劇フィリクスのシナリオ、のせとくわよん^^
ナレータ:フェインの国、フェイン城王宮
一人の女が、謁見の間に姿を現した。
アルマ :「国王。」 国王 :「ふむ、よくぞ参られた。」 アルマ :「私は、旅の魔導士、アルマと申します。」 国王 :「ほうほう、して、どのような用か?」 アルマ :「はい、実は不老長寿の薬について、の事です。」 国王 :「不老………?」
アルマ :「その薬を飲めば、若きながらも千年の寿命を得られる のです。」 国王 :「なんと!!そのような物が………!!」 アルマ :「この国は、王のおかげで大変素晴らしい国に保たれて います。王に是非、長きに渡り、この国を守っていた だきたいのです。」 国王 :「ほうほう、良い事を言うではないか。」 アルマ :「そこで、国王にその薬を飲んでいただきたいのです。」
国王 :「真か……、その薬は今あるであろうか?」 アルマ :「ほぼ、薬が完成に近いのですが、ただ一つ、どうしても 必要な材料がいるのです。」 国王 :「ほう………それは何じゃ?」 アルマ :「はい……それは………」
ナレータ:………………幻の霊力を持つ猫……………
フェイン城から少し離れた辺境の町、フィン。夕日の まぶしい夕方、なんのへんてつもないとある家の中で。
エリシア:「フィリクス。」 フィリクス:「うにゃーん?」 エリシア:「ごはん、何がいい?」 フィリクス:「にゃーん。」 エリシア:「そう、グリルチキンがいいのね、食器洗い終わるまで 待ってね、すぐ作るわ。」 フィリクス:「うにゃーん♪(ごろごろ」
ナレータ:そこでは、一人の女エリシアと、猫が一匹、ごく普通に 暮らしていました。とても幸せそうである。
エリシア:「おいしい?」 フィリクス:「はぐはぐ……みう♪」 エリシア:「そう、よかったぁ♪(なでなで」 フィリクス:「にゃーん♪」
ナレータ:いつもと何も変わらない、平凡なひととき。そんな所に
……コンコン。
エリシア:「ん?誰かしら?」 フィリクス:「みー(すりすり」 エリシア:「こらこら、お客さんだからここで大人しくしてるのよ。」 フィリクス:「みう……(ちょこん。」
ナレータ:とてとて、ガチャっ
エリシア:「はあい。」 ウィルソン:「どうも、初めまして。」
ナレータ:そこには、中年の兵士が立っていた。
エリシア:「あら、はじめまして。」 ウィルソン:「実は、おたくのかっている猫を少しかして頂きたい。」 エリシア:「はぁ……?」 ウィルソン:「国王が、是非おたくの猫を見たいそうだ。」 エリシア:「フィリクスを?どうして?」 ウィルソン:「さあなぁ、俺はただそう聞いただけだ。」 エリシア:「いいですけど……すぐ返してくれるんでしょうか?」 ウィルソン:「一週間で返すと、王は言っておられた。」 エリシア:「一週間……。」 ウィルソン:「礼金が出るそうだが、どうだ?」 エリシア:「いいけど……フィリクス。」 フィリクス:「うにゃーん?」 エリシア:「国王があなたを見たいんだって。」 フィリクス:「みー?」
ナレータ:と、猫をひょいっとかかえあげ、兵士に渡す。 ウィルソン:「じゃあ、一週間後に返しにくる。」 フィリクス:「うにゃーん(じたばた」 エリシア:「うん……すぐ返してね。」 フィリクス:「うにゃあああああん><(じたばたじたばた」
ナレータ:馬車の中、男は猫を隣の席に置き、馬車に揺られ るまま時を過ごす。
ウィルソン:「…たく、なんでこの俺がこんな猫のためにわざわざ。」 フィリクス:「みー。」 ウィルソン:「ん?」 フィリクス:「ごろごろ」 ウィルソン:「く、なんでえ、人なつっこい猫だなぁ。」 フィリクス:「みい。」 ウィルソン:「ん?腹が減っているのか?」 フィリクス:「にゃーん。」 ウィルソン:「ちっ…。」
ナレータ:懐にあるドライチーズをとりだし、フィリクスに一切れ ちぎってあげる。
フィリクス:「うにゃーん♪」 ウィルソン:「たぁく、携帯用の安モンのチーズの何がそんなに うまいんだか。」 フィリクス:「ごろごろ。」 ウィルソン:「ちっ…(なでなで」 フィリクス:「にゃあああん><(ごろごろごろごろ」 ウィルソン:「こ、こらくすぐったいからやめれっ」
ナレータ:猫を膝の上にのせる。
