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- 暴発天使ソウルブレイカーズGC - シリカ [11/22(Mon) 22:30]
暴発天使ソウルブレイカーズGC 第1話 - シリカ [11/22(Mon) 22:34]
暴発天使ソウルブレイカーズGC 第2話 - シリカ [11/26(Fri) 21:55]
あとがき - シリカ [11/26(Fri) 21:45]
ソウルブレイカーズ プロトタイプ - シリカ [12/13(Mon) 21:49]
ソウル・ブレイカーズ 第1024話「灼熱のファイヤーダンス」 - シリカ [12/13(Mon) 21:50]
ソウル・ブレイカーズ 第1025話「せめて人間らしく」 - シリカ [12/13(Mon) 21:50]
ソウル・ブレイカーズ 第1026話「最強の男」 - シリカ [12/13(Mon) 21:51]
ソウル・ブレイカーズ 第1027話「総督、大地に立つ」 - シリカ [12/13(Mon) 21:52]
ソウル・ブレイカーズ 第1028話「総督ファイト レディーゴー」 - シリカ [12/13(Mon) 21:53]
ソウル・ブレイカーズ 第1029話「世界の中心でアイを叫んだかもしれないケモノ」 - シリカ [12/13(Mon) 21:55]



暴発天使ソウルブレイカーズGC 第1話
シリカ [Mail]
11/22(Mon) 22:34
第1話「紅の二重奏」

「うん、イケるイケる♪」
 ここは、ハンターギルド本部にある大食堂。
 ハンターズに仕事を依頼するためにやってきた人々や、必要な物資を納入するために来た業者も利用できるため、その規模はかなり大きい。大抵のハンターや依頼人、外部からの来訪者は、この食堂を利用する。見た目は巨大なファミリーレストランの印象を受けるこの食堂は、人間、ニューマンはもとより、アンドロイドも息抜きのため、顔を出すのも珍しくはない。
 日当たりのいい…とは言ってもミラーで太陽光を反射させているので厳密には日当たりとはいえないが、とにかく、その窓際のお気に入りのボックス席で一人の少女が料理に舌鼓をうっている。
 赤い色髪を後ろに束ねて、いわゆるポニーテールと呼ばれる髪型、服も合わせるかのように赤い色の服を身に付けた、年の頃は16歳位にしか見えない。あ、胸の大きさは12歳くらいだが…おっと、それは禁句だ。この少女がハンターギルドのA級ハンターだと言うことは、初めてみた人には信じられないであろう。
 人間、食べている時が一番幸せ…後の人生はオマケみたいなものだ。だれの台詞かは覚えていないが、この少女を見ていると、そう思えてくる。
「相変わらずだな、オマエは」
 その、至福の時をすごしていた少女の前の席に、全身が赤く、まるで、ジョ○ーライ○ン少佐専用のモビ○スーツのような色彩のボディをしたヒューキャストが腰掛ける。
 ギルド本部では交代制を採っており、昼夜の別なく活動しているのだが、今の時間は比較的空いているほうだ。にもかかわらず、このヒューキャストは、少女の相席に座る。
「ナンパならお断り」
 少女は、照り焼きにした牛肉ハンバーグと目玉焼きをパンズに挟んだ期間限定メニュー”てりたまバーガー”をガブリつきながら相手をロクに見ないで即答する。一方のヒューキャストは少女の言葉を聞いていない、というか無視して、モノメイトを大量に積んだトレイをテーブルの上に置く。
 過度に食料規制をされていた頃のパイオニア2では、食料といえばモノメイト、ディメイトなどの、メイト系が主であり、ハロウィンなどで配られていたお菓子すらモノメイトだったらしい。
 メイト系はカロリーの摂取を重視しているため、食べ過ぎると鼻血が出たり、短期間で体重が増加したりと、かなりの高カロリーなのである。この当時のパイオニア2の食生活は、朝食に軽くモノメイト、昼食にモノメイト、おやつにペロリーメイト、晩御飯はちょっと贅沢にディメイト、月に1度の贅沢はトリメイト…と、考えただけで嫌過ぎる食生活をしていたらしい。
