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- 今を生き抜く獣達 〜麗しき闇の真紅の玉〜 - サムス・アラン [2/3(Sun) 9:32]
〜麗しき闇の真紅の玉〜 2 - サムス・アラン [2/3(Sun) 9:36]
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〜麗しき闇の真紅の玉〜 終 - サムス・アラン [2/3(Sun) 23:25]
Re:〜麗しき闇の真紅の玉〜 終 - puni [11/25(Mon) 23:10]
Re:〜麗しき闇の真紅の玉〜 終 - GUM [11/30(Sat) 7:17]



〜麗しき闇の真紅の玉〜 3
サムス・アラン [Mail]
2/3(Sun) 9:45

 …その日はそこそこ曇っていた。

 マリーの実で有名な町サン・マリーノ。その町の一角、
 黒い三角帽子に漆黒のローブの女がPUBスーペアリア
 に入って行く。

 からんころん。

 「お、きたぜリクオ。」
 「え?………て、あれ…か?」

 PUBのマスター・ゼロスに呼ばれ振り向くバンダナにピアス
 の少年リクオだが…

 「……魔法……それは孤独の美学……魔術……それは永遠なる
  芸術…そして魔道……それこそがこの世の論理……」

 何かを静かに唱えながらそれは確実に近づいてくる。

 「…お待たせしました、今回の仕事の依頼人、デュオール・セ
  ルフィアルと申します。」

 リクオはその依頼人を唖然と見る。真っ黒の三角帽に漆黒のロ
 ーブ、そして手に持っている怪しげなオーブ、顔は全くの無表
 情、髪はセミロングの銀髪、額にはクリスタルの飾り…。
 
 …………い…いったいおまえのその怪しさはなんだーーーっ!!!

 『黒猫の盗賊』の通り名を持つそこそこ名売れの冒険者リクオ
  だがこういった客は珍しいのだろう。

 「…俺に仕事を頼みたいってえのはあんたか?」
 「はい。」

 リクオは首を傾げ

 「…あんた…何者なんだ?」
 「はい、とある魔導士です。」

 ………と…とあるって…だから怪しいってお前…

 「…そ…そのとある魔導士さまがこの俺にいったい何を頼みた
  いってんだ?」
 「はい、実は私はこのオーブを南のフェリスの町にある魔導士
  村まで運ばなければならないんです。で、リクオさんには私
  が無事に魔導士村につくまでの間私の護衛をしてほしいんで
  す。」

 魔導士村…雰囲気やら何やら全てにおいて近寄りがたい空気を
 はなっている地でありリクオはそことは一生無縁であろうと思
 っていた。

 「…護衛…?…なんだ、そのオーブが狙われてるとか?」
 「はい。」
 「…なぜ?…そんなに値打ちがあるのかそれ…」

 リクオの問いにデュオールはオーブを前に差し出し

 「実はこれ、カースオーブ(呪いの玉)なんです。」
 「…カース…オーブ…?」

 リクオは肩眉を吊り上げる。

 「はい、このオーブの所有者はことごとく変死をとげていると
  聞きます。」
 「…またえらくいわくつきだナ…。」

 リクオはオーブをのぞいてみる。……オーブは妖しく真紅に輝
 いている。

 「魔導士村にこれをほしがっている人がいましてね。」
 「……また物好きな…」

 リクオはそのオーブを何度かつつくがふとあることに気付く。

 「…所有者のそのことごとくを変死させていってるそのオーブを
  今持っているあんたは大丈夫なのか?」
 「管理人ですから。」
 「ふーん。」

 まあ管理人だから仕方の無いことか。……いや、そうじゃないよ
 うな気もするが…

 「別に俺なんか雇わなくても一人で十分なんじゃないのか?…少
  し変装する溶かしてさ…」
 「ふっ、何を言うのです、こんなかよわい女のこが一人旅なんて
  とても物騒じゃあありませんかっ。」
 
 …いや、大丈夫なような気がするのはなぜだろう…

 この姉ちゃんの妙なところは話をするにしてもなんにしても表情
 が全く変わらないというところだ。
 …こわいぞ、両手を胸元によせて首をふりふり“山道を一人でな
 んて歩けな〜いっ”なんてぶりっこを全くの無表情でやられちゃ
 あ…もしかしたら魔導士ってみんなこんな物なのだろうか…

 「…なあマスター…」
 「…そんな顔すんなって…」

 どんな顔をしているのだろうと自分に疑問を持つが

 「大丈夫なんかよこのねーちゃん…」
 「……何事も経験だ…それしか言えねえな…。」

 マスターも少し頭を抱えている。

 「…まあとりあえず…だ、あんたをフェリスまで連れていきゃい
  いんだろ?」
 「ふっ、なーに、町を一つばかりこえるだけですよ、軽い軽い。」

 はっはっはっと笑って見せるデュオールにやはり表情は無い。

 「…ならあんた一人でいけよ。」
 「ふっ、何を言うのです、そもそも麗しき可憐な乙女にとっての
  山道の旅……それは永久の樹海、闇深き死への道しるべ…、死
  神のいざない…そして…」
 「だーっ、分かった俺が悪かった…。」

 リクオはふーとため息をつき

 「…しっかし…だーれが狙うんだそんな物騒なオーブ…」

 デュオールはオーブを眺め

 「…まあ、使いようによってはいろんな事に使えそうですけどね。」

 たしかに手にしているだけでいつしか変死を遂げると言うので
 あれば、殺す必要のある資産家にでもくれてやればそれでよし
 …てな具合に使えそうだ。

 「でもさ…護衛なら力自慢の戦士あたりでも雇ったほうがいい
  んじゃないのか?」

 デュオールは静かに自分の胸元に手を乗せ

 「…力自慢だけでは私の護衛はつとまりませんよ。」

 デュオールの言葉にリクオはギギギッとマスターのほうに振り
 向き

 「…どーゆー意味だよ…「
 「……いや、俺に聞かれてもねぇ…」

 力自慢の戦士につとまらない、すばしつこい盗賊になら勤まる
 護衛である。

 「…なんか嫌な予感がするぜ……」

 次第にPUBの客が増えてき、賑わいを見せてくる。
 



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