ウィルソン:「ふー、たく王さんが見たがるわけだ。俺んとこの 女房と子供もこんだけかわいけりゃあなあ。」 フィリクス:「みー。」 ウィルソン:「ん?もっとほしいってか?」 フィリクス:「にゃーん。」 ウィルソン:「ち、ほれ。」 フィリクス:「にゃーん><(はぐはぐはぐはぐ」 ウィルソン:「そうかそうかうまいか、わっはっは。……いけね、 俺の分まで全部やっちまった。」 フィリクス:「ふにゃーん♪」 ウィルソン:「ち、まーいっか。」
ナレータ:フェイン城王宮、謁見の間
ウィルソン:「王、こちらがフィリクスです。」 国王 :「ほうほう、よぉくもってきてくれた。」 フィリクス:「にゃん。」 国王 :「フェインじゅうの猫を集めるのも、一苦労じゃわ い。で、どうじゃな?この猫は。」 アルマ :「ちょっとその猫ちゃんをよぉく見せて下さい。」
ナレータ :アルマは、フィリクスをじーっと見つめる。
アルマ :「……この猫……この猫だわ!!!」 国王 :「なんと!!!まことか!!!」 フィリクス:「…うにゃーん?」
ウィルソン:「王?その猫をどうするおつもりで?」 国王 :「ほっほっほ、薬じゃよ。」 ウィルソン:「薬?」 フィリクス:「ふにゃ?」 アルマ :「この猫をよぉーくすりつぶして、薬を作るのよ。」 ウィルソン:「え!?」 フィリクス:「!」 国王 :「良い薬が出来ると良いのぉ。」 アルマ :「ご安心を。」 ウィルソン:「ちょ、ちょっとまってくれ!!」 フィリクス:「うにゃああーーんっ!!><」 国王 :「ん?何かの?」 ウィルソン:「そ、その猫、一週間以内にちゃんと返すって……。」 国王 :「知らんのう。」 ウィルソン:「王……!!!」 フィリクス:「うにゃーーーーーーーんっ!!><」
国王 :「たかが一般兵ごときが、ワシに何か文句でもあるの かの?」 ウィルソン:「くっ……」 国王 :「では、まかせたゾイ。」 アルマ :「はい。」
ナレータ :そして、夜はふけっていく。
次の日の朝、フィンの町。
コンコン。
エリシア :「はあい。」
ナレータ :ガチャ。
エリシア :「あら、こんばんわ。」 ウィルソン:「うう……。」
ナレータ :兵士は、エリシアに金のはいった袋を渡す。
エリシア :「何ですか?これは。」 ウィルソン:「……猫の金だ。」 エリシア :「フィリクスの…?」 ウィルソン:「ああ……猫は返せねえ……。」 エリシア :「ちょっ……!!!」
ウィルソン:「すまねぇ、それだけだ…。」 エリシア :「どういう事!?フィリクスは!?」 ウィルソン:「…王の飲む薬として、精製されるらしい…。」 エリシア :「何ですって!!??」
ナレータ :もはや頭を整理する事すらままならないエリシア。
エリシア :「フィリクスを……フィリクスを返してよぉ!!!」 ウィルソン:「すまねえ、俺にはどうしようもねえ…… じゃあな!!」
ナレータ :走り去る兵士。
エリシア :「ま、待ってぇーーーーー!!!」 ウィルソン:「うううう…」 エリシア :「うああーーーーーーん」
ウィルソン:「俺は、なんて事をしちまったんだ……」
エリシア :「何で……何でこんな事になったの……」
ナレータ :エリシアは泣きながらも、ただ空を見上げる。
エリシア :「フィリクスぅ……。」
ナレータ :フェイン城王宮。
フィリクス:「……うにゃーん……。」 ウィルソン:「やつれたじゃねえか……。」
ナレータ :兵士ウィルソンは、ひげだらけの顔をくしゃくしゃに して、涙を流しながら牢屋ごしの猫のそばに座ってい た。
ウィルソン:「ごめんな…俺って本当に馬鹿な奴だよぉううううう」 フィリクス:「……ふにゃーん。」 ウィルソン:「うっ…うあああああ」
ナレータ :フェイン城、城門前。
エリシア :「フィリクスを返して!!!」 アルマ :「王の絶対命令よ、あきらめなさい。」 エリシア :「なんで!?貴方達にフィリクスの命を奪う権利 なんてないわ!」 アルマ :「お金もらったでしょ、それで新しい猫でもかえば?」 エリシア :「お金でフィリクスは帰ってこない!!」
ナレータ :金の入った袋をアルマに投げつけるエリシア。
アルマ :「…いったぁ〜。」 エリシア :「お金を王に返して、そしてすぐにフィリクスを返し てよ!!」 アルマ :「くっ、後悔しない事ね!!」
ナレータ :フェイン城王宮。