 メイト系でもHPの回復はする、テクニックの「レスタ」でもHPの回復はする、ならば、レスタでもお腹は膨れる?…と考えたとあるフォースの食生活は、朝食にレスタ、昼食にレスタ、おやつにディフルイド、晩御飯にレスタ、疲れたときはリバーサ、正に”生き返る”ような感じがしたとか、そして、気分がいいときは「よーし、今日はこのフロアにいる全員におごっちゃうぞ」と言いながらレスタアンプを装備して、レストランの中心でレスタを叫ぶ、などしていたとか…ちなみに、レスタでは、お腹は膨れなかったそうだ。
 ちなみに、現在では食料規制は解除されており、ここに居る少女のように、ハンバーガーをバカ食いしたり、ラグオルの洞窟まで買いに行かなければ手に入らなかった、ミッシングオブジェとされていた伝説のお菓子”ケーキ”も普通に手に入るようになっている。
 話しを戻そう、少女は、目の前に積み上げられたモノメイトの尋常じゃない量に少し吃驚したが、何事も無かったように食べているバーガーを3口で平らげ、顔を上げた。
「で、何か用?魔王」
「オレをその名前で呼ぶな、今のオレはカズサだ」
 カズサと呼ばれた赤いボディのヒューキャストは、モノメイトの袋を開けて、一口食べだした。
 正確にはアンドロイドが「食べる」と言う表現は正しくない。アンドロイドの主なエネルギー源は、背中に装着されているバッテリーパックだが、最新型のアンドロイは生体部品もふんだんに使用されており、生体部品は主に伝達系や人工筋肉の補助として使われる事が多い。それゆえに、生身の者が使用している同じ生体賦活剤、いわゆるメイト類やアトマイザー系も効果があるのだ。
 生体部品はメカ的なそれとは異なり、一定の条件さえ整えておけば自己修復機能を簡単に持たせられる事も出来るので大きなメリットとして採用されている。そのため、アンドロイドでも、モノメイトなどをHP回復アイテムとして利用できるのである。ちなみに、現在のモノメイトはカロリーを抑えた健康バランス栄養食品となっている。商品の正式名称は「モノメイトC16」カロリー16分の1と言う意味らしい。
「だったら、あたしの名前はオマエじゃなくシリカよ…、まあいいわ、で、何の用?」
 シリカと名乗った少女は3個目のてりたまバーガーを手にする。ちなみに、シリカのトレイの上には、あと10個のてりたまバーガーと13個のダブルチーズバーガーが山積みになっている。
「ちょっと、頼まれた仕事があるのだが、用件の前に、新しい装備を作ってみたので見て欲しい」
「…また、妖しいのをつくったんだ…」
 シリカのつぶやきを無視して、カスサは何かのユニットらしきものをテーブルの上に置いた。置かれたアイテムボックスは、☆が9個以上の場合に収納される赤い色の箱である。
 ちなみに、カズサの趣味は日曜大工でオリジナルのアイテムを発明したり製作することである。
「…レアアイテム?」
 シリカは、4個目のてりたまバーガーをテーブルの上に置き、代わりにカズサが置いたアイテムを手にとり、自分の肩の上に居るマグの『シャト』に見せる。
「タマ、これの鑑定お願い」
 ハンターに支給されているマグは、とある研究機関が開発したもので、主にハンターたちのサポート用の防具とされているが、その構造はブラックボックスが多い。
 マグは、ステータスの補強したり、搭載されているサーチ機能で、エリアマップの表示やレーダー機能でエネミーを解析や表示をしたりする他、ハンターギルドから支給されているアイテムデータベースを利用することで、鑑定屋に依頼しなくとも、ある程度のアイテムは鑑定できるのである。
 マグは最初に登録した持ち主を主人と認め、例え主人が帰らぬ人になろうともその忠誠心は固く大抵のマグは主人と生涯をともにする。マグはただのサポートメカでは無く、感情があるとされている、事実、腹を空かせて主人に餌をねだったり、他のマグと会話をしたりもする。ただし音声機能は搭載されていないので、マグ同士、もしくはマグに近い存在しか会話内容はわからない。
 ちなみに、タマと言うのは、シリカが『シャト』につけた愛称である。更に余談だが、シリカの相棒もシャト型のマグを所有していて、愛称は「ミナコ」と言う。

