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- フォトンの騎士 外伝 Be Prinncass お姫様たれ - アルフリート [8/9(Thr) 13:28]
フォトンの騎士 外伝 Be Prinncass お姫様たれ 第2話 - アルフリート [8/9(Thr) 14:41]



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フォトンの騎士 外伝 Be Prinncass お姫様たれ
アルフリート [Mail]
8/9(Thr) 13:28
 ヘイゼル
 金髪碧眼 175CM 54KG
 パイオニア2にてラグオル探索時において様々な一行に同行し、彼女の手記は後年ラグオルの隠蔽された歴史を暴く重要な手掛かりとなっている。
 また彼女は本を発行しており、それらはノンフィクションとして売り出され、ミリオンヒットとなる。
 代表作『フォトンの騎士』。
 性格 非常に温厚にてトリッキー。そして、精神的に非常にタフである。

 さて、何から話せばよろしいのでしょうか、今回の事件はとても面白いものから始まりました。
 その始まりは『シンデレラ』だったのです。
 『シンデレラ』といえば皆様ご存知ですわね?不幸な少女が魔法使いのお陰で幸せになるというお話です。
 少し端折りすぎましたでしょうか?
 いいえ、違います!
 何故なら私が久しぶりにラグオルの森林エリアでお茶をしながら『シンデレラ』読み終わり、思ったことがこうなのです。
「『魔法使いになりたい』ですわ…」
 かくして、私は読書の官能の混じった吐息を吐くと共に決意を胸に秘めました。
 その決意の名は…
『魔法使いになるんですの』
 でした。
 
 さて皆様、『魔法使い』になるには薄幸な美少女が付き物です。当然のことですが『魔法使い』は困った人を助けてこそ『良い魔法使い』であり、こうやって私に感動を与えるような人格が生まれるのですわ。
 とりあえず、私はラグオルから瞬間移動装置テレポーターで帰還し、とりあえずそんな薄幸の美少女はいないかと辺りを見ました。
 まあ当然のごとくハンターズギルドにそんな人がいるはずはありません。基本的にハンターの人はある程度裕福な中流の方が多いです。何せ命を賭けているのですから。私や弟のアルフリートみたいに莫大な借金を抱えているのならとも郭なのですが。
 私はそう思い、ハンターズギルドはあきらめて一般区画の方へ探しに行こうと思いました。
 でも、運命は面白いですわね。
「あたしの夢はお姫様になることだぜー」
 何故そんな偶然が重なったかは知りませんとも。なぜ黒い服に黒いロングヘアーのとても背が低くて可愛らしいハニュエール、千家 相楽さんがそんなことを言いながらハンターズギルドに入ってきたかは知りませんとも。多分隣にいる守護者さんに言ってたんでしょうけどそんなこと関係無いですわ。
 私は相対性理論を生身で無視して光速で相良さんの後ろに回りますと力の限り抱きしめました。
 何故ですかって?古来から喜びを表すのは抱きしめることではありませんの?
「おめでとうございます」
 私は言いました。
「あなたの夢をかなえる、『魔法使い』の登場ですわ」
 私は断言しました。
「あのー、ヘイゼルさん、何かの冗談では………」
 私は守護者さんを一瞥しました。その時守護者さんが何を見たかは知りませんが少なくとも五歩、何も言わずに後ずさりしました。
 相良さんは喜びのあまり…
「グ、グ、グ、首が……」
 何も言えない様でしたわ。
「さあ、故人曰く善は急げです。あなたの夢をかなえに行きましょう!」
 私は相良さんを抱きしめたまま、その場を離れました。
 後に残ったのは何も言わずに私達を祝福してくれた守護者さんだけです。
レスをつける


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フォトンの騎士 外伝 Be Prinncass お姫様たれ 第2話
アルフリート [Mail]
8/9(Thr) 14:41
 相良さんを連れた私は自室へと走りました。
 やはり善は急げですから。
 ですが。
「だああああ、いつまでも首締めるなあ!」
 私はあまりの力に転んでしまいました。あたりはそろそろ配給のために人がごったがえし、とても多くの人の目がありました。
「どうしましたの、相良さん?一緒に夢をかなえましょう」
 でも、私は気にしませんわ!
「だから夢って何だああ!」
「貴女がお姫様になる夢ですわ!」
 ここで周りの人が笑いました。そんなにおかしいことなのでしょうか?でも、この笑い声はとても嫌なものでした。私達にとって。
 相良さんの顔が青くなります。
 怒りのために。
「テメエラ、何笑ってんだああああ!」
 相良さんはハルベルトを取り出しました。すぐに青いフォトン金属の棒の先から噴出し、まるで青龍刀のような形になります。
 でも、そんな武器よりも怖い人が目の前にいます。相良さんは湯気が立ちかねない勢いで怒りを口から放ちました。
「文句ある奴は出てこい!あたしは本気なんだぞ!」
 周りの人はそそくさにその場を離れて行きました。怒った相良さんに立ち向かおうなんていう勇気のある一般人はいません。その通りはほとんど人がいなくなっちゃいました。
 そうやって逃げていく人達を相良さんは見てました。私からは相良さんの背中しか見えません。
 寂しそうに見えるのは私の気のせいでしょうか?
 強い人はやはり孤独なのでしょうか?
「なあ、ヘイゼル……」
「はい……」
「アタシって馬鹿なのかなあ?」
「いいえ」
「だって誰も考えないぜ、こんなガサツな女が『お姫様になりたい』なんて……」
「いいえ」
「!」
 相良さんの顔は見えません、でも、驚いたのが背中で分かりました。
「だって皆同じですもの」
 私は続けます。
「物事の馬鹿らしさはあくまで常識に縛られてできる物。なら常識を変えてしまえばいいのですわ」
 背中にやさしく手で触り。
「貴女がお姫様になってしまえばいいのです」
「ヘイゼル」
 無表情な顔で相良さんは私の方に向きました。
 でも、私には泣いてるように見えてしまいました。
「何でそんな事言うんだ?」
 これには答えがあります。とても自然な答えが。
「だって私は貴女の味方の『良い魔法使い』ですもの」
 

 これは一つの記録。
 とても小さくて大きい人と私が一緒にいた時間の跡。
 この星で。
 この時間で。
 笑いと楽しさの証。
 自分が自分であった証。 
レスをつける



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