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- 今を生き抜く獣達 〜麗しき闇の真紅の玉〜 - サムス・アラン [2/3(Sun) 9:32]
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Re:〜麗しき闇の真紅の玉〜 終 - puni [11/25(Mon) 23:10]
Re:〜麗しき闇の真紅の玉〜 終 - GUM [11/30(Sat) 7:17]



〜麗しき闇の真紅の玉〜 15
サムス・アラン [Mail]
2/3(Sun) 22:19

 宿屋のメルにすばやく宿代を手わたし、森の中へ逃げてきた三人

 「……ねえ…あれ、何やったの?」

 ソニーは腹部の苦痛に耐えながらも、さきほどの異常な現象の疑
 問を口に出さずにいられない。

 「ふっ、魔導の神秘というものですよ。」
 「インチキくせえと感じてしまうのはなんでだろ。」

 カリカが追ってこない事を確認し、足をゆるめるリクオ。

 「…もうそろそろいいでしょう。」

 デュオールの言葉と共に立ち止まり、どっと地べたに座る三人。

 「ソニーさん、ちょっと傷口を見せてください。」
 「…う……ああ。」

 デュオールはソニーの腹部に手を当て、何かを唱え出す。
 ……すると、デュオールの手が白銀に輝きだす。

 「……デュオール、それは…?」
 「……癒しの法ですよ。……そんなに優れた物ではありませんが。」

 あの時やってもらったのと同じだ。……リクオはそう思った。
 そしてようやく当たり前すぎる疑問が頭に浮かんだ。

 「なあ、あんたあいつになにか怨みでもあるのか?」

 ソニーは苦しそうだがそれでも言わずにいられないのか、
 ぽつりぽつりと

 「……私の仲間……山賊団『狼の牙』……私除いて…皆殺しに
  された…。」
 「あいつ一人にか?」
 「…………そう……そうよね……、考えてみればたかだか女一
  人に皆殺しにされたのね。……情けない話だわ。」

 普通に考えてみれば山賊団が一人の女に真正面からぶつかって潰
 されるなど、くだらない冗談だと笑い飛ばされるだろうが、その
 女があの死神カリカだと言われればまた話が違ってくる。

 「……そういえばリクオさん、あの女の人知ってるんですか?」
 「……まーな。」

 リクオは懐からワインを取り出し、左腕にふりかける。

 「……つー……しみるなあ。いや、ついこのあいだ偶然出会って
  な、…そんとき成り行き上あれと手を組んだんだ。」

 残りのワインを一口のみ

 「手を組んだときはとても心強かったが…いざ敵にまわしてみる
  とほんと、やっかいな奴だよ。」
 「……人間じゃないよあいつは…」

 ソニーの声はわずかだがはりが戻ってきている。…デュオールの
 癒しの方が効いてきているようだ。

 「狼の牙は他の山賊団に一目置かれているりっぱな山賊団よ。
  …私自信のプライドの根源でもあった。……少なくとも女
  一人に潰されるようなやわな連中ではなかったわ。」

 狼の牙でなくとも普通はそうだろう。

 「……あいつは悪魔だ…」

 口惜しそうにはきすてるソニー。

 「……いや、そんな生易しいもんじゃない。」

 リクオは空になったビンを手でもてあそびながら呟く。

 「…………死神だ。」


 夜もふけ、青い夜空が闇色に変わって行く。

 デュオールはソニーから手を引き一息つく。

 「……応急処置は終わりました。……でもまだ動いてはいけま
  せんよ。」
 「……ありがとう、……魔法ってほんとにすごいんだね、だい
  ぶ楽になったよ。」
 「…これぞ魔導の神秘です。」

 びしっとポーズを決めるデュオール。

 「傷が浅かったから明日には完全に治るでしょう。……今下手に
  暴れたりしたら保障できませんけどね。」

 デュオールはソニーの頭を優しくなで

 「あなたが動けるようになるまでは私達はここを離れませんよ。」
 「……ごめんよぉ…」

 ソニーは半分泣いていた。デュオールはリクオの方に向き

 「…明日の昼ぐらいには着きたいですね、フェリスに。」
 「そうだな。……それよりさ、デュオール…。」
 「…なんです?」

 デュオールのやさしい瞳に思わず照れるが

 「……俺の左腕も……みてくれると助かるんだけど…」

 闇色の夜空、ぽつりと浮かぶ三日月はただやさしく、そして蒼
 くあたりを照らしつづけている。


 翌朝 七時

 「……ありがとう、もう大丈夫よ。」

 ソニーは軽く荷物をまとめ

 「…あんたたちの名前を聞いておきたいわ、私はソニー・マク
  レイン。」
 「リクオ・ディツァーだ。」
 「デュオール・セルフィアルです。」

 それぞれ握手する。

 「じゃ、生きていたらまた会いましょう、黒猫さん。」
 「…なんだ、知ってたのか?」
 「山賊の直感よ。…今度一緒に飲みましょう。」

 大きくてをふり走り去って行くソニー。リクオはそんな彼女の
 後姿にぽつりと呟く。

 「……お互い生きていたら…な。」



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