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- 時を越えた宿命〜第4話〜その1〜 - Gum [12/4(Wed) 23:37]
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時を越えた宿命〜第4話〜後書き〜 - Gum [12/4(Wed) 23:53]



時を越えた宿命〜第4話〜その8〜
Gum [Mail]
12/4(Wed) 23:46
 翌日、五体満足なハンターズに対して通達があった。

 『昨日の捜索により、何人かのハンターズが負傷し、ギルドそばのメディカルセンターに収容されている。
 その範囲を今日捜索できるものに割り振る。
 基本的に、昨日の続きを探索してもらうわけだが、少し広い範囲になるだろう。
 軍も独自の割り当てで、各部署の軍人が捜索しているが軍人と接触しても余計な行動は取らない様に。
 お互い不干渉と言うことで今回のことも話はついている。
 なお、捜索時期は期限を限定していないので、諸君の力に合わせた捜索で構わない。それでは諸君の健闘を祈る。』

 フィオナは皆を集め、今日全日、シンディーとクラインに昨日あった事を報告するために、自由時間にすると言うことを決めた。
もっともレオン、フィオナは、クライン、シンディーと話をするため自由ではないが、それも午前中で終わるだろう。

 
 この突然の休日は、皆思い思いに過ごしていた。

 クレイとウィルは一緒に生活品を買いに行った。
いまどき、オンラインでありとあらゆる物を買うことが出きるのだが、商品を陳列して物を売ってる店もまだまだ健在だった。
二人はそういう店のうち何件かを見て周り、ある店に入っていった。
そして、ここ数日の食べ物や飲み物を買っていく。

 その買い物が終わり、店内を廻っている時、あるフロアーの端までやって来た。
 
 「クレイさ〜ん。ちょっとトイレ行ってきますから、待っててくださいね。」
 
 ウィルはクレイに耳打ちすると駆けて行った。

 クレイはウィルと別れたその辺をぶらぶら歩いて待っていた。するとクレイはちょっとした広さを持つバーを見つけたのだ。
バーの表に出ている看板から察すると、こんな朝の早い時間でもまだやっている様だった。

 『BAR ♪お姫たま♪』

 表の入り口のドアがガラス製で中が覗けた。ガラスから中を除いてみる。客は一人もいない様だった。

 「あら・・・・・さっきのお連れサンは彼女かしら?可愛い子ね。」

 いきなり後ろから声をかけられてクレイは戦慄した。クレイが振り向くと
そこには、一人の女性がいた。
 
 その女性は背が高く、体はすらっとしていて、長い緑の髪を頭上で束にし残りは背中に流している、細面で綺麗な顔立ちをしている。

 「ああ・・・・ありがとう。ところで・・・あんたは?」

 「私は、このバーのオーナーよ。お店はここだけじゃないけど、今日はこのお店を見に来たの。今度飲みに来て下さいな。」

 「ああ・・・・ひまがあればな・・・。」

 バーのオーナーと自称している女性と話をしているクレイだったが、緊張は隠せなかった。
目の前の女性は自分に気配を気取らせずに背後に回れたのだ。

 『何物だ?この女?』

 会話をそつ無くこなしながら、クレイは相手に気が付かれないように、相手を細かく観察した。
しかし、怪しいそぶりもその他も一切なさそうだった。そして、目の前の女性に対する警戒心が薄れた時
クレイの心にはある心配が出てきた。

 『そう言えば、ウィルは遅いな・・・・・。』

 クレイの内心の心配を察知したのか、女性はポツリと言葉を漏らす。

 「さっきの子遅いわね。」

 クレイは既に動き出していた。インフォメーションを見て女子トイレへと向かう。

 女子トイレの前まで来た時、中から何か人が争っているような音が聞こえてきた。
クレイは女子トイレであるのも構わず入っていった。

 「いや!!はなして!!」

 「いいかげんにおとなしくしなって!手荒なまねはしちゃいけない決まりなんだから!」

 トイレの中にいたのはウィルと、黒と白の塗装をされた、腕に大きな装甲を付けている
レイキャシール(女性アンドロイドのレンジャー)だった。レイキャシールは、ウィルを連れていこうとしているのか
とにかく大人しくさせるのに精一杯でクレイが入ってきたことには気が付かなかった。

 「あ、クレイさん!助けて!!」

 「ちっ!!あんた、あたしの邪魔したら、死ぬよ?」

 「お前さんこそ、俺の彼女をどうしようってんだ?」

 「あたしはね、あたしの仕事としてこの子をつれて来いって言われてるのよ。
 あんたの彼女だか知らないけど、こっちは仕事なんだから。」

 「そっちの仕事なんか知ったことか。俺の彼女は俺が守るんだよ。」

 「そっちがその気なら仕方ないわね。邪魔は片付けるのがあたしの仕事。あんたに恨みは無いが、死んでもらうよ。」

 レイキャシールはそう言うと、足に仕込まれていたハンドガンを取り出した。そして、即座にクレイを狙い打つ。

  プシュ・・・プシュプシュ!!

