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- タークス小説第4弾「前書き」 - ウルフ [12/21(Sat) 5:21]
「ある男の転落」第1話 - ウルフ [12/21(Sat) 6:33]
「ある男の転落」第2話 - ウルフ [12/21(Sat) 8:41]
「ある男の転落」第3話(最終話) - ウルフ [12/21(Sat) 17:58]
後書き - ウルフ [12/21(Sat) 18:10]
Re:後書き - サムス・アラン [12/24(Tue) 1:06]



「ある男の転落」第2話
ウルフ [HomePage] [Mail]
12/21(Sat) 8:41
さて、そうこうするうちに、ウルフが休憩から戻って
来た。

「ウルフちゃ〜ん。」

それをいち早く見つけたサムスが手招きをする。

「何ですか?」
「休憩終わったばっかりで悪いんだけどぉ、急なお仕事
が入っちゃったのよぉ。行き先がちょっと危険そうで
不安があるから、一緒に行ってくれないかしらぁ?」
「いいですよ。」
「ほんと?助かるわぁ。」
「で、メンバー構成は?」
「この2人よぉ。」
「了解しました。」

そんな訳で、3人は装備を整えに、チェックルームへと
向かった。
その途中で、同じタークスの仲間と出会った。

「あれ、ウルフさんたち、どこ行くの?」
「おや、ジジちゃん。」

ジジと呼ばれたのは、フォニュエールだった。
見た目は人間(ヒューマン)の年齢で言うと10歳くらい
か。
ただ、人とは成長速度が違うニューマンの事なので、実際
の年齢は不明だ。

「これから急な仕事なんだよ。」

ラウドが答える。
すると、ジジが

「面白そう〜、私も一緒に行きたいなあ。」
「遊びに行くんじゃないんだぞ。」
「う〜、解ってるよ。でも、退屈なんだもん。」

アルフリートがたしなめるが、ジジは聞きそうにない。

「ね〜、お願い、一緒に行ってもいいでしょう?」
「これから行く所は危険なんだ。」

アルフリートが言っても、一向に引き下がる気配が無い。

「まあ、いいじゃないか、アルフリート。」

ラウドが割って入る。

「だが、しかしだな。」
「ウルフさんが一緒なんだし、平気だよ。」
「わあい、ラウドは優しいなあ。じゃ、決まりね。」

ジジはそう言うと、帽子についた白いポンポンを、
ピョコピョコと揺らしながら、一行の後をついて行く。

「どうなっても知らんぞ。」

アルフリートは、口ではそう言いつつも、何となくその
表情は、ほころんで見えた。

やがて4人は、仕事の目的地である密林エリアに入った。
文字通り、樹木が密生した、うっそうとした密林である。
だが、その樹木の間には、原色ギトギトの、どぎつい色の
花が咲いていたり、原始的な昆虫や、色鮮やかな鳥たちが
飛び回り、見ているだけなら、決してしばらくは退屈せず
にすみそうな景色が続いている。

好奇心旺盛なジジは、少しもじっとしている事が無く、
ウルフ達が一緒で無ければ、すぐにも迷子になってしまい
そうであった。

その時、一番前を歩いていたウルフが、エネミーの気配を
敏感に感じとった。

「来るよ!!」
「了解。」

すぐに4人は臨戦体制に入る。

「シフタ!」
「デバンド!」

ウルフがいつもの調子でテクニックを唱える。
が、

「む〜っ。」

ジジが頬をふくらませて、(文字通り)ふくれる。

「あ、ごめんごめん。」

今回はフォニュエールのジジが居たのだが、ウルフは
コロッと忘れていたのだった。

「じゃあ、次からはジジに任せるから。」
「はいです。」

ウルフはそう言うと、1人エネミーの真ん中に突っ込む。
だが、それは当然作戦だった。
エネミーを引き付けて、なるだけ部屋の入り口から遠ざけ
る。そして、エネミー全部が部屋の入り口側に背中を向け
た時、仲間が背後から一斉に攻撃を仕掛けるのである。

だが、これも最初にエネミーと接触する時だけであり、
次から次へとエネミーが現れる乱戦では、もう使えない。

「敵が多いなあ。サムスが、ウルフさんを待つ様に言った
理由が、これで解ったよ。」

ラウドが、ラストサバイバーと呼ばれる大剣を振り回し
ながら言った。

「だが、所詮はザコだ。」

アルフリートが、ブレイバスと言うハンドガンで、遠目
から、猿の化け物(ウル・ギボン)を狙い撃ちにする。

アルフリートは、間合いに応じて武器を使い分ける、
いわゆる

「オールレンジ・ファイター」

である。
だが、その為にいつも何種類かの武器を携帯する為、
たまに、古(いにしえ)の伝説の人物「ベンケイ」だと、
ラウドにからかわれている。

その時、空から、新しい蜂型のエネミー「ギー」が
現れた。ざっと影を見ただけでも5〜6匹は居るだろう、
かなりの数だ。
しかも、かなり素早い。
武器が大剣系のウルフとラウドは、素早い動きに、ともす
ると翻弄されてしまい、思う様に攻撃が当てられない。

アルフリートの周りにも、耳障りな羽音を立てながら、
ギーが、まるで獲物を狙う鮫の様に旋回をしている。
が、

「バシュウッ。」

という発射音とともに、ギーが空中で四散する。
器用な事に、アルフリートは、ギーに背中を向けたまま
で、自分の脇からブレイバスの銃口を向けて、背後の
ギーを撃ったのである。

(一回やって見たかった・・・。)

