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アルシャード小説「力の違い」 第七話 「疾走の始まり」
アルフリート [Mail]
8/5(Fri) 0:33
パンツァーI

真帝国陸軍が制式採用しているカバラ式自動二輪車の事。
高速機動型であるIは真帝国陸軍の最強兵器の一つである。そのパンツァーIに跨がり、高速機動から騎乗槍での突撃を行う機甲槍兵――パンツァーリッターは地上戦での花形であり、才能と人格と実力を兼備えたエリートの証でもある。


 バーツ・ギアーズは真帝国軍から脱走した精悍なパンツァーリッターである。
バーツにとって、真帝国軍を脱走したのはそれなりに昔の事であった。金の髪の間から時々見える十字の傷の古さが、彼の戦歴を物語る。
その栄光は時間と言う名の埃の中に埋もれ、取り出すのが少々難しい。
だが、真帝国の前線から脱走して彼が行き着いたのは、パンツァー傭兵部隊『雪豹隊』である。彼はそこで武勲を立て、今は隊長を務めている。仲間には彼と同じ真帝国軍のやり方に疑問を持った脱走兵がいる。彼らは部外者であった自分を差別せず、その実力を正当に評価して頼りにしてくれる。また、戦友が出来たのを彼は嬉しく思い、バーツはその期待に応えたいと思っている。
そして、応えるために、薄紫色の瞳に力を込め、命を賭けて突撃しようと思う時もある。

そう、例えば……。

バーツの実力を持ってしても抗えぬモンスター―最悪な事に雪豹隊の宿泊地を縄張りにしていた――ロック鳥が奇襲してきた時は――――。




「総員退避!」
バーツが声を張り上げた。だが、周囲はすでに戦場のそれとなっている。声は別の怒鳴り声に紛れ、悲鳴と叫び声に汚辱されて消失する。
ロック鳥とは体長20を超える鳥だ。その威容は生物というより、もはや巨大な質量を持った山のそれだ。隊員達は休息時に不意を突かれた事もあって、その大きさに畏怖して足をすくめ、次々にロック鳥の大岩ほどもある嘴に摘まれていく。
マズい……。
バーツは即座に腹を決める。
ロック鳥の畏怖に勝る物。
それは突撃と言う名の希望の追及。
「コォ――――リングッッッッ!」
バーツの叫びは戦場を確かに駆け抜けた。音声認識機構がその叫びを自分の主人と断定。

その叫びが確かであるならば、鋼鉄の黒馬は如何なる場所でも現れる!

宿泊地のテントがロック鳥の羽ばたきに乱れ飛ぶのをかいくぐり、バーツだけのチューンがなされた愛機が、主人の元へと疾走する!
バーツは己の元へ来たパンツァーIに騎乗するとポップアップ機構を展開。エンジンとフレームを損傷から守る前輪のすぐ後ろ、前面装甲部がサイドにスライド。四本の伸縮式ランスがそこに収納されており、バーツはその一つを左手で取り出すとトリガーを引いた。
すぐに伸縮式ランスが金属が高鳴る音と共に、長さ2mの本来の長さを取り戻し、突撃の準備は完了。
だから、バーツは全力でアクセルを捻る。
カバラ式エンジンのマナがシリンダーの中で炸裂し、無軌道な力がギアに巻き上げられ、全ての力の行き先は後輪へと伝わり、暴走という名の抗議が前輪を浮かし主を己から引き剥がす事で始まろうとしていた。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
だが、バーツは前輪に体重をかけ、己の膂力で暴れ回ろうとするパンツァーを抑え込み、暴走は全て疾走のための力となる。
瞬間移動のようなロケットダッシュでパンツァーは前に征く。
「おお、バーツ隊長――!」
 バーツが単独で突撃するのを見た隊員が喜びと期待の喜声をあげた。

 ――その声に応えるぞ、パンツァー!

狙いはロック鳥の頭部。屋根の舞い上がったテントの支柱を足場に、バーツは宙を飛ぶ。
左手に構えたランスの切っ先をロック鳥の右頭部に引っ掛けるように突撃!
「当たれッッ!」
だが、バーツは忘れている。
ロック鳥は巨大な『鳥類』なのだ。
つまり、奴は巨体であると同時に、
――鳥類と同等の敏捷性を持っている!

羽ばたきの一つでロック鳥の巨体が空に浮いた。
「!!」
バーツは予想外の巨体の動きに虚を突かれ、ランスはただ空気を突き刺すだけ。
自分の前をただ泳ぎ飛ぶ矮小な生物に気を惹かれたロック鳥は上に向かって羽ばたきを一つ。
慣性でまだ空にいるバーツに向かって容赦の無い足の一撃を入れようとした。

だが、それを光が押し止めた。
天上遥か彼方より撃ちこまれた光の柱と言うべきレーザーがロック鳥の羽根を撃ち抜いたのだ!
バーツまであと1mと離れていない位置で足の一撃は通り過ぎ、撃たれて体勢を崩したロック鳥は耳を掻きむしるかのような轟音と共に転倒。
そして、倒れたロック鳥に追撃が走る。刃渡り3mは超えそうな巨大な鉄塊を振り上げた男が、黒鉄の爆布とも言える無慈悲の斬撃でロック鳥の首を叩き斬った――――!
 男の背後にロック鳥の巨大な頭部が落ちる。斬撃を放った男は得物の重さを感じさせない軽やかな着地。
男はあれほどの剛技を放ったにもかかわらず、息一つ切らしていない静かな声でバーツに問うた。
「知っているか、バーツ」
バーツはその声の主を知っていた。
「お前は――――」
「ニワトリをシメる時は躊躇無く一発で首を切る。中途半端に生きているとマズくなる成分が出るらしい。ま、あれは大味過ぎて不味そうだが」
大剣の男、ラウドはバーツの驚きを楽しむかのように、シニカルに笑いながら好き勝手に話していた。
すると、だ。バーツの後ろからまた見知った声がかけられた。
「災難だったな。だが、私には僥倖だ。何しろ、責任ある身のお前を猫のように借りていくわけにはいかんからな。それ相応の代価が必要になる」
 金髪の古代種族アルフの男、アルフリートだ。さっきのレーザーから察するに、彼自慢の攻撃衛星『魔弾の射手(フライシュッヘ)』の衛星軌道からのピンポイントレーザー射撃なのだろう。
相変わらずマイペースに自分にトラブルを運びこむ二人組に、バーツは呆れ顔でこう言った。
「で、また世界の危機とやらか?」

二人は口を揃えてこう言った。

『そうとも!』



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