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- タークス小説番外編・その2の前書き - ウルフ [12/23(Mon) 6:20]
「宇宙(そら)に咲く華、散りゆく華」第1話 - ウルフ [12/23(Mon) 7:00]
「宇宙(そら)に咲く華、散りゆく華」第2話 - ウルフ [12/23(Mon) 8:25]
「宇宙(そら)に咲く華、散りゆく華」第3話 - ウルフ [12/23(Mon) 9:16]
「宇宙(そら)に咲く華、散りゆく華」第4話 - ウルフ [12/23(Mon) 10:13]
「宇宙(そら)に咲く華、散りゆく華」第5話 - ウルフ [12/23(Mon) 11:02]
「宇宙(そら)に咲く華、散りゆく華」第6話 - ウルフ [12/23(Mon) 20:55]
「宇宙(そら)に咲く華、散りゆく華」第7話 - ウルフ [12/23(Mon) 21:58]
「宇宙(そら)に咲く華、散りゆく華」第8話 - ウルフ [12/23(Mon) 22:28]
「宇宙(そら)に咲く華、散りゆく華」第9話 - ウルフ [12/24(Tue) 6:18]
「宇宙(そら)に咲く華、散りゆく華」第10話 - ウルフ [12/24(Tue) 6:55]
「宇宙(そら)に咲く華、散りゆく華」第11話(最終話) - ウルフ [12/24(Tue) 7:32]
エピローグ - ウルフ [12/24(Tue) 7:51]
後書き - ウルフ [12/24(Tue) 8:07]
毎回 - Gum [12/25(Wed) 4:32]
ふふ - Shion [1/17(Fri) 15:38]



「宇宙(そら)に咲く華、散りゆく華」第9話
ウルフ [HomePage] [Mail]
12/24(Tue) 6:18
キリークより奥に入り込んだ敵兵は無く、ウルフは無事に
ブリッジへと帰り着いた。

「ただいま〜。」
「おかえりなさい。」

ブリッジには、最早サムスとクルツしか残ってなく、今
敵が来たらウルフしか戦う者は居ない。
他のメンバーは無事だろうか。敵旗艦に切り込んだ連中は
どうなっているだろうか。

「ウルフ、ご苦労様だったわね。」
「いえ。」

サムスはブリッジのモニターで、ウルフの戦いぶりを
ずっと見てたのである。

「座ったらどう?」
「いえ、仕事ですから。」

サムスは、ウルフに椅子に座る様に勧めたが、ウルフは
いつもの定位置ーーサムスの横ーーに立った。
だが、それも束の間だった。
突如響く警告音。

「どうしたの?」
「侵入者です。1人の様ですが・・・。」

サムスの問にクルツが答える。

「まずいわね・・・。」

1人で乗り込んで来るという事は、余程腕に自信がある者
に違い無かった。

「クルツ、もういいわ。あなたも避難しなさい。」
「サムスは?」
「馬鹿ね。私はここを離れる訳にはいかないのよ。」
「・・・解りました。」

クルツはそう言うと、秘密の隠し通路を使い、ブリッジを
後にした。
戦乙女には、こうした隠し通路がいくつかあり、緊急の
場合には、タークス共通コードで使用が可能なのだ。

やがて、クルツが退避してからしばらくのち、ブリッジ
に人影が現れた。
それは褐色の肌をしたハニュエールで、名前を「スゥ」と
言う。
彼女もまた、ブラックペーパーの幹部である。

「あんたは・・・!」
「ウルフ君だっけ・・・。最悪な再会になったわね。」

ウルフは以前彼女と偶然組んで仕事をした事があり、以後
も何度か彼女に出会っていた。

「だから、ブラックペーパーについて、色々嗅ぎ回るのは
およしなさいと言ったのよ。」

彼女はウルフと会うたびに、警告をして来た。それはスゥ
本人が、ブラックペーパーの幹部だと、ウルフが知ってか
らも同じであった。(彼女が、なぜウルフに親切に警告を
繰り返すのかは不明であったが。)

「あたしはね、君がブラックペーパーの事に首を突っ込む
様になってから、いつかはこうなる気がしてたのよ。」
「でも、以外と早くにその日が来たわね。」

スゥはため息混じりにそう言うと、腰のホルダーから
ダガーの柄を外すと、スイッチを入れた。
ヴン、という音がして、フォトンが湾曲した刃を形成
する。

「出来ればこういう結末だけは避けたかったけど。あなた
もタークスな上に、ターゲットを消すのに障害になる様な
ので。これも仕事よ、悪く思わないでね・・・。」
「よもやアタイも、逃げも隠れもしないよ。こうなった事
は、結果的に残念だけどね。」

ウルフはそう言うと、サムスに向き直り、彼女の顎に手を
かけると、強引に引き寄せた。そして・・・、

「・・・!」

瞬間的に唇を合わせる。
いきなりの行為に、サムスの目が驚きに見開かれる。
だが、その間にウルフは、サムスの手の中に、赤い箱を
滑り込ませていた。

「女が女を好きになっちゃ、いけないかい?」

そう言いながら、サムスに目配せをすると、スゥの方へ
向かった。心の中で、

(さようなら・・・。)

とつぶやきながら。

キリークと戦い、なおかつスゥと戦い勝利する事は、残念
ながら今のウルフには不可能だった。
スゥとウルフの実力差というのは、そんなに違わない。
だが、キリークと戦った疲労が、ウルフに不利な状況を
作り出していた。

「おやおや、そっちの気があったのかしら?」
「さあ、どうだかね。」

ウルフはスゥの戯言に戯言で返しながら、愛用のドラゴン
スレイヤーではなく、別の武器を取り出した。

「シノワビートブレード」

シノワビートと呼ばれる、ロボット型エネミーの腕を
加工して作られた武器。
攻撃力よりも、敵を一撃で仕留める特殊能力の方が
有名な武器である。

ウルフには考えがあった。

スゥはダガー系の武器に関しては、右に出る者が居ない
程熟練した使い手だ。
自分のドラゴンスレイヤーは、間合いが広いが大振り
なので、そのスキにたやすくスゥの接近を許してしまう。
懐に入られたら負けである。
だが、同じダガー系で、スゥに勝てるとも思えない。
シノワビートブレードは、かすってでも、当たりさえ
したら、相手を即死させる事が出来る。
それを利用して、スゥにプレッシャーを与えるのだ。

白と黒、タークスの「アネゴ」とブラックペーパーの
「アネゴ」、2人のハニュエールは、お互いに、同じ
系統の武器を構え、睨み合った。

スゥとウルフ、得意テクニックも同じ「ギゾンデ」で
あり、2人は偶然であるが、似過ぎていた。
その似過ぎた部分が、スゥにウルフへの親近感を沸かせ、
必要以上に親切に警告した理由なのではないだろうか。

テクニックが使えない以上、雌雄を決するのは、そのまま
実力である。
だが、現在の状況は、明らかにウルフに不利であった。

サムスは、睨み合って動かない2人を見ながら、無意識に
唇に手をあてていた。
そして、ウルフが渡した赤い箱の中身を確認すべく、もう
片方の手で、そのスイッチを押していた。


  「宇宙に咲く華、散りゆく華」第9話 了



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