アルフリートはそう思いつつ、唇の端を吊り上げて
笑みを浮かべ、1人悦に浸る。だが、その瞬間、

「うぐ!?」

ピキーンと言う音と共に、アルフリートが氷の塊に
閉じ込められる。
いつの間にか現れた、「ゾル・ギボン」と呼ばれる
ウル・ギボンの上位種の猿の化け物が、アルフリートに
向けて冷気を吐いたのである。
だが、それも束の間、

「アンティ!」

ジジが状態異常を治すテクニック「アンティ」を唱えて、
アルフリートを覆う氷を、一瞬で溶かす。

「すまないな。」
「はいです。」

アルフリートは、一瞬の油断とは言え、無様な姿を晒した
事に、憤りを感じずにはいられなかった。
そして、さらに残念な事に、今の芸術的な背面撃ちを、
誰も見ていない事に少しがっかりした。

そうこうする間に、階段状に地面に段が連なる、開けた
ホールの様な場所に出た。

そこには、メリルリアという、直立歩行をする植物の
化け物が数体居たので、とりあえずそれらをなぎ払った。
すると、それらよりもはるかに巨大な花が現れた。

「こいつが親玉か?」

アルフリートが言った。
だが、一体どんな攻撃をしてくるのか、見当も付かない。
しかし、それ以外にも、新しいメリルリアが、かなりの数
出現した。
とても親玉だけに構っている余裕などない。
ハンターズ用携帯端末でチェックしたところ、この巨大な
花は「メリカロル」というらしい。

「あの親玉をやっつけないと。」
「だが、この雑魚共が邪魔だ。」

敵の出方が解らない以上、無闇に突っ込むのは危険だが、
こうしてても始まらない。
だが、厄介な事に、近づこうとすると、変な光線を出して
こちらを寄せつけようとしない。

「ええい、仕方が無い。」
「やるか?」

ウルフとアルフリートが、メリカロルに向かって突撃を
開始する。
ジジがテクニックで、上手いことルート上のメリルリアを
倒してくれたので、全力で走れば何とかなりそうだった。
だが、いきなりアルフリートのルート上に、新しい
メリルリアが、丁度彼を囲む様に現れた。

「くっ、しまった。」

アルフリートは、急いで別のルートを探したが、運悪く
メリカロルの怪光線を浴びてしまった。
ダメージ自体は大した事は無かったが、視界がグラグラ
と上下左右に激しく揺れて、安定しない。
まるで、大時化(しけ)の時に小船で海に乗り出した様
だ。

「こ、これは・・・。」

アルフリートは、自分の足元が、全く安定しないかの様
な錯覚に陥っていた。
これでは、間合いもへったくれもない。
アルフリートの異常を、素早く察知したジジが、またも
アンティをかけて、回復させる。
その間に、メリカロルに接近したウルフが、愛用の大剣
ドラゴンスレイヤーで斬りつける。
が、なんとこの花、ブレード状に変化した、自らの葉で
もって、斬り合いに反撃してくる。
ジジのテクニックによって、混乱から立ち直ったアルフ
リートが、斬り合いに加わろうとした時、今度はなんと
さらに驚く事に、花がアルフリート目掛けて、猛ダッシュ
(?)してくるではないか。

「なっ!?」

アルフリードが反応して飛び退く前に、花に牽かれて
しまった。

「ぐわっ。」

一撃でアルフリートは大ダメージを受けてしまう。
しかし、これもまた、ジジのテクニックにより、アルフ
リートの傷は、一瞬でたちまちのうちに癒されてしまう。

「お、おのれ・・・。」

大きいとはいえ、相手はたかが植物。その植物に、ここ
までコケにされて黙っている程、アルフリートは大人しい
男ではない。
幸い、それまでのウルフの攻撃により、すでにメリカロル
の体のあちこちは傷ついている。

「冥界への門は、汝の前に、今開かれん。」
「どおりゃ〜!!」

気合い一閃、アルフリートは、持っていた武器、ドラゴン
スレイヤーで、メリカロルを真っ二つに斬り裂く。

「はあ、はあ・・・。」

肩で息をするアルフリート。

「お見事。」

ラウドが言う。
が、アルフリートは、大物を仕留めたというのに、あまり
嬉しそうではない。
それもそのはず、たかが花の化け物にここまでされたと
あって、彼のプライドは深く傷ついていた。

「何とか倒したね。でも、残念だけど、今の仕事はこいつ
が目的じゃない。こいつはたまたま出会っただけだ。」

ウルフが言った。

「しかし、まだこんなのがウヨウヨ居ないだろうなあ。」

ラウドが言う。

「フッ、臆したか?ラウド。」
「いや、別に。こっちにはウルフさんが居るし。それに
ね・・・。」
「なんだ?」
「花に牽き逃げされた奴に、そう言われてもなあ。」
「な、なんだと!?」

いまや、アルフリートのプライドはずたずたであった。

「ラウド、今回ばかりは許さ〜ん!待てい!」
「うわ、アルフリート、タ、タンマ〜!」
「問答無用〜!」
「許せ〜、俺とお前の仲じゃないかあ〜!」
「聞く耳持たんわ〜、覚悟〜!!」

水しぶきをあげて追いかけあう2人。やがて数分後、
頭にたんこぶをボコボコにこさえたラウドが居た。

「ひでえなあ、親友じゃないか。」
「誰がだ!」

そんな2人を、離れて見ながら微笑む、ウルフとジジで
あった。

「ラウドさんのたんこぶ、レスタしましょうか?」
「いや、ほっとけば治るよ。」

そんなこんなで密林の探索は、まだまだ続くのであった。


     「ある男の転落」第2話 了



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