ここは、タークス社長室(サムスの私室でもある) に隣接する、秘書課である。 今ここに、数人の者が集まって何やらやっている 様である。 では早速、部屋の中を覗いてみよう。
まずは、お馴染みとなった、秘書課(いつ出来たんだ ろう?)課長のウルフ。 白い肌に白い服、ポニーテール気味に、後ろで無造作 にまとめた白に近い銀髪と、相変わらず白一色に統一 されている。 座っているから解りにくいが、ハニュエールの中では かなりの長身で、同時に均整の取れたプロポーション を持つ。 そして、外見的に美しいハニュエールの中でも、また 別格と言える美貌も同時に備えており、秘書課を代表 するに、ふさわしい風貌を擁している。
次に、フォマールで黄色い服と帽子、紫のロング ヘアの、ビーナスウルフ。 彼女もまた、ウルフとは違うタイプの美人である。 今は帽子をとっているので、その髪型と顔立ちが はっきりと解る。 彼女は、部屋の中に用意されたポットと道具一式で、 お茶を入れている様である。
そして、ウルフと同じハニュエールで、ウルフと 同じ白い肌と白い服を着ていて、ウェーブのかかった エメラルドグリーンのセミロングのヘアスタイルを した、ゴッドウルフ。 (ア○ター○ーンのミ○リーに、どことなく似ている 気が、しなくもない。) そこそこの長身と美貌に加え、プロポーションだけ なら、ウルフ以上のものを持っている。 秘書課に居るのも、至極当然と言えよう。
彼女達秘書課所属のメンバーは、全員が名前にウルフ を持つ為、ウルフチームと呼ばれている(らしい)。 もちろん、本名では無くて、コードネームや通り名 や愛称(ニックネーム)である。
そして、この秘書課所属のメンバーの他に、明らかに 場違いな感じのレイキャストが一人。
「それじゃ、チタン。お願いね。」 ビーナスが、今入れたばかりのお茶を入れた、湯気が 立つ湯飲みを、チタンと呼んだレイキャストの前に 置いた。 「了解。」 チタンは、湯飲みを両手で持つと、そのまま口へと 運んだ。
「ズズズ・・・/亘\」
なんと、チタンはレイキャストなのに、(どこにある か、所在が不明の口で)お茶を飲んだのである。 (ちなみに、どういう仕組みになっているのか不明 だが、ちゃんと味も解るらしい。) 「分析開始・・・。」 そう言うと、チタンの目がチカチカと点滅を開始して、 同時に「ピー、ウイーン、カチャカチャ。」と言う音 を、体から発し始めた。 「温度・・・濃度・・・成分・・・その他・・・。 以上を統合した結果・・・。」 「完成度78%。評価:ランクB。」 「Bか・・・。」 チタンの言葉を聞いて、がっかりした表情を浮かべる ビーナスであった。 「気を落とさないで下さい。十分おいしいお茶です。」 「ありがとう、チタン。でも、今のままだと、来客や サムスには、まだ出せないのよね・・・。」
「ズズズ・・・/亘\」
チタンは、残りのお茶を飲んだ。 「それじゃ、次は私が入れるよ。」 そう言うと、ウルフがビーナスと同じ道具とお茶の 葉を使って、お茶を入れた。 「さあ、チタン。飲んでみて。」
「ズズズ・・・/亘\」
チタンは、ウルフが入れたお茶も同じ様に飲んだ。 「分析開始・・・。」 再び、チタンの目が点滅を開始して、同じ様にその体 から音を立て始めた。 「温度・・・濃度・・・成分・・・その他・・・。 以上を統合した結果・・・。」 「完成度99、8%。評価:S。文句無しです。」 「まあね。」 ウルフが、へへんと言った表情を見せた。 「やっぱりウルフさん、すごいなあ・・・。まだまだ 私は未熟です。」 「いやいや、こればっかりは勘と経験よ。」
「ズズズ・・・/亘\」
チタンは、ウルフが入れたお茶も飲み干した。 「私はアンドロイドですから、勘や経験などと言う、 非科学めいた事は解りませんが、ウルフさんが入れた お茶がおいしいと言う事は、解ります。」 それからしばらく、ビーナスはウルフが入れるお茶と 自分が入れたお茶を飲み比べてみたが、やはりウルフ が入れたお茶の方がおいしかった。 それは、その場の全員も同じだった。 「う〜ん、なぜでしょう。」 集まりが終わった後も、ビーナスは自分のデスクで 考えていた。 全く同じ条件で入れたお茶なのに、どうして味が 違うのか。 人間やニューマンなら、その時々の気分や体調など、 コンディションも微妙に影響する事もあるだろうが、 アンドロイドのチタンも意見が同じだったのである から、それは理由にはならない。 「考えてたって、しょうがないか・・・。」 ビーナスは、気分転換も兼ねて、社外へと出かけて みる事にした。 今は、さして忙しい時では無いし、少しばかり社外 へ出かけた所で、何の問題も無い。 とりあえず、彼女はオフィス街から出て、飲食店が 立ち並ぶエリアへと、足を向けてみる事にした。
お茶汲みの心得・その1 了
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