『おまたせ、姐さん、鑑定結果が出たでぇ』
 しばらくして、シリカの肩の上にいる赤い色の『シャト』のタマが喋る。先ほどの解説で通常のマグには喋る機能は付いていないと言ったが、タマはカズサが趣味で音声機能をつけた怪しい発明の1つである。ちなみに、違法改造であることは言うまでもない。
「なになに?」
 シリカは先ほどテーブルに置いたバーガーを手に持ち、口に入れようとする。
『こいつの名前は「ゴッド/ヌーブラ」っちゅうて、女性がつけると胸が大きくなったように見えるスグレモンやで』
「そう、しかもこいつは、++効果で更に性能アップ!例えばBカップならDカップに、Eカップなら、なんとHカップになる優れものだ」
 タマの後に、カズサが付け加えるように説明をしながら、3個目のモノメイトの袋を開けて食べる。
 プチンッと張り詰めた糸が切れたような音が、シリカのほうから聞こえた…ような気がする、ちなみに、シリカの手にもっていたはずの、バーガーは無残にも握りつぶされている。
 そんな、シリカの様子に気づかず、タマは更に鑑定結果を告げる。
『うほっ、姐さん姐さん、こいつぁ驚きだぁ、材質には、従来のゴムではなく、新素材のトリポリック材を使用してあって、通気性はもちろん、防具としての強度も期待できまっせー』
「うむ、この超高性能ユニットなら、お前のその貧弱な胸も…」
 と、言いながら、カズサはチラッとシリカの胸を見る、タマもシリカの肩の上からシリカの胸を見下ろす。
『…なあ、カズサ兄さん…ワイの計算では、このユニットを使用しても姐さんの胸には…』
「…そうだな、どうやら俺の予想をはるかに下回っていたようだ…すまん、この超高性能ユニットをもってしても、お前の胸では、あまり変化は望めないかもびゅしゅ…」
 カズサの言葉は、シリカが投げつけたタマの顔面直撃に遮られる。
「大きなお世話よ、このヘタレマグにエロキャストがぁ!!」
 さらに、間いれず、右回し蹴りをカズサの顔面に炸裂させる。カズサの顔面にめり込んでいたタマはその衝撃で、遠くの方にふっ飛ばされる。
「そんなに高性能だと言い張るのなら、自分でつけてみなさいよ!」
 シリカはテーブルの上に置いてある、カズサ自慢の超高性能ユニット『ゴッド/ヌーブラ++』を、カズサ本人に取り付けようとする。
「ま、まて、このユニットは女性用だ、ほら、Xがついているだろう…あ、こら、やめろ、そんなところにつけるな…」
 この2人の騒動に、周囲の人は何事かと見るが、シリカ達の姿をみて、皆何かを悟ったような表情で所定の位置に戻る。

ゴリゴリゴリメキゴシャボコガンガンバキドカボコギシギシグシャゴキャンメキャルボキャル

 大勢いるはずの空間には、いっさいの話し声が無くなり、静かになった食堂内には、FRP製の何かに、異質な何かを無理やり取り付けようとしている妙な音がするだけだった。
 妙な音の他には、たまに、「痛たた、やめ…」「ごふぁ」「がはっ」と嫌なノイズが流れる以外、しばらく静かな時間が続いた。
 こんな嫌な時間が延々と続くのも何なので、その間、FRPの解説でもしていよう。
 FRPとは、Fiber Reinforced Plasticsの略で、Fiber=繊維、Reinforced=強化された、Plastics=プラスチックのことである。
 繊維と樹脂を用いてプラスチックを補強することによって、強度を著しく向上し、宇宙・航空産業をはじめバイク、自動車、鉄道、建設産業、医療分野等さまざまな分野で用いられているのは有名である。
 FRPの特性は、耐候性、耐熱性、耐薬品性、断熱性はもちろん、電気絶縁性もあるので電波透過性に優れており、さまざまな形状の製作に対応でき、着色が自由であり、軽量かつ強度的に大変優れているので、ハンターが使う装備の他に、キャスト系の外装しても使用されているのである。
 余談だが、武器や防具の展示用の見本やコレクターアイテム用のレプリカ、他にはコスプレ用の小道具などにもFRPは幅広く使われている。

