Turks Novels BBS
〜小説投稿掲示板〜


[新規投稿] [ツリー表示] [親記事一覧] [最新の記事を表示] [ログ検索] [ヘルプ] [ホームページへ戻る]


- PIONEER1 HUNTERS - IXY [12/4(Wed) 16:54]
story1 闇の胎動1 - IXY [12/4(Wed) 16:55]
投稿者削除 - ---- [12/31(Tue) 21:29]
story1 闇の胎動2 - IXY [12/31(Tue) 21:30]
story1 闇の胎動3 - IXY [1/14(Tue) 1:14]
story1 闇の胎動4 - IXY [1/14(Tue) 18:08]
story1 闇の胎動5 - IXY [2/4(Tue) 16:53]
story1 闇の胎動6 - IXY [3/20(Thr) 13:30]
story1 闇の胎動7 - IXY [3/20(Thr) 13:31]
story1 闇の胎動8 - IXY [3/25(Tue) 17:03]



story1 闇の胎動2
IXY [Mail]
12/31(Tue) 21:30
 この日もいつもと変わらず、普段どおりの一日になるはずだった。
 いつもどおりの時間に起き、メールをチェックしてギルドからの依頼を確認する。
 今日の依頼は、セントラルドーム周辺調査の調査員の護衛だった。
 パイオニア1が到着するまで未開の惑星だったラグオルには、多くの原生生物が生息しており、移住に際して幾度と無く衝突してきた。
 今回も、調査地区がブーマと名付けられた原生生物のテリトリーであり、縄張りを荒らされたブーマ達が調査隊を襲ってきていた。

 今、レイカーの前にいるブーマは五体。侵入者であるレイカーに向かって来るところを、愛用のファイナルインパクトで足止めをする。
 「ちっ、結構しぶといな。アリア頼む!」
 散弾銃から放たれるフォトン弾に撃ち抜かれ、絶命する者もいたが、弾丸の嵐をかいくぐり、なおも向かってくるブーマに、後で控えていた、フォマールのアリアがテクニックで追い討ちをかけた。
 「破壊の炎よ!我が敵を焼き尽くせ!」
 アリアの言葉とともに現れた巨大な火球が爆発しブーマを包む。
 そして、火球の消えた後には、肉の焼け焦げる独特の匂いと、獣の形をした炭だけがのこっていた。
 「片付いたみたいだな・・・。」
 周囲に他に原生生物の反応が無いことを確認すると、レイカーは銃を下ろした。
 レイカーはブーマの死骸を一瞥し、アリアへ視線を移した。
 だが、彼女はレイカーに視線を返すでもなく、ある一点を見据えていた。
 「どうした?」
 「え?ああ、うん。ちょっと気になることがあって。」
 アリアの視線の先には、四足の獣達の死骸があった。
 サベージウルフと名付けられた原生生物である。
 「ねえ、今日のウルフやブーマ、変じゃない?」
 「ん?ああ、確かにな。」
 レイカーはアリアが感じている違和感に心当たりがあった。
 恐らく自分が感じたものと同じものであるからだ。
 今回、彼らが護衛していた調査隊を最初に襲撃したのは、サベージウルフだった。
 ウルフ達は群れで行動し、バーベラス種と名付けられたリーダーに率いられて集団で狩りをする。
 レイカー達が調査員を守るべく、迎撃にでると、狩りのセオリーどおり、一定の距離を保ちつつレイカーとアリアを包囲していく。
 彼らが感じた違和感はこの直後の出来事に起因する。
 レイカー等がウルフ迎撃に向かい、ウルフ達もまた、彼らを捕らえるべく取り囲む。
 戦闘に入ると事前の打ち合わせどおり、調査員達がその場から離れようとしたその時、彼らの行く手を阻むように地中からブーマが現れたのである。
 アリアのテクニックでウルフを一掃し、レイカーが救援に駆けつけることで、調査員には被害が及ばなかったが、この連携プレイとも取れる行動がレイカー達が違和感と感じたものだった。
 集団での狩猟を主とするウルフがこのような伏兵による奇襲を行うということは、考えられるが、他種のしかも単独行動を主とするブーマとの連携など考えられなかった。
 また、ウルフもブーマもこれまでの調査で共に肉食であることが確認されている。
 肉食獣は、野生動物の中でも己の縄張りに敏感な生物である。
 まして、群れで生活し、より多くの食料を必要とするウルフが、他種の肉食獣が己の縄張りに侵入することをよしとするはずが無く、当然のことながら両者の間で争いが発生するはずである。
 その本来ならば反目するはずの、両者が連携して調査員を襲撃した。
 「まあ、俺らの常識から言えば、ありえないことだな。」
 「でしょ。今までだってこんなことがあるなんて報告は無かったし。」
 そう言ってアリアは考え込む。
 レイカーは彼女が一度思案に耽ると、所かまわず己の納得のいく答えが出るまで考え込む癖があることをこれまでの経験から知っていた。
 「まあ、なんだ。この星にはまだまだ俺らの知らない事があるってことさ。生態系そのものが俺らの星と違うのかも知れないし、他種の動物が連携して狩りをすることもあるのかもしれないだろ。」
 「本当にそうかしら?」
 「そうかどうかを考えるのは俺らの仕事じゃない。だろ?どうやら、調査も途中で切り上げるようだし、俺らもセントラルドームに戻ろうぜ。」
 レイカーの言うとおり、調査員達は調査を切り上げるつもりらしく、調査機材を片付けている。
 レイカー自身も今回の仕事にあまり乗り気ではなかったため、早く帰れるのならば、帰りたかった。
 「そう・・・ね。私達が考えた所でどうにかなる訳じゃないものね。」
 そう言ってアリアは、調査員の方へ歩いていった。
 「ふう、あのまま考え込まれたら日が暮れるまでやってたろな。
アリアのあの癖も何とかならないもんか・・・・ん?」
 言いかけて、レイカーは空へと視線を移した。
 その先には黒々とした雲が湧き上がり、広がっていた。
(雲行きが怪しくなってきたな。こりゃあ一雨くるぞ。)
 レイカーが調査員達と合流するとすでに荷支度は終わっていた。
 ドームへの帰還はテレパイプを使用するということで、調査員達は、依頼完了の通知をギルドに送信し先に帰っていった。
 「さて、俺らも戻るか。」
 「そうね、今リューカーでパイプを出すわ。」
 アリアの詠唱と共に、彼女の足元に簡易転送ための光の輪が現れる。
 アリアの体はフォトンの粒子となり、セントラルドームへ転送され、レイカーもそれに続き光の輪に足を踏み入れる。
 ドームへと転送される瞬間、レイカーの視界にウルフ達の死骸が入った。
 (・・・何かが、起ころうとしているのか?いや、考えすぎだな。)
 レイカーは己の中の僅かな違和感と不安を無理矢理振り払った。
 だが、惑星ラグオルの空はそれをあざ笑うかのように、そして、これから起こる事件を象徴するかのように、暗く染まっていった。



この記事にレスをつける時は、下のフォームに書きこんでください。
お名前
URL
メール
※SPAM対策のため、メールアドレスは入力しないようお願いします。
題名
メッセージ
パスワード
このツリーを一番上に持っていく

下のボックスにパスワードを入力すると、記事の修正及び削除が出来ます。
パスワード

Tree BBS by The Room