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- 時を越えた宿命〜第1話〜その1〜 - GUM [11/21(Thr) 18:18]
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時を越えた宿命〜第1話〜その4〜
GUM [Mail]
11/21(Thr) 18:25
 「今回の訓練は、『モスマント』という、言わば蚊をでっかくしたような奴と戦ってもらう。
  こいつは、『モネスト』と言って、『モスマント』を次々に湧き出させる巣だ。
 巣を先にやっつけるか、蚊の方を先にやっつけるか、それはあんた達の自由だ。
 攻撃力も押さえぎみにしとくから、派手にやってやんな。」

 「はい。お任せ下さい。」

「全力で頑張ります。」

いやに張り切る二人に、フィオナは苦笑せざるを得なかった。

「ふう。まったく。あの二人は、ほんとに、よく似てるな。昔の私たちに。
 ま、それにしても、張り切るのもいいけど、張り切りすぎると、かえって、戦いずらいのに。
 ま、お手並み拝見と行きますか。」


二人は、これまでにないくらい真面目に戦っていた。何せ、ほとんど攻撃力はないとはいえ、いかんせん数が多すぎる。
目の前の二匹をやっつけたと思ったら、後ろから3、4匹に攻撃される。巣を先にやった方がいい。
二人がこれに気がついたのは、戦いが始まってしばらくしてであった。

「ラルフ、後ろに4匹ほど回ったぞ!」

「おう!お前の後ろにも2匹行ったぞ!」

「よっしゃ−!!」

二人の息も合ってきた。フィオナは、つい、二人の連携攻撃に見入った。
それほど、二人の攻撃は上達していたのだろうか。そして、訓練終了の合図が鳴る。
セットしていたモネスト5匹分の敵が倒されたのだ。モスマントで言えば、およそ70匹が倒されたことになる。

「やるじゃないか。あんた達。まったく、昨日までとは大違いだよ。始めっからそうしてくれりゃあね・・・・。」

「初めて褒められちゃった。やった−!!」

子供っぽいとこのある、ラルフがはしゃぐ。

「ふう・・・・。少し褒めるとすぐこれだ。いいかい、今回あんた達が倒したのは・・・・・・・・・ん?」

「はい?」


何かの気配を上に感じ、フィオナは見上げた。二人も釣られて、上を見上げる。


かなり高めに取ってある中広間の天井付近から、輝く白い霧のようなものが発生していた。
それはゆっくりと広がり、今や天井から部屋の半分くらいの高さににまで充満してきたのである。

 「なんすか?あれ? 」

「さあ。何だろう。姉御、何かセットしてあるんすか?」

「ないよ。さっき、合図が鳴ったろう?あれでお仕舞いだよ。」

天井付近に溜まった霧が輝き出す。眩しくて目を開けていられないほどだ。そして、その輝きの中から銀色の球体が現れた。
まだ光が眩しく、フィオナ達にはよく見えなかった。

そして突然部屋の光は収まり、球体がゆっくりと降下してくる。さらに球体はその透明度を増していった。
それにより、球体の内部には横たわる人影があるのが見て取れた。

フィオナが人影を認めたのと、球体から現れた人影が落下し始めるのがちょうど同時となった。
フィオナは、その人影を受け止めるべく走った。間一髪で、その人影は床への直撃を受けずに済んだ。
突然の乱入者を床の上に横たえ、3人は屈んでその人物を観察とはいわないまでも見た。

3人がよく見ると、小柄な少女であることがわかった。まだ息をしている。生きているのだ。
外見の印象として、長い耳の先が尖っているのがよく見て取れる。肌の色は白。
髪の色は輝くほどの金髪で、その量は豊かだ。長い髪を背中までストレ−トに伸ばしていた。
白い外套は、3人には全く見覚えの無いデザインをしていた。
3人は、それ以上見るのをやめ、お互いの意見を出し合った。

「フィオナ教官。この子耳が尖ってて、服装はともかく、見た感じフォニュエール(女性ニュ−マンのフォ−ス)みたいなんだけど。
 でも、着てるものは見たこと無いようなデザインだな。」

「うん。そうだな。姉御、それにしても何だったんですか?さっきの発光体は。それに、何であんな高いとこに現れたのかな。
 トランスポ−タ−の出現座標のミスでかな。」

「まあ、なんにせよこの子は無事だったんだ。とにかくお偉いさんに話しに行こう。私たちじゃあわかんない事だらけだ。」

「はい。」

「じゃあ。その子は私が運ぶから。後、ついてきな。」

「姉御じゃ、運ぶの大変じゃないですか?オレが運びますよ。」

「馬鹿、相手は女の子だろう?もし運んでる途中で目を覚ましたら、一騒動起きるだろうが。それ位、考えろ。
 人目につかないように、特殊な通路を使う。はぐれたら命はないぞ。」

フィオナは普通のハンタ−ズでは入れないような通路に入っていった。
入っていくときに入口を守る兵士がいたが、フィオナがいるためか、何も言われずに入っていけた。
ラルフとクレイは、物珍しそうについていった。二人にとって、この通路は、入ってはいけない禁断の場所なのだ。
通路の奥のテレベーターに乗る。テレベーターは違うフロアーに行く時に乗る昇降機だ。
そして、フィオナはそういう通路をいくつも通り抜け、評議員居住区の入口の受付に行った。
後ろの二人は黙ったままだ。フィオナの言ったとうり誰とも出会うことはなかった。

「シンディ−評議員に取り次いでもらいたい。ハンタ−のフィオナが来たと言えばわかるはずだ。」

「かしこまりました。あちらのウェイティングル−ムでお待ち下さい。」

 受付のヴィジフォンに映るアンドロイドはニコリともせずにそう言って部屋の扉を開ける。
フィオナは少女を抱いたまま、その部屋に入っていった。後に、ラルフ、クレイと続く。



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