「分かった…お詫びに、この新ユニット『ゴッド/醤油++』をお前にやろう…これは何時でもどこでも和風な味が…」
「…その恥ずかしい格好のまま、生命活動を停止させてもらいたい?」
 どうやら、超高性能ユニットの取り付け作業が終わったようである。カズサは、なにやらまた怪しいユニットを披露しようとしたらしいが、テーブルに備え付けのウェットティッシュで、手についた握りつぶしたバーガーをふき取りながら物静かに語るシリカの気迫に負けて、取り出したアイテムボックスを懐に戻す。
「…と、まあ、冗談はこれくらいにして、本題に入ろう」
 頭の上に、ネコ耳を思わせるような妙な2つの突起物つけたヒューキャストは5個目のモノメイトの袋を開けて食べる。よく見ればその突起物は、先ほどのカズサ自慢の超高性能ユニット『ゴッド/ヌーブラ++』だと分かるが、今はそんなことはどうでもいい。
 ちなみに、山積みのモノメイトの脇には、カズサとおそろいの突起物…というか、自前のネコ耳をつけた、ボロボロになったタマが転がっている。こちらは、もうすでに生命活動を停止しているらしい(つまり壊れていると言うこと)。
 カズサの頭に、マグを叩きつけて蹴り入れて、怪しいユニットを無理やり取り付けて気が済んだのか、シリカも5個目のてりたまバーガーを手にして、カズサの言葉を待つ。
 だが、カズサはその後何も言わず黙々とトレイの上のモノメイトを平らげてゆく。シリカも黙々とトレイの上のバーガーを平らげてゆく。

 フロア内は、先ほどの静けさが、無かったかのように、人の話し声や食器の音などの喧騒が戻っている。
 2人の間に、妙な沈黙がしばし流れ、お互いのトレイの上の食品が残り少なくなった時、カズサが口を開く。
「実はだな…とある、お偉い様の依頼で、新しいVRシステムを開発したので、適合試験をするために、被験者としてA級ハンターを集めているらしいのだ」
「ふーん」
「興味なさそうな返答だな」
「だって、めんどくさそうなんだもん」
「お前ならそう言うと思った、だがな、向こうは名指しで、お前らを指名してきたと言ったらどうする?」
「お前ら…って、複数形だねぇ、後は誰?」
「お前の相棒しかいないだろう」
「…うーん、A級ハンターなら他にもいるでしょ?なんで、あたしらなの?」
 シリカは、いぶかしげな表情をしながら、てりたまバーガーを取ろうとしたが、どうやら食べ尽くしてしまったらしいので、ダブルチーズバーガーの方に手をかける。
「この件に、D型寄生細胞と侵食遺伝子が関係していると言っておこう」
 カズサの言葉に、2個目のダブルチーズバーガーを取ろうとしたシリカの手が止まる。
「それは、トリプルA級の機密事項じゃない…つーか、その件はもう終わったんじゃなかった?」
 『D型寄生細胞』『侵食遺伝子』とは、数年前に起きた事件”Dの悲劇”と関係あるのだが、その存在は、総督府と一部のハンター以外にしか知られていない。
 そんな機密事項を、ハンターギルド本部にある大食堂みたいな、雑多な場所で話すのは不自然と思われがちだが、逆にこう言う雑多な場所ほど、他人の会話など気にしないし、盗聴されにくいのである。
「うむ、実はだな、あの事件は、あれで終わりではなかったらしいのだ」
「どーゆーこと?」
 シリカは、3個目のダブルチーズバーガーを手にとる。
「詳細は、この用紙を見てくれ」
 と、カズサは1枚のレポート用紙を差し出す。今の時代、手紙など従来、紙を媒体としていたものは、ほぼすべて電子ファイル化されて、パイオニア2内に設置されているネット環境内でやり取りされている。電子ファイルは手軽に扱えるし、紙の媒体と違いゴミが発生しないため、ほとんどの人が利用している。しかし、ネット環境であるために、どんなにセキュリティを固くしても、情報が外に漏れてしまうこともある欠点もある。
 よって、最重要機密などは、現在も紙が使用されている。紙は完全オフラインであり、ネットからの情報漏れや盗聴などの心配が少なく、いざと言うときは焼却処分することで、機密を守ることができる利点があるからである。
 シリカは、先ほど手にとったダブルチーズバーガーをパクつきながら、渡されたレポート用紙に目を通す。
「んー、この内容だけだと不鮮明な部分が多いけど、ようするに、あの事件の関係者である、あたしたちに来て欲しい…と言うか来い!と言うことね」
「そう言うことだ、俺たちの他にも、やつらも呼ばれているはずだ」
 カズサはシリカから渡された、レポート用紙を受け取ると、丸めた後灰皿の上において火をつける書類を隠滅する。
「…やつら…ねぇ…会ったら同窓会でもしますか?」
「それもいいかもな、だが、仕事が終わってからだぞ」
「わかってまーす」
 シリカは、5個目のダブルチーズバーガーを手にとりパクつく。カズサも14個目のモノメイトを口に入れる。
「で、とあるお偉い様というのは、総督府のヅラ親父?」
「いや、あのヅラ親父ではなく、ラボからの依頼だ」
「…ラボ?」
 パイオニア2研究団、通称P2ラボとは、パイオニア2を本拠地に、ラグオルでの調査分析、及び生体・遺伝子工学・機械工学・フォトンエネルギーなどの実験研究を行い、総督府・本星への報告を目的として設置された機関のことである。
 モンタギュー博士が在籍時は軍部側の影響も強かったが、現在は政府に身を置くナターシャ=ミラローズの指揮の下に組織改編が成され、パイオニア2内においても本星政府を背景に持つ、独立勢力としての色が濃くなっている。
 名義上総督府に属するが、一部では内密で政府主導・軍部主導による調査研究・実験が行なわれている…という影の部分も…あるとかないとか。