フィリクス:「うにゃーん……。」 アルマ :「買主が、猫を返せとあたりに喚いています。」 国王 :「ふむ、あまり騒がれても目障りじゃのう。」
ナレータ :王は、窓をしばらく眺めていたが、一言。
国王 :「…殺せ。」 アルマ :「…は。」 フィリクス:「!」 アルマ :「お前達、あの女を殺してきなさい。」
ナレータ :兵士に指示を出したのは、アルマ。
フィリクス:「うにゃあああーーーーーーーーーーーー」
ナレータ :突如、フィリクスの体が光出す。
アルマ :「え、な、何!?」 国王 :「ぐああああああ」 アルマ :「お、王様!!??」
ナレータ :光を直接まじかであびた王と、その場にいた兵士 達は、ぱたりと倒れ、そして動かない。
アルマ :「お…王様…王様!?」
ナレータ :もはや息はない。
アルマ :「くっ…まあいいわ、薬さえ出来ればもう王に用は ないもの」 フィリクス:「ふぎぃーーーーーーーーーーっ!!!」 アルマ :「とっとと殺しておけばよかったわ。」
ナレータ :アルマは魔法をとなえ、そして猫にはなつ。 ちゅどぉぉぉぉぉぉぉん。 フィリクス:「ふにゃあっ><」 アルマ :「さて、これで終わりよ。」 フィリクス:「ふ…にゅ……」
エリシア :………フィリクス…フィリクス…どうしてこんな事に なったの? 会いたい…会いたいよ………
フィリクス………
フィリクス:「……ふにゃおぉぉーーーーーーー!!!」
ナレータ :突然再び、フィリクスの体が眩い光につつまれ、 そして……
アルマ :「えっ!?」
ナレータ :光がひいたと思えば、そこにはフィリクスのかわりに 一人の少女が……。
アルマ :「何!?あなたフィリクスなの…!?」 フィリクス:「ママに…ママに会いに行くんだ……」 アルマ :「まさかこれほどとは……誰があなたを逃がす物で すか、あなたみたいな貴重な材料を!!!」 フィリクス:「どいてえーーーーーーーーーーー!!」 アルマ :「ううっ!!」
ナレータ :再び眩く光る。
アルマ :「…なんの、これでおしまいよぉ!!!!」
ナレータ :アルマは魔法を唱え出すが…
ザクぅっ……
アルマ :「あうっ……」
ナレータ :突如、アルマの背中を大剣が貫く。
ウィルソン:「やっぱり、お前の仕業なんだな…何もかも!!!!」 アルマ :「く…わ…私とした事が……油断したわ……」
ナレータ :アルマは、その場に倒れる。
ウィルソン:「俺がした事は、正しいのか?それとも間違って るのか?」
ナレータ :兵士ウィルソンは、目の前の裸の少女の瞳を見つめる。
ウィルソン:「だが、俺は後悔はしてない…。」
ナレータ :フィンの町の平原。
エリシア :「何よ…。」 ウィルソン:「呼び出してすまない、こいつを連れてきた。」
ナレータ :兵士ウィルソンのわきから、少女が顔を出す。
フィリクス:「ママ……」 エリシア :「え?」 フィリクス:「あたしだよ、フィリクスだよ……。」 エリシア :「フィリ…クス…?」 ウィルソン:「ああ、そいつぁお前さんの猫だ。」 エリシア :「からかわないで!!!貴方達はフィリクスを殺した のよ!!もうお願いだから私にこれ以上関わらな いで!!」 フィリクス:「ママ……」
ナレータ :フィリクスは、ぽつりと。
フィリクス:「グリルチキン……また食べたいな…。」 エリシア :「え……」 フィリクス:「いつものように、頭なでてお話きかせて……」 エリシア :「フィリ…クス…フィリクスなの?」 フィリクス:「こんな姿になっちゃったけど…でも、ママが好きだ よ…もうどこにも行かないよ…」 エリシア :「フィリ…クス…」 フィリクス:「ママ……」 エリシア :「フィリクスーーーー!!!」 フィリクス;「ママーーーーっうあぁーーーーんっ!!!」 ウィルソン:「ううう……金は使いな、慰謝料だ。」 エリシア ;「ううん、いらない……」
ナレータ :エリシアは、ただゆっくりとフィリクスの頭を なでる。
エリシア :「フィリクスがいれば……それだけで…」 フィリクス「………にゃーん……♪」
ナレータ :一人の女と、一人の猫だった少女は、それからも末 ながく、平凡だが、ただ、幸せにくらしたそうな……。
Fin
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