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- 知られざる抗争 - Mr.X線 [12/6(Fri) 0:26]
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知られざる抗争
Mr.X線 [HomePage] [Mail]
12/6(Fri) 0:26
どうも、X線です。
そろそろ構想が固まったので、新作に取り掛かろうと思います。
今回は私のオリジナルキャラクターが中心の話です。

相変わらずの素人小説モドキではありますが、
よろしければ、お付き合いください。


#1
 起動、R・イングラム


 「パイオニア計画」。それは、母なる惑星の老衰により、その住人達が実行を余儀なくされた彼らの歴史上、最初にして最大の全人類規模・大移民計画である。
 惑星「コーラル」に住む彼らは、ある時、宇宙の彼方から飛来した、フォトンと名付けられた謎のエネルギー物質の調査・解析に成功する。

 さらに、その飛来元を割り出し、そこに生命体の活動に適する緑の惑星を見つけた。彼らはこの新たなる大地となるべく星を「ラグオル」と名付けた。
 そして彼らは、本星の衰退によるコーラル人類絶滅を防ぐため、先に記した「パイオニア計画」を発動させる。
 この歴史的大移民に使われる宇宙船として、全世界の宇宙航行技術の粋が結集された、超巨大宇宙移民船「パイオニア1」が建造された。
 名前の末端に、数字が刻されているのは、これ一隻のみでの移民では無いからだ。まず、政府要人や軍、一部企業が、しかるべき物資を登載して先行し、惑星「ラグオル」に居住環境を構築・整備する。

 そして、これが終了した後に一般市民や、請負によりあらゆる仕事をこなす人間、組織である「ハンターズ」達を乗せた「パイオニア2」を出航させ、ラグオルで合流する。
 さらに期を見計らい、残りのすべてを「パイオニア3」で運ぶ。

 これが「パイオニア計画」の全貌である。
 しかし、この計画が順調に進んだのは、パイオニア2の出航までだった。予期せぬ事態がおきたのだ。事の詳細は、こうである。

 まず、パイオニア1がその長い旅路の末、惑星ラグオルに到着し、その後七年と言う歳月を掛け、原始の惑星であったこのラグオルに、本星コーラルと同等の居住環境を築く。
 そして環境整備が完了すると、パイオニア1からコールを受ける形で、パイオニア2が本星コーラルを出航し、ラグオルを目指した。

 だが、そのパイオニア2がラグオルの軌道上まで到達し、今まさにパイオニア1との交信回線を開こうとした時にラグオルの地表周辺で、大規模の爆発現象が起こった。
 その直後から、それまで全て正常に機能していたはずのパイオニア1は沈黙し、事実上パイオニア2は惑星を目の前にしながら、孤立した状態になってしまった。

 さらに都合の悪い事に、本来ならば、こう言った異常事態にこそ動くべき軍が、一般市民とハンターズの輸送を最重視したパイオニア2には、わずかな数しか便乗していなかったのである。
 この最悪の事態に、政府はハンターズへ本来の軍の仕事を依頼する形で、問題の解決を計った。

 だが、事は政府の思う様には進まなかった。
 ハンターズの調査によって発見されると思われていた、謎の爆発事故を逃げ延びたパイオニア1の人員が、必死の捜索を経ても、誰一人とて見つからなかったのだ。

 その後、惑星ラグオルにはかつて、いずこかの惑星の古代文明を滅ぼした、破壊神と呼ばれる存在が封印されている事が明らかになる。
 この破壊神は、想像を絶する破壊力をもってパイオニア2に襲いかかったが、この惑星から飛来したフォトンエネルギーの力を借りたハンターズ達によって、なんとか撃退された。

 だが、それを経ても謎は深まるばかりで、未だにパイオニア1の人員の消息すら、掴めていないのが現状だった。
 混沌とした状況の中で、この話は、パイオニア2のある民間研究機関から始まる。







 薄暗闇の中、一人の女が狭いとも、広いとも、つかぬ空間でなにやら作業をしている。その手つきを見る限りでは、女はコンピュータのコンソールをいじっている様だ。かなり手慣れている様子で、その動きはとても正確で素早いものだった。

 そんな中、女はふと作業の手を止める。……いや、作業が完了したらしい、コンソールによって操作されていた機械に、女は近づいてゆき、何事かをぼそぼそとつぶやいている。

「さあ、起きて……私の可愛いイングラム」

 女は人の名前を口にした。あるいは、それは目の前にある機械の名かもしれない。
 ややあって、女に話しかけられた機械が、作動をはじめた。

「システムキドウ……各項目、ちぇっく。オール・グリーン……オハヨウございマス、キャロル博士」
「ふふ、おはよう……R・イングラム」

 女に呼び起こされたのは、レイキャストと呼ばれる類の、大型アンドロイドだった。R・イングラムと言うのが、「彼」の名らしい。女はキャロルと言う名の様だ。

 ここは、パイオニア2内の工業ブロックに位置する場所の、研究所だった。研究所とは言っても、キャロルが一人で運営している小さな施設研究所であり、企業レベルの他研究所に対して、これと言った影響力も持たない。
 研究の内容は、アンドロイド及び、各種コンピュータシステムの新開発だ。恐らく、このR・イングラムも、その研究の一環で作られたアンドロイドであろう。
 だが、どうもキャロルは、それ以外の感情を抱いている様に見えた。

「ねえイングラム、喜んで。私も今日付けで、正式にハンターズ登録されたのよ」
「博士……それは危険デハ、ありませんカ?」
「何を言っているの? 私は、フォースとしての力も持っているのよ。それに……これで、いつでもあなたと行動を共にできるのよ」

 キャロルは、まるで想い人に対するかの様な態度で、このアンドロイドに接している。その思い入れは、もはや異常といっていい。
 甘い声を出して、目の前の鋼鉄の巨体にしなだれかかる。

「政府が、何かごそごそ始めたわ……また、一騒動ありそうよ。お願い、イングラム……私に力を貸して」
「博士がソコマデおっしゃるナラ……」
「ふふ、ありがと……嬉しいわ」


 時刻は午前六時。パイオニア2の人工的な夜が明け、空は淡い紫色に染まりつつある頃だった。



続く



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