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- 時を越えた宿命〜第5話〜その01〜 - Gum [1/4(Sat) 12:36]
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時を越えた宿命〜第5話〜後書き〜 - Gum [1/4(Sat) 13:06]



時を越えた宿命〜第5話〜その11〜
Gum [Mail]
1/4(Sat) 12:50
 その夜遅く、シヴァンは何かに呼ばれたのか突然目を覚ました。

 「なんだろう?なんか懐かしい声に呼ばれているみたい・・・・。」

 シヴァンは戦闘用の服に着替え、ケインを持ち、部屋を出る。
部屋を出て共有スペースにつく。皆寝ている様だ。
そっと表の扉を出て、シヴァン用のカードキーを使い鍵をかけなおす。

 街は皆寝静まっている様だった。

 レオン達はハンターズであったが、その住居は居住区の中でも比較的閑静なところにあった。
その静かな街から歓楽街のある商業区の方へ歩いていく。
次第に、昼の町中のような喧騒の中を歩いていくシヴァン。

 そして、商業区の一角にあるハンターズギルドの建物に入っていった。
ハンターズに登録してあるシヴァンは難無く入れた。ギルドは24時間営業なのだ。

 ハンターズギルド内は静かだった。職員の姿はなく、応対用のソリッドヴィジョンが幾つも並んでいる。
その幾つもが客が居ないせいで自動的に電源が落ちており、静かであった。

 シヴァンは上の階に進み、その奥のハンターズしか入れない区画へと入っていく。
更にその奥に、地表へのテレポーターがあるのだ。

 地表へのテレポーターは入り口を軍の兵士が見守っている。
こんな夜中に地表に降りるのが珍しいのだろうか、
また、年若いシヴァンが一人で地表に降りようと言うのが不思議なのか
警護の軍人はシヴァンのことを怪訝に見ていたが
軍とハンターズの間には相互不干渉の取り決めがなされている為に
何も言われることはなかった。

 地表に降りた後、空を見上げると月が綺麗だった。満月だ。
そして、シヴァンは周りを見まわす。一番最初に降りたのと同じ場所だった。

 『こっちだったよね・・・』

 最初の日、黒い人影を見たほうに進んでいく。

 しばらく進んでいくと、綺麗な歌声が聞こえてきた。
歌声は風に乗って聞こえてきているようで、ここで聞いていても綺麗なものだった。
その歌声を頼りに進んでいくと、この前に見た広場みたいなところに出た。


 歌声は更にその奥から聞こえていた。

 広場の奥の木々の間に、人一人すら通れないくらい狭い道のようなものがあった。
その程度では、前に見たときに発見はできないのも無理はなかった。

 そこを何とか通って、シヴァんは奥まで出た。

 木の陰から、さらに奥を見るとそこは広い広場みたいな所であった。

 周りは完全に木々に囲まれている為に、また開発区画から外れている為に
レーダーやマップの圏外の場所であった。

 そこの広場はたくさんのラッピ−が居た。ほとんどが黄色いものだったが、中には青いのも居た。
そして、ラッピーの何重もの輪の中に一人の少女が座っていた。

 歌を歌っていたのはこの少女なのだ。

 シヴァンは目を疑った。その少女はどう見ても、自分であった。
しかし、シヴァンは真っ白なハンターズの衣装を着ているのに対し、その少女は真っ黒な衣装だった。
頭の上のぽんぽんの付いた帽子は、シヴァンは白色でピンクのぽんぽんに対し、その少女は黒で青いぽんぽんだった。

 一つの歌が終わると、その少女はラッピー一匹一匹を見まわしてまた歌を歌い始めた。

 ラッピーもみな大人しく聞いていた。歌の旋律に沿って、体ををゆっくりと右に左に揺らしていた。 



 ふと、シヴァンの気配に気がついたのか、歌を歌っていた少女はシヴァンの方を見て歌を止めた。
それにつられて何十、いや何百というラッピ−もいっせいにこっちを向く。

 「あなた、こんな夜中に、どうしたの?・・・・・え?・・・・・私?私は・・・・・・気晴らしかな?」 

 何も答えず、ただじっと少女を見つめるシヴァン。
少女はまるで自分が何してると問われたと思ったのか、取って付けたような答えを言った。

しばらくして、シヴァンは答える。

 「私は・・・誰かに呼ばれたような気がして・・・・。その気配をたどってたら・・・・・。」

 「ここに来たのね。」

 首を縦に振るシヴァン。

 「ここにいらっしゃい。一緒に歌を歌いましょう。」

 そう言うと、人が一人通れるくらいの隙間が、ラッピ−とラッピ−の間に出来た。
 
 少女が座っている丸太の上に腰掛ける。そして、少女と同じく、シヴァンも帽子を取った。
傍から見たら、どっちがどっちか分からないだろう。

 シヴァンは周りを見まわした。綺麗な花がさいていた。
ラグオルの森の探索は2日位したが、このような綺麗な花を見たことは無かった。 

 そして少女はまた歌を歌い始めた。

 それは離れ離れになった家族を思い、残された子が父を母をそして姉を思う歌であった。 

 聞いてるシヴァンには少女が泣きながら歌ってる様にも見えた。
シヴァンもその歌に込められた感情に触れ、自然に涙が出てきた。 
  

 しばらくその少女が歌うのを聞いていたが、心地よい風が吹いているためか何故かシヴァンは眠くなってきた。

 眠りに落ちる直前に少女が囁く様に、シヴァンに言っていた。
眠りに落ちかけてるシヴァンには聞こえていたかは定かではない。

 「会いに来てくれてありがとう。今日はこのままお別れね。・・・・・・・・お姉ちゃん。」
 
 少女の歌を子守唄にシヴァンは深い眠りに落ちていく。



     (PSOオリジナル小説『時を越えた宿命』第5話「衝撃の森〜後編」完)



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