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Silent of Pioneer2 IV
モンタマン [HomePage] [Mail]
11/20(Wed) 1:24
四番手は、愛と正義とバナナのヒーロー! モンタマンこと、ボキがお送りするでモンタよ。


Silent of Pioneer2

#4 黒い猟犬


「……「これ」が、俺の新しい獲物か?」

 薄暗く狭い室内に、二つの人影が見える。片方は長身で、やや機械的であるが、その声色には異様な威圧感が含まれている。おそらくアンドロイドであろう。
 その声が、室内に響く。

「その通りだ……キリーク・ザ・ブラックハウンド」

 だが、それを聞いていたもう一人の者は、そんな殺気の塊とでも言えるものに、少しも動じる様子がなく、その持ち主に言葉を返した。
 言葉遣いは硬かったが、高い声色から、それが女性のものであるという事が伺える。

「人間の女だな……。こんなカトンボみたいな奴が、俺を満足させてくれると言うのか?」

 キリークと呼ばれるこの者は、渡された写真にかなり不満があるようだった。だが、それは別に、写真の人間の女性が美しくないから、不満があった訳ではない。

 彼は秘密組織「ブラックハウンド」の使い、始末屋だった。
 「キリーク」は、この組織の始末屋の中でも、トップクラスの実力と最も危険な思考をもった、アンドロイドハンター・ヒューキャストだった。

 キリークは、人工生命体であるアンドロイドの中でも、最初から暗殺や破壊活動に特化させるべく設計されたヒューキャストだった。
 それだけに、その戦闘能力は凄まじく、腕利きのハンターが数人がかりで襲いかかっても、返り討ちに逢う程だ。
 しかし彼は、強敵と闘いその命を喰らう事にのみ、己の存在意義を見いだしているため、始末する相手を非常に選んだ。
 無論、依頼主もそれを熟知しているため――その程度の知識が無い者では、そもそも「彼」に会う事すら、叶わない――半端な依頼を、申し込んだりはしない。

 だが、そうであるはずなのに、今指定された相手の写真はどうみても、下っ端の始末屋で事足りそうな奴だった。
 彼には、それが不満だったのだ。

「キリーク……お前らしくも無いな。まさか、お前程の者が「タークス」を知らん訳では、あるまい」
「なんだと? ……では、この女がそうだと言うのか」
「そうだ。サムス・アラン、タークスのボスだよ」

「俺を、満足させてくれるんだろうな?」
「安心しろ……彼女は見た目ほど弱くは無い。ま……お前すらも騙すその容姿が、一つの武器ではあるがね」
「ククッ……良いだろう。この女は俺が喰らってやる」

 それだけ言うと、キリークは足早に部屋を去ってしまった。後には、冷徹な微笑を張り付かせたままの、女が残っただけだった。





「暇だわー……」

 その日、秘密組織タークスのボス、サムス・アランは暇を持て余していた。あれからしばらく、さがらと言う少女は表社会でダミーとして経営している、彼女の店に来なかった。

 あまり目に付かない場所に店があるため、頻繁に客が出入りしないのでこうなる事が多い。最も、仮にも彼女は秘密組織のボスであるのだから、人目につく場所に自分の店を出すなど論外だが。

 だが、客がやって来ない訳では無く、置いてある酒も良質なものが多いので、リピーターの客はいる。つまりは人目につき難く、さりげなく経営しているからカムフラージュとなる。

 ともかくも、彼女は暇だった。先日「ブラック・ハウンド」が暗躍しているとの報告さえ受けたものの、別に彼女がそれを捜査しなくてはならない訳でもない。

 そういう仕事を専門にこなす連中が、チーム内にきちんと存在しているのだ。自分は、その後始末をすれば良いだけだ。もちろん用心はしているが、それだけでは暇が解消できる程の仕事にはならない。

 だが、ようやく彼女の暇を解消してくれるベルの音が店内に響いた。
 客である。

「にゃーんっ。おっひさっしぶりだぜーーー♪」
「あらぁん、さがらちゃんじゃなーい。待ってたのよー」

 サムスにとって嬉しいことが、ようやくの来客が最初に一目見て気に入った、さがらと言う少女だった事だ。
 彼女がしばらく店に来ていなかった事は、先にも述べた。
 だが、実は数回来ただけで、ぷつんと来なくなってしまう人もいるため、さがらもその類の客では無いかと疑っていた矢先だった。
 それだけに、再会の喜びも一塩と言うものだ。

 サムスは再びオレンジジュースを彼女に差し出しながらも、たわいない話をして夜を更かして行くのだった。





 暗闇に鈍く、二つの光が輝く。それはアンドロイドの特徴的なアイ・センサーの輝きだった。

「くく、待っていろサムス・アラン。あれから数年……闘いに身を投じるしか無い俺に、再び、喜びを感じさせてくれる相手……」

 夜は、まだ続く。


To be continue.



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