 サイレンサー付きのハンドガンらしく、音はしない。おそらく『サプレストガン』だろう。
トイレとしては広すぎるほどの面積を取って贅沢に作られている女子トイレが幸いし、クレイは建造物を利用しフォトン弾を避ける。
レイキャシールが放ったフォトン弾がトイレ内の建造物を壊すが、そこにはクレイはいない。

 「何?人間が避けれるはず無いじゃない!この距離よ?」

 レイキャシールはクレイの過去を知らない。その時点で彼女の敗北は決定していた。

 レイキャシールが毒づいているその時、背後に廻ったクレイが
手にした灰色の短剣でレイキャシールの背中側にある、レーダー装置を無効化させた。

 「え?え?」

 いきなりレーダーが効かなくなりシステムエラーを起こし、慌てるレイキャシール。

 クレイがレイキャシールの両方の首の外側に短剣を当ててすごむ。

 「ここでバラシテやろうか?アンドロイドの部品は裏で高く売れるんだぜ?誰に頼まれた?言え!」

 「くう・・・・。あたしの負けね。」

 クレイの質問には答えず、レイキャシールは腕の装甲をはずし、クレイに投げつける。
クレイがその装甲を避けた時に、レイキャシールは横に転がった。転がった先には外に面している小さな窓があった。

   ガシャン・・・。

 ガラスの砕ける音がしてレイキャシールは外に逃げた。クレイは本気で逃がさない様にはしてなかったので逃走は許した。

 「ウィル。大丈夫か?」

 「うん。丁度襲われた時にクレイさんが来てくれたの。ホントに怖かったよ〜。」

 クレイはウィルと一緒に女子トイレを出た。

 その先には一人の女性がいる。先ほどの緑髪の女性だ。
女性はにっこりと笑いながらクレイに向かって話し掛けてきた。

 「大変だったわね。でも、そっちの子が無事で良かったわ。あなたが置いていった荷物はうちのお店においてあるわよ?」

 「ありがとう。じゃあ、荷物を受け取りに行くとするか。」

 女性は店までクレイ達を先導するかのようにゆっくり歩いた。クレイ達も後についていく。

 その女性は店のドアをオートに切りかえると、ドアを開き中に入って行く。
クレイ達も女性の後に続いて店に入っていく。

 相変わらず、店内には客はいない様だった。ウィルはクレイの腰に手を廻し、しがみついてくる。
見た感じ普通のバーだ。店の奥にはカウンターもある。カウンターの奥にはバーテンがいた。

 「ここは普通のバーよ。あなた達に危険は無いわ。特にクレイさん。あなたにはね。」

 そう言いながら、4人掛けのゆったりした席の片方にクレイとウィルを座らせる。女性は反対側の椅子に座った。 

 「さっきのことといい、俺の名前を知ってることといい、あんた、何物だ?」

 「さっきも言ったじゃない?私はこのバーの・・・他にもお店はあるけど、オーナーよ。」
 
 バーテンがクレイとウィルに飲み物を持ってきた。飲み物を見た瞬間クレイはじっと飲み物を見た。
それを女性が気が付いたのか、クレイににっこり微笑みながら言う。

 「毒なんか入ってないわよ。もっとも、クレイさんには分かると思うけど。」

 確かにクレイの感覚によると、二人に出された飲み物には毒物は入っていなかった。クレイとウィルは女性の勧めるまま飲んだ。
コップ1杯分ではあるが、美味しかった。

 「いずれ私の正体が分かる時が来るわ。その時にまた会いましょう。」

 奥からバーテンがクレイとウィルの買い物の荷物を持ってきた。

 「それじゃあね、クレイさん。クレイさんの彼女さん。」

 オーナと言う女性に見送られながら、クレイ達は家に戻った。



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