アリッサは、ウルフに連れられて西ロンフォールの森 に、本格的に足を踏み入れた。
「う〜ん、これでいよいよ、私も冒険者かあ。」
感慨にひたるアリッサであった。
「じゃあ、まずはそこのウサギやミミズから、やって みよ〜。」 「オケ。」
ウルフは、アリッサに「プロテス」と「シェル」を かけた。
「さあ、頑張れ。」
ウルフの援護をもらって、アリッサはザコとの戦いを 開始した。 一応ウルフも、白とは言えレベル40なので、ここら のザコは問題にならない程強い。おまけにサポート で黒20もついている。 そんなウルフの後ろ盾もあり、アリッサは順当に狩り を続けていった。
レベル4くらいになった頃、ウサギやミミズに飽きて 来た彼女は、少し強い敵に手を出したくなっていた。 そこで選んだのは、羊である。が、 たまたまその時、サポートで減ったMPを回復する為 に、ウルフは離れた場所でヒーリングに入っていた。 ウルフがあわてて駆けつけた時には、
「ごち〜ん☆」
と言う音がして、羊の頭突きを受け、アリッサが 戦闘不能になる。
「あらら、羊はちょっと早かったね。」
そう言いながら、ウルフは「レイズ」を唱えると、 アリッサをあっさり復活させる。
「ありがと〜。」 「今度からは、気をつけ無いと駄目だよ。」 「ごめ〜ん。」
そんなこんなで、アリッサはレベル7程度まで成長 した。
「そろそろ次の段階の装備かな。一度戻るよ。」 「了解〜。」
ウルフはアリッサを連れて、一旦サンドリアに引き 上げると、南サンドリアの武器屋へ向かった。
「じゃあ、新しい装備を買ってあげるよ。」 「わ〜い。」
ウルフは、アリッサに新しい装備を見繕(つくろ)っ てあげた。
頭 レザーバンダナ 片手 ワックスソード(変化無し) 盾 ラワンシールド(変化無し) 胴体 レザーベスト 腰 レザーベルト 脚 レザートラウザ 足 レザーハイブーツ
「これで、当分は装備に困る事は無いでしょ。」 「サンキュー。」 「でも、今まで使ってた装備は、また必要になるから 処分したら駄目だよ。ちゃんととっといてね。」 「了解。」
アリッサにとっては、あの恥ずかしい装備から解放 される事の方が、うれしかったに違いない(はず)。 とりあえず、その日はそこまでで、また次の日と 言う事になったのだが・・・。 次の日にウルフがアリッサと会ったら、
「どうしたの?その格好は。」 「うん、ちょっとね・・・。」
その日の彼女は、ボロボロであった。 ウルフが理由を訪ねると・・・、
彼女には、やはり冒険者になりたがってる弟が 居て、彼女の装備をこっそり持ち出したのだそ うだ。 それで喧嘩になったと言う事らしい。
「まったく、油断もスキもあったもんじゃない。」
彼女にとって一番の敵は、モンスターよりも自分の家族 だったと言う事か。 さすがのウルフも、これにはお手上げであった。 未だに怒り冷めやらぬ彼女をなだめながら、ウルフは 今日もアリッサの世話を焼くのであった・・・。
お節介な女 完結
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