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- PIONEER1 HUNTERS - IXY [12/4(Wed) 16:54]
story1 闇の胎動1 - IXY [12/4(Wed) 16:55]
投稿者削除 - ---- [12/31(Tue) 21:29]
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story1 闇の胎動1
IXY [Mail]
12/4(Wed) 16:55
 セントラルドームの地下深く。
 生物とも無機物ともとれない異様な雰囲気と薄暗く、重苦しい空気に満ちた部屋の中で、一人の男が異形の怪物と対峙していた。
 男は全身に傷を負っており、周囲には異形の骸が無数に転がっている。
 そして、男の目の前の異形もまた、彼の銃から放たれたフォトンの銃弾を浴び、骸へと変わった。
 「ハア…ハア……」
 荒い息を整えながら周囲を警戒し、他に敵がいないことを確認すると、男は部屋の中央にある巨大な柱に背を預け、その場に座りこんだ。
 男は名をレイカーという。
 パイオニア1のハンターズギルドに所属するレンジャーであり、その中でも、Sランクと呼ばれるトップハンターの一人である。
 だが、今の彼は激しい戦闘により傷つき、立ち上がる気力すら失ていた。
 レスタを唱えるための精神力も尽き、傷を癒す薬も全て使ってしまっている。
 「このまま死んじまった方が楽かもな……。Sランクが聞いて呆れるぜ。」
 自嘲気味に呟き、懐からタバコを取り出す。
 ラグオルでは、移住開始から7年が経過した現在でも、未だ物資は十分では無く、嗜好品−特に依存性の高いタバコやアルコールの類−は規制され、入手困難な物となっていた。
 これは彼が“最期”の時のために「とっておきの一本」として残しておいたものである。
 肺にたまった煙を吐き出し、左腕に取り付けている多用途端末を見る。
 表示される時刻は、自分がこの場所に足を踏み入れてから、まだ半日も経過していないことを示していた。
 だが、彼にとってこの半日は、実際の倍以上に長く感じるものであった。
 「さて…と。」
 吸い終わったタバコを投げ捨てると、レイカーは立ち上がり、足を引きずりながら部屋の奥へと足を進める。
 扉をくぐり、短い通路を過ぎるとその先は小部屋になっており、転送装置が設置されていた。
 「どうやら、ここが終点らしいな。」
 レイカーはセントラルドームやこれまで通過してきた部屋などから、自分の現在位置を推測し、この転送装置の先に「あるもの」があると判断した。
 「鬼が出るか、蛇が出るか…。」
 そう言って、レイカーは転送装置に足を踏み入れた。
 自身の体が粒子となり、対となる転送装置に転送される間に、レイカーはこの半日の出来事を反芻するように思い出していた。



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