Turks Novels BBS
〜小説投稿掲示板〜


[新規投稿] [ツリー表示] [親記事一覧] [最新の記事を表示] [ログ検索] [ヘルプ] [ホームページへ戻る]


- タークス小説第4弾「前書き」 - ウルフ [12/21(Sat) 5:21]
「ある男の転落」第1話 - ウルフ [12/21(Sat) 6:33]
「ある男の転落」第2話 - ウルフ [12/21(Sat) 8:41]
「ある男の転落」第3話(最終話) - ウルフ [12/21(Sat) 17:58]
後書き - ウルフ [12/21(Sat) 18:10]
Re:後書き - サムス・アラン [12/24(Tue) 1:06]



「ある男の転落」第1話
ウルフ [HomePage] [Mail]
12/21(Sat) 6:33
ここは、「宇宙移民船・パイオニア2」内にある、
タークスという会社のビルである。
パイオニア2政府内部や、軍部で解決出来ない、または
厄介な仕事は、ハンターズギルドを通して、ほぼ、この
タークスに舞い込んで来る。
いや、正確には、社長のサムスが気まぐれで取ってくる
と言った方がいい。

さて、このタークスにおいて、現在、大イベントが開催
されていた。しかも2つも。
1つは、

「パイオニア2内・写真&人気コンテスト」(ちと苦しい

そして、

「タークス社内写真コンテスト」

である。
前述したパイオニア2内の方は、写真の方は、本当の
写真コンテストだが、人気コンテストの方は、宇宙船
パイオニア2内の、全部の人間(船内職員から一般市民、
それにハンターズ、当然であるがタイレル総督も含む。)
から、一番人気のある人物を選び、表彰するというもの。
そして、それに便乗した形で、タークス内部でも、各自
が写した写真のコンクールをやろうというものである。

その為、現在タークス社内において、カメラを携帯する
者が後を絶たない。
そこかしこで、誰かがカメラを構えている。
もっとも、タークス社内のでなく、パイオニア2内の
コンテストに応募する為に、写真を撮る物が大半では
あるが。

当然、サムスがこの話を黙って見過ごすはずが無く、
おりんさんに頼んで写真を撮ってもらい、自らも応募
していた。
実際、サムスは決して不美人という訳でもなく、どちら
かというと美人な方に入るので、ある程度の獲得票は
見込めそうであったが。

そんな折り、ウルフがラウンジで休憩を取っていると、
イルルがやって来た。

「隊長〜。」
「うん?どうした?」
(ウルフは、イルルと話す時だけ、社内でもアネゴに
なる。)

ウルフは、窓の外に向けていた視線を、イルルに移す。

「パイオニア2内の人気コンテスト、いよいよ締め切り
が近いッスよね。」
「そうだな。」
「所で質問なんスけど。」
「ん?何?」
「隊長は出ないんッスか?」
「私が?コンテストに?」
「そうッス。」
「私はね〜、そういうの興味無いし、あんまり参加人数
が多いと、票割れ起こすしね。それに・・・。」
「何ッスか?」
「1票も入らないと、かっこ悪いじゃない?」

ウルフはそう言うと、再び窓の外に視線を戻した。
そんなウルフを見ながら、イルルは思った。

(もったいないッスねえ。)

実際、ウルフはかなりイイ女だった。スラリとした長身
に、抜群のプロポーション。白で統一されたその見た目
も、実に美しかった。
もちろん、顔もかなりの美人である。

だが、本人にその意志が無い以上、無駄であった。

なお、意外な事に彼女が男性にモテた話は、聞いた事が
無かった。
その長身が災いしてか、どちらかと言うと、同性受けする
のである。
同性からは、ウルフの長身が凛々しく、かっこ良い女と
して見られるのである。

「そういや、男性の方はどうなんだろうねえ。」
「男の・・・ッスか?」
「そう。女性の方じゃなくて、男性側のね。」
「う〜ん、どうッスかね。」
「そうだ、イルル。」
「何ッスか?」
「あんた、出て見る気はない?」
「お、俺ッスか!?」
「そう。どうだい?」
「お、俺は遠慮しとくッス。そういう柄じゃ無いッス。」
「安心しろ、冗談だ。」

