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- 強く儚い者たち=1= - 沙樹 [7/17(Sat) 7:37]
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強く儚い者たち=5= - 沙樹 [7/17(Sat) 7:40]



強く儚い者たち=5=
沙樹 [HomePage] [Mail]
7/17(Sat) 7:40
「わたしくはリーゼと申します」
皇女らしい身のこなし、小さな体。目の前に居るのはセルシンが愛してやまなかった人だ。
「わたくしは、気付いたら魔女の家に居りました。
そして、彼が・・・セルシンがわたしくを命がけで助けた事を知りました」
彼女はきゅっと唇をつぐんだ。
リーゼの中で様々な想いが駆け巡っているのが分かる。
「どうして・・・どうして彼を止めてくれなかったのですか?!
わたくしは、わたくしの命などどうでも良かったのに。
わたしくの命よりも、彼自身を大事にして欲しかった。
どうして貴方は、貴方は・・・」
嗚咽に埋もれて、彼女はそれ以上話せなくなってしまった。
メレリルはゆっくりとお茶を入れ、彼女を椅子に座るよう促した。
メレリルとリーゼがゆっくり向き合う。
そして、リーゼは泣いたまま悲しみに暮れていた。
メレリルは重い口を開いた。
「貴方が生きている事、それが彼が望んだことだから・・・」
リーゼはメレリルを睨み付ける。
「そんなの、そんなのって勝手だわ」
怒りを抑え切れないリーゼは自分の感情を外に剥き出しにした。
「こんなことになってしまうなら、わたしくは彼と一緒に死んでしまいたかった。
今は・・・彼がどうして居なくなってしまったのか、どのようにして亡くなって行ったのか、
それが知りたいだけなんです!わたくしも”怨念の野原”にこれから行くつもりです!」
感情的になっているリーゼは唇を震わせていた。
メレリルは何も言わない、何も否定しない。
ただ、リーゼを見詰めるだけ。
そして、お茶を一口飲んで、カップを置いて一言つぶやいた。
「守ってもらった命、大事にして」
そして、リーゼの手を握った。

”華の魂”がどのように彼女の手に渡ったかは分からない。
どのようにして”怨念の野原”に辿り着き、彼と融合した”華の魂”を誰が持ちかえり、
リーゼに与えたかはお互い知る由もなかった。
ただ、愛するものが生きている事、そして恐らく死んで行った事。
止められない運命。逆らえない時間。

ただの世界の一コマ。
そして今日も”幸福の食卓”には人が集まる。



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