「あんまり、いいうわさ聞かないんだけどなぁ…あそこ」
「まあ、そう言うな、そうそう、報酬の方は…成功報酬だがかなりの額だぞ」
「報酬を高くすれば、あたしが喜ぶと思ったのかしらねぇ…まあ、あまり乗り気ではないけど、アレ絡みなら、行くしかないようね、さて、ジュンに連絡をっと」
「相棒はどこにいるんだ?」
「うーん、確か今日は、アキハバラにラーメンを食べに行っているはず」
「相変わらずの食通だな」
 シリカがテーブルの上に横たわっているボロボロになったタマをつかんで、ビジフォンを取りだしてコールする。程なくして、テレビ画面には相棒のフォニュエールの顔が映し出される。
「ういうい、ジュンだよん♪」
「あ、ジュン?今、何処?何してんの?」
 シリカの言葉に、画面向こうのフォニュエールは辺りをキョロキョロ見回して、ニコっと笑って答える。
「ん〜、え〜と、ツキヂ…かなぁ」
「はあ?あんたアキハバラにラーメン食べに行ったんじゃないの?何で、ツキヂなんかににいるのよ!!」
「え〜と…ああ!居たぁ、まて〜ラフォイエ!!」

ヅドッカァ〜〜〜〜〜〜ン…プツン

 爆音がしたと思ったら、画面の向こう側から一方的に切られる。

「…なんか、お取り込み中みたい」
 シリカは、ため息をつきながら、最後のダブルチーズバーガーを手にとる。脱力しているように見えるが、食欲は無くならないみたいだ。
「…さすが”ソウル・ブレイカーズ”と異名をとるだけはあるな…ツキヂ市場で破壊活動か?」
 カズサの言葉がきちんと言い終わったのを確認した後、シリカは、にっこり微笑んだ後、手に持っていた物を、力いっぱいカズサの顔面に叩き付けた。ちなみに、叩き付けた物は赤くて猫の形をした物体なのは言うまでもない。
「”ソウル・ブレイカーズ”じゃなく、”ソウル・エンジェルズ”」
 シリカは叫びながら、手に持ったダブルチーズバーガーを一口で片付ける。
「…まあ、そんな事より、これ以上汚名を被ると、さすがにフォローできなくなるので、ちょっと行ってくるわ」
「大変だな、俺はここで待っているから、さっさと行って来い」
「なに言ってるのよ、あんたも来るのよ!」
「マジですか?」
「マジです…と、その前に…おばちゃ〜ん!てりたまバーガーあと20個追加〜」

『まだ食べるんかい!!!』

 シリカの注文に、シリカを除いた食堂にいる全員が一斉に声をあげた。

 コードネーム「ソウル・エンジェルズ」
 赤毛のハニュエールと大きなポンポンのついた帽子をかぶったフォニュエールのコンビのチーム名。ハンターズの仕事の中でも困難な仕事を請負、必ず達成するハンターズ公認のトラブルシューターである。
仕事成功率は常に100%なのだが、目的のためなら手段を選ばない行動を取るため、2人は悪気があってしたわけでは無いが、なぜか街が壊滅し、宇宙戦艦が墜落し、惑星をも吹き飛ばすなどの大変な災害が巻き起こる。
2人の通った後に無事なものがない事から、形あるものは魂までも破壊すると言う意味を込めて、彼女等を「ソウル・ブレイカーズ」と呼んだ。



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