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時を越えた宿命〜第1話〜その7〜
GUM [Mail]
11/21(Thr) 18:33

 「みんな、無事?AKKUN(アックン)、GUM(ガム)、NIKO(ニコ)?返事してよ。私は無事よ!!」
 
 フォーマールの少女はうずたかく積まれた岩の中で、奇跡的にできた空間にいた為に死は免れた。
目の前に空いている小さな隙間から周りの状態が少しだけ見えた。

 洞窟の中は凄惨を極めていた。地震により突如天井が崩落してきたのであった。
辺りには天井となっていた岩の残骸が転がり、それまでその下に居た生き物を押しつぶしていた。
もうもうと舞う砂煙が視界を完全に無効化し、また大小さまざまな岩が転がっている為に満足に歩くこともできないだろうことが見て取れた。

 『皆生きててよ!どうにかして、助けるから。』

 フォーマールの少女はそう思うのだが、足を挟まれている上に
外の様子からすると、自分が皆を助けるのは無理なような気がしていた。 

 クエストに来る前に得ていた情報には、この地方は地震が多く洞窟などに入るときは気をつけるよう示唆されていたのだ。
運悪く、洞窟に来ていたハンタ−ズの4人もその生物との戦闘中この崩落に巻き込まれてしまった。
勿論その生物もハンターズと戦闘していたものは全て下敷きになった。
 
 「みんな?無事なの?返事してよ!私、足が挟まって動けないんだから〜〜!!」

「いてててて。どうやら、無事なのは俺たちだけのようだな。シンディ−。」

 シンディーと呼ばれたフォーマールの少女は声がした方に目凝らす。
すると、背の高い人影がいるのが見えた。装備からするとレイマーのようである。 

  レイマーは、天井の崩落の範囲のはじっこにいたため
腕を岩の下敷きにした以外比較的無事なようであった。

「ガム!!無事だったのね。」

「ああ、右腕が動かん。何とか岩ノ下から抜いたが、どうやらいかれたらしい。
 TP(テクニックポイント:テクニックを使うためのポイント)もさっきの戦いで空っぽだよ。
 おかげでレスタ(体力を回復するテクニック)も使えない。まいったね。回復できん。」

「私も、TPはあんまり残ってない・・・。他の二人は?」

「多分、アックンとニコはこの岩の下敷きだな。これだけ酷いんじゃ、助からんだろう。
 俺等のアイテムパック(あらゆるアイテムを小型化して入れて持ち運ぶためのもの)も多分この岩の下敷きだな。
 回復薬もないとは・・・・・・・。まいったな。」

「うん。それより、二人とも、まだ生きてないかな?出来れば助けたいけど。それに、戦いに夢中で地震のこと忘れてたよね。
 デ−タには要注意事項ってあったのに。」

「ああ。しかし、まいったね。お前さんを置いて、俺だけ戻るわけにはいかんしな・・・・。
 二人も、下敷きのままっていうわけにいかんだろうし。武器とアイテムもないから、戻るにも戻れんなあ・・・・・。」

二人が、崩落によるショックで、対策をどうしようか考えてるときだった。
本来、ここは餌となる食料がなくなり、手当しだいに人間を襲う生物の住みかだというのを、二人は失念していたのだ。

「あ、ガム、危ない!!後ろ!!!」

シンディ−が叫んだが、その時には、ガムの姿は無残なものとなっていた。
4、5匹の生物に取り囲まれ、あっという間に切り刻まれる。
背が比較的高く、肉付きもよかったガムの体は、一瞬にして生物の陰になった。

「ガム!ガム!!大丈夫?」

 シンディーの悲痛な叫びが木霊するが、ガムからの返答は無かった。
シンディ−は比較的岩の中のほうにいるため岩同士の隙間が狭く、今ガムを殺したであろう生物達は入ってこなかった。
どうにか彼女に近づこうとウロウロする生物たち。命の危機は無いと思い幾分かは安心した彼女。
しかし、彼女には泣いてる暇はなかった。

その隙間すら入れるほどの小型の生物が姿を現した。シンディ−を見つけ、嬉しそうに牙を剥き出す。

 「キシャーーーー!!」

 「なに?何でこんなのがいるの?こんなとこで、死ぬのは嫌!!ギフォイエ!」

 彼女を中心に炎の渦が発現し、それが広がっていく。炎系のテクニックで中級に位置するテクニックだ。
敵は単体なのに広範囲テクニックを使うのは気が動転していたからであろうか。
炎の渦がその小型の生物を焼いていく。

 「キシャーーーー!!!」

 しかし、それでもわずかに致命傷に足らないのであろう。小型の生物は怒りをあらわにしながら近づいて来る。

 「だめなの?もうTPがないわ!こんな、こんなとこで・・・・・。」

 思いのほか広範囲テクニックはTPを消費する。残りのTPで発動できるテクニックは何も無かった。

小型の生物は狭い隙間を難なくくぐり、シンディ−の側まで迫っていた。
その生物は、シンディーに狙いを付け大きな牙を剥き出し、口をあけた。攻撃態勢に入ったのだ。
シンディ−は思わず目を閉じてしまった。

ザシュ!!

固いものが肉を裂く音が辺りに響いた。シンディ−は、自分が裂かれたものと思い、死を覚悟した。


 

 「ねえ。そこのおねえさん!!無事〜??」

シンディ−呼ぶ声がして自分の無事を確認できたのは、その数秒後だった。

「どうやら無事みたいだね〜。あなただけでも助けられて、よかったよ〜。」

小柄なハニュエールが自分のそばに居た。小さな隙間を潜り抜けてここまでやってきたのだ。
手にしたダガ−のスイッチを切って、腰のベルトに止める。
ハニュエールの少女は小型の生物の死体を脇にどけた。
 
 シンディーの周りを取り囲んでいた岩は、リリスとクラインが持ってきた削岩機で徐々に小さくなっていった。
数十分後、洞窟のその場所に積まれていた岩は、すっかり砂礫と化した。
その中から動かなくなったヒューキャスト(男性アンドロイドのハンター)と
フォーニューム(男性ニュ−マンのフォ−ス)の死体が出てきた。

「アックン、ニコ・・・・。あ、ガムは?」

さっき、ガムが立っていたほうを振り返る。そこには、もともとが人間であったのがようやく分かる程度の肉の塊と化した死体があった。
シンディ−の目に涙があふれてきて止まらなくなった。

「あなたの仲間ですね。アンドロイドのほうは・・・・・・・・。だめですね。すべての回路に反応がないです。
 フォ−スの方は・・・・岩の直撃を受けて即死ですね。
 リバ−サ−でも、勿論ムーンアトマイザーでも二人とも復活できないほどの損傷を受けています。
 こちらにも死体がありますが・・・・・・・これは、既に肉の塊ですね。あ、失礼しました。もちろん、リバ−サ−は効きませんね。」

淡々と検死をしていくリリスに、声も出ない程のショックを受けて泣き続けているシンディ−。
黙々とその場を記録していくクライン。フィオナはそこに漂う暗い雰囲気が嫌だったが、何もできなかった。

「みんな、まってて。フィオナが生き残りの生物を始末してくるから。」

 意を決して洞窟の奥に行くフィオナ。



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