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時を越えた宿命〜第4話〜その5〜
Gum [Mail]
12/4(Wed) 23:42

 フィオナ達は、3匹の『バーベラスウルフ』と、それに率いられた9匹の『サベージウルフ』に囲まれていた。
このウルフ達は1匹の『バーベラスウルフ』と3匹の『サベージウルフ』が1組みとなり4匹が群れとして生活しているのだ。
そして、ウルフと自分がお互いに正面を向いてる時はじりじりと後ろを取るように動くが
一旦後ろを向くと一気に飛びかかってきて、爪の斬撃や牙による噛み付きで攻撃してくる。
しかも、その攻撃を見事な連携プレイで行う為、油断はできない。

 「参ったね。あたしとしたことが油断してたよ。」

 フィオナの言う油断とは、ウィルの存在だった。
フィオナだけ、あるいはラルフ、クレイまでならともかく
全く訓練すらしたことの無い、しかも打たれ弱いフォースのウィルがいるのだ。

 もし、12匹に一斉に襲われでもすれば、ウィルはおろか、クレイやラルフですら
ムーンアトマイザーを使っての蘇生ができるか心配である。

 もっとも、フィオナが攻撃された所でたいした傷にはならないだろうが。

 「よし、ラルフ。あたしと一緒に囮になるよ。クレイ、その隙にウィルをつれて一時避難しろ。」

 言うや否や、フィオナは2組のウルフ達を引きつれ、クレイの動き出した方向と反対方向に逃げていく。
その後を8匹のウルフが追い掛け、フィオナに飛びかかる。

 残りの4匹は逃げ出したクレイとウィルに向けて襲いかかった。

 「ぐぅ・・・・!」

 ウィルに向けて飛びかかって来た2匹のウルフの攻撃を身を呈してクレイが受けた。
残りの2匹も、タイミングよく飛びかかってくる。

 『ただ避けるだけなら簡単だが・・・。体力が持つかどうか・・・・。』

 クレイは、とにかくウィルを抱え込み残りの攻撃も受けようとふんばった。

 しかし、残りの2匹は飛びかかってこなかった。

          パン・・・パンパンパン・・・!!  

 乾いた銃声が辺りに木霊する。 

 「ラルフか?」
 
 クレイが後ろを見ると、ソードでは無く、ハンドガンを持ったラルフがいた。

 「参ったね。このハンドガン、性能良過ぎだ。」

 「何だその銃?見掛けは普通の『ハンドガン』だが?特別な性能があるのか?」

 「ああ、親父が俺にハンターズに入った記念にくれたんだ。ここに降りてくる前に、シティの店の親父に鑑定させたら
 森周辺の敵なら、つまりレーダ反応で「Native」の敵なら、従来の攻撃力の50%増しで攻撃できると言ってたな。」

 そう言いながら、3人はフィオナの方を見た。クレイの傷は既にウィルがレスタで治している。

 フィオナの槍さばきは見事だった。

 普通は攻撃を避ける時は、盾を使うか体ごと避けるしかないのだが
フィオナは槍の穂先のフォトン部分を翳し、ウルフに警戒心を呼び起こさせ攻撃をさせなくしたりしていた。
また、ウルフの攻撃も槍の穂先でいなしたりと、つい見入ってしまうほどのものだった。

 「こら!そっちの3人!!危険が無いなら、こいつ等倒せ!!あたしが倒しても意味無いだろう?
 特にウィル!!あんたが止めを指せば、効率良く鍛えられるぞ!」

 そう言われてすばやく動いたのはクレイだった。ラルフとクレイでウルフ8匹を引き付け、避け、翻弄する。
そして、死なない程度に傷をつけ、ウィルのテクニックで止めをさせるようにした。

 「よし、次のポイントで今日の予定範囲は終わりだ。クレイ、ラルフ、ウィル!頑張ろう!!」



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