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時を越えた宿命〜第1話〜その5〜
GUM [Mail]
11/21(Thr) 18:27

 「おっそいな−シンディ−の奴、いつまで待たせるんだよ。」

ラルフ達にとっては、テレビで観ることしか無いような幹部クラスの評議員をフィオナは平然と呼び捨てにしている。
二人は、フィオナの凄さを改めて思い知らされた感じがした。ラルフはついフィオナのことをまじまじと見つめてしまう。
視線を感じ、フィオナはつい声を荒げてしまった。

「何、人の事じろじろ見てるんだよ。あたしの顔に何か変なものでもついてるか?」

「あ、いえ・・・・。別に変とかそういうのじゃなくて、何か凄い人だな−って思って。」

「シンディ−のことかい?ああ、昔、よく一緒にクエストとかをしてたことがあってね。
 いつの間にか、評議員なんてものになっちゃったな。今でも時々、こうやって会いに来てるのさ。」

「あら、でも、私達が出会ったのは、あなたが、私のピンチを救ってくれた時よね?」

奥の扉が開き、いきなり会話に参加してきたのは紛れもないシンディ−その人だった。
昔はハンタ−ズに所属していて、フォーマール(女性ヒュ−マンのフォ−ス)であったという。

「遅いじゃん、シンディ−。いつもなら別に構わないけど、今日は特別なんだからさ。」

「特別って・・・・?あら・・その子。・・・・もしかして、また?」

「はあ?またって?」

「空中から、光る球体が突然現れて、その球体の中から人が現れたって言う報告。これまでに1件、私のところに来ているの。」

「全く同じですね。」

「その人、今は、第5特別医務室で寝てるわよ。」

「へ−。他にもあんな状況で突然現れたのがいたんですか。」

「とにかく、そこのソファ−じゃ何だから、医務室に運びましょう。」

「任せとけって。」

フィオナは、いまだ眠り続ける少女を第5特別医務室と書かれた部屋に運び込むと、ベットに寝かせた。

 この部屋には、VIPが突然倒れた時とか、他の星で発見した未知の物質の解析などに使う
高度な医療設備や高価な研究資材が整っており、こういう場合には、最適な医務室であった。


室内には大勢の研究スタッフが居り、監督者として皆を指揮する人がいたが
これまたラルフ達にとってはテレビの中だけの存在としか言い様の無い人であった。
生態研究者の権威のクライン博士である。
クラインもまた、昔は、ハンタ−ズギルドのレイマー(男性ヒュ−マンのレンジャ−)であったという。

「おや、誰かと思ったらフィオナじゃないか。ひさしぶりだな。元気か?」

「クラインさんも元気そうじゃないですか。もしかして、シンディ−と組んで今回のことにあたってるんですか?」

「さすがに、察しが良いね。そのとうり。今回のことは、僕と、シンデイ−だけで全てを任されてるんだ。
 他のやつらは、もうすぐこのパイオニア2がラグオルに到着するから、いろいろと忙しいしね。
 ・・・あっと、すまんな。部下に呼ばれてる。・・・今行く−!!・・・じゃあまたな。フィオナ、何かわかったら連絡するから。」

 クラインが行ってしまうと、フィオナは、広い室内を見回した。
室内には、確かにシンディ−の言う通り、フィオナと同じくらいの背丈の女性が寝ている。
既に、彼女については、一通りの検査は終わっており、これから運び込まれた少女の検査をするという。

3人は、少女を任せると部屋を後にし、休憩室も兼ねているティ−ラウンジにやってきた。

 「何なんですかねえ、あの2人。」

「まあ、あたしらが気にしたってしょうがないさ。後は、偉いさんが決めるこった。ちょっと したことなら、教えてくれるだろうしね。」

「でも、姉御があんな凄い人達と知り合いとは、思いませんでしたよ。」

「まあね、みんな好きで偉くなったんじゃないって、言ってるよ。昔はみんなで一緒に、あっちこっち冒険してたものさ。
 今となってはいい思い出だな。」



 フィオナの思いは、10年前の本星へと飛ぶ。



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