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Silent of Pioneer2 V
キット
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11/25(Mon) 16:06
こんにちは。五番手は私、キットがお送りします。
これもお仕事なんです。ええ、ハイ。給料弾んで欲しいですよ。
Silent of Pioneer2
#5 そして夜明け
その日、サムスはパイオニア2内の、共同墓地区画に訪れていた。
技術が発達し、宇宙船の惑星間航行が可能になったとは言え、それでもやはり惑星コーラル――彼らの本星――から、ラグオルまでの旅路は長いものであった。
そのため、中にはついに土の大地を踏むことなく、そしてパイオニア1先遣隊の失踪、ラグオルの異状を知る事なく死んでいった者たちがいた。それは天命を全うした者、無慈悲な人間によりその命を奪われた者、自ら命を絶ってしまった者……様々である。
そして、亡くなった人間を供養するための儀式や施設――つまりは、葬式や墓地の存在は、今この時代にあっても存続していた。
巨大とはいえ、宇宙船と言う環境を考えるならば、「科学的」に人間が生きていくためには必要の無い、こういう習慣を続けるのは、良い事とは言えない。なぜなら、宇宙船と言うものはいくらその環境を母星に似せた所で、所詮は人工物である。消費できる物資、生産できる物資、そして消費によって廃棄されたものを処理するのには限界があるからだ。
しかしそれでも、政府はコーラルでの習慣を続ける事を認めていた。科学的には、確かにこう言った類のものは必要ない。が、人間は機械ではなく、生の動物である。多分に精神的な物に体を左右される存在であって、やはり、古来より続けてきた習慣と言うのは、生きていく上で必要不可欠な物なのであった。
ただ、それでもコーラルそのままと言う訳にはいかなく、一部、本星の首都圏でも採用されていた、一つのビルディング内に立体駐車場のごとく、納骨する場所を各家系ごとに設けた、共同墓地があるのみではあったが。
そして、サムスも裏社会のトップと言う地位にあっても、やはり人の子である。彼女にとって、それが本当に親としての役割を、果たし続けていたかどうかは解らないが、ともかく彼女にも親はいた。
「急にこんな事をしたくなるなんて、私らしくもないけど――」
サムスは、供えた線香に火をつける。この時代、宗教の多様さも認められていたため、区画の中には多種多様な宗教的供養が見られた。彼女は、地球で言う仏教に近い宗派に属しているらしい。両手を合わせた。
「雨ねーー……」
サムスが墓地を後にした時、既に空は灰色になっており、雨が降っていた。
これもまた、居住環境を最重視されて作られた、パイオニアならではである。さすがに台風や洪水、竜巻や地震は再現されていないが、この船の自然環境は非常に良くできていた。
しとしとと降りしきる雨の中、彼女は家路につく。
雨の日は、あらゆるものが違って見える。空の模様はもちろん、その空気、風景、行き交う人々……すべてが晴れの日とは違う。
サムスは雨が好きだった。太陽――正しくは、太陽灯が照射されているだけであるが――に照らされ、ぎらぎらとした活気に包まれている町は、彼女の好むところではなかった。雨が降ることにより、空気がやわらぎ、湿った地面を踏みしめる。そんなやさしい感覚が、サムスは好きだったのだ。
ややあって、サムスは自分の店にたどりついた。
(……なにか、おかしいわ)
だが、彼女の五感が警告を発している。いつもなら安堵できる場所であるはずなのに、今日に限ってそれが感じられない。
サムスは最大限に用心しながら、店に近づいた。すると
「あっサムスーー。うにゃんっ、待ってたんだぜーー」
「あらっ? さがらちゃん。どうしたのかしらー……」
「ジュース飲みにきたけど、閉まってたから、サムスが帰ってくるまで待ってたんだぜー」
「あらら、それは悪かったわねん。すぐに用意するから待っててー」
意外な事に、さがらが待っていた。彼女から悪意は感じられないし、別に嫌な事でもないのだが、サムスの五感は未だに警告を発している。
サムスはやさしい口調ながら、幾分緊張した面持ちでドアを開けた。
「……!?」
「うにゃっ……」
サムスがゆっくりと開いたドアの先には、信じられない事に人の死体が転がっていた。しかも、その顔はみるも無惨に破壊されてはいたものの、見覚えがあった。
(そうだ――あの時店に来た、連絡員!)
「来たな……サムス・アラン」
「!」
店の奥から、地獄の底から響くような声が聞こえてくる。
「あなたは……」
「俺の名はキリーク……お前を喰らう者だ!」
声と同時に、店の奥から影が飛びかかってきた。サムスはとっさにそれを避け、すかさず隠し持っていたヴァリスタを撃つ。
「さがらちゃん、お逃げなさい!」
「……」
サムスは早く、と叫んだが、恐怖にとらわれているのか、さがらは動かない。
「安心しろ……お前を喰らうまで、その娘には手出しせん」
「く……随分な自信ねえ!」
「そうだ! 心行くまで俺を愉しませろ……サムス・アラン!」
キリークの持つ鎌状の武器、ソウルイーターが彼女に迫った。
あらから、どれぐらい経っただろうか。サムスは、息も絶え絶えながら立っていた。その視線の先には、先ほどまでキリークだったものが転がっていた。
キリークの傷もさることながら、サムスがその美しい肢体に負った傷から、戦いが凄まじいものであった事が伺える。
敵を倒せた安堵からか、サムスはその場に腰を降ろしてしまう。
そんなサムスに、キリークの約束通り、手出しされなかったさがらが近づいてくる。
「さがらちゃん……もう、大丈夫よ」
「ああ……」
だが、そんなサムスの目には信じられない光景が写っていた。
「さがら……ちゃん?」
「この時を待ってたんだ」
さがらの手には、赤いハンドガンが握られていた。
「何故……私は、貴方からそんな悪意は感じとれなかった」
「そりゃあ、そうさ」
「え……?」
「私は始めから、お前を消すために作られた存在。この私の脳は、送られてきた信号で、二つの性格に切り替わる。
今までお前に接していたのは、もう一つの無邪気な私の方だ」
さがらは、先ほどまでとは全く違う様子で続ける。
「だが、お前は強いし、その周りのガードも固い。そのため、キリークを厄介払いに使わせてもらったよ」
「あなた、まさか……」
「そう。私も「ブラック・ハウンド」の一員だ。我々にとって、「タークス」は邪魔なんだ」
「私を消した所で、「タークス」が崩壊するとでも思ってるのかしら?」
「さあな。それは上が判断する事だ。……さて、おしゃべりはここまでだ」
さがらはハンドガンの安全弁を外す。だが、サムスは何を想ったのか、微笑を浮かべたまま目を閉じる。あるいは、それはこの世のしがらみから解き放たれる事の、喜びだったのかもしれない。
銃声が轟いた。
Epilogue
その後、ボスを失った「タークス」は、「ブラック・ハウンド」の予想に反し、以前よりも結束力を高めた。新しいボスには、かつてのボスの盟友だった――狼――の通り名を持つ、純白の衣装に身を包んだニューマンの女性が就いた。
「ブラック・ハウンド」は、「タークス」の怨念を受けるかのごとくして、急速にその勢力を弱めていった。もはや、この組織に力はないであろう。
しかし、この様な出来事も、人々に知られる事はなかった。
世間の目は、常にラグオルにあり、パイオニア2内の出来事などにはほとんど関心を示さない。マスメディアの規制も厳しい世の中では、裏組織の事など知られる由も無かったのだ。
そしてこの事件があった翌日、ハンターズギルドはラグオルの古代遺跡を発見する事になる。
END
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