 森の生き物達もみんなみんな狂ってしまったっピ。
 ラッピー達が狂ってないのを見て襲ってくるッピ。」

 「ピ〜〜!!」

 黄色いラッピー達も、さぞ怖そうに頭を両側の羽の陰に隠して泣き出す。

 「でも、ラッピー達には、何故皆が狂ったのかわからないっピ。
 それに、ラッピー達が何で狂わないのかもわからないっピ。
 そこで、森の娘のあなたにお願いがあるッピ。
 原因を突き止めて、森を元に戻してほしいッピ。
 これができるのは森の人達だけだといわれてるっピ。
 その代わりに、ラッピー達は、あなたとそのお仲間は襲ったりしないっピ。
 ラッピー達も狂った振りをしないと、今まで仲が良かった森の生き物達に殺されちゃうっピ。
 だから、最近良く会う人間達は襲ってるっピ。
 でも、森の娘は襲えないだっピ。ラッピー達は森の人の仲間だからだっピ。」

 ここで青いラッピ−は一息ついた。 

 「長くなったけど、お願いするだっピ!それじゃあ、みんな、しっかり挨拶するだっピ!」

 そう言うと、青いラッピ−は脇にどく。そうすると黄色いラッピ−達は1匹1匹シヴァンの前まで来ると丁寧にお辞儀をして
青いラッピ−の後ろに整列する。そして、全員(全匹?)が挨拶を終わると整然と立ち去っていってしまった。

 後に残ったのは、事の成り行きを見守って唖然としているレオン、シンシアと
言われたことがあまりにも大きなことだったので意味がわかりかねていたシヴァンであった。

 とにかく訳がわからなかったので、通信機でフィオナに事と次第を話す。そこで出た答えは、とにかく探索を終わらせ
今夜、皆で話し合おうと言うものであった。
 
 残りの家々を探索をしても、やはり生き残った人達はいなかった



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