いきなり話を振られてしどろもどろのイルルに、ウルフは
窓の外を見ながら、さらりと言った。

「隊長〜、冗談きついッス。」
「悪い悪い。」
「でも、いいッスね〜、コンテスト。なんか、本当に俺も
出たくなったッス。」
「やめとけ。」
「あら。」

ウルフの一言で、イルルがコケる。

「隊長〜、何スか?さっきは出ろって言っといて。」
「冗談だ。好きにしたらいい。本当に出るというなら、
私が写真撮ってやる。」
「・・・やっぱやめとくッス。恥ずかしくなったッス。」
「ん、そうか?」
「うッス。んじゃ隊長、俺はこれから仕事があるので、
これで失礼するッス。」
「おう、またな。」

イルルはそう言うと、ラウンジを後にした。ウルフが
出ない事を、やっぱりもったいないと思いながら。

なお、イルルはウルフに対しては、恋愛感情を一切持って
いない。
純粋に先輩として親しみを持っているだけなのだ。

そのころ、オフィス内では、ラウドとアルフリートが
話していた。会話の内容は、やはり写真コンテストに
ついてだった。

「なあ、アルフリート。」
「なんだ?」
「俺もコンテストに応募してみよっかな〜、なんて思う
んだけど、アルフリートはどう思う?」
「どっちのだ?」
「そりゃお前、決まってるじゃないか。」
「うむ?」
「パイオニア2内の方だよ。」
「ふむ。で、お前、自分で出るつもりなのか?」
「当然じゃん。」
「・・・やめとけ。」

アルフリートは、ラウドの提案を、あっさりと却下する。

「なんでだよ〜、アルフリート。」
「お前、鏡見た事あるか?」
「あるよ、それくらい。」
「だったら、私の意見を聞く前に解るだろ?」
「チェッ、なんだよ、それ。」
「そのままの意見だがな。」
「あ〜あ、何だかんだ言っても、お前はいいよ。
ハンサムだからな。」
「フッ、まあそうひがむな。」
「ひがんでね〜よ!!」

ラウドが言う通り、アルフリードは文句無しの美青年で
あった。
そのうえ、185cm余りの長身に、均整の取れた体つきを
しており、見た目にも全く問題が無かった。

だが、やはり彼自身にも、コンテストへの応募の意志は
全く無かった。

ラウドは、

(いっその事、こいつをコンテストに出してやろうか。)

とも思ったが、応募したのがバレると後が恐い上に、
万が一、彼が表彰される事になったらシャクなので、
それはやめておいた。

その時、社長のサムスが、彼らの居るオフィスに姿を
見せた。

「あらあら、いつも2人で仲が良いのね、うらやましい事
だわね、ほほほ。」
「じ、冗談じゃない、誰が。」
「ただの腐れ縁ってやつだな。」

ラウドとアルフリートが、揃って反論する。

「おやまあ。」

サムスは、相変わらずのんびりとした口調で言う。が、
そのまま話を続ける。

「所で、急な仕事が入っちゃったのよぉ。お2人共、
ひまなら行ってくれないかしらぁ?」
「私は構わんぞ。」
「まあ、アルフリートが行くってんなら、俺も。」
「助かるわぁ。でも、今回は2人だけじゃ、ちょっと
危険なのよぉ、悪いけど、他に人も居ないし、ウルフ
ちゃんが戻るまで、待っててくれないかしらぁ?」
「私達2人だけでは不安だと?」
「そういう訳じゃあないんだけどぉ。」
「まあまあアルフリート。サムスもさ、仕事には万全を
期したいというだけなんだろうし、ウルフさんが一緒
なら、まず間違いないと思うよ?」
「まあ、そういう事よ。」
「ふむ、そんなら仕方ないな。」

そういう事で、ラウドとアルフリートは、サムスの
たっての願いで、ウルフを待つ事にしたのだった。


     「ある男の転落」第1話 了



この記事にレスをつける時は、下のフォームに書きこんでください。
お名前
URL
メール
※SPAM対策のため、メールアドレスは入力しないようお願いします。
題名
メッセージ
パスワード
このツリーを一番上に持っていく

下のボックスにパスワードを入力すると、記事の修正及び削除が出来ます。
パスワード

Tree